アイちゃんのあかりを訪ねて

陽光煌めく“湖のまち”と“蔵のまち”から - 福島県編 -

明治ロマン漂う白亜の洋館 天鏡閣 − 猪苗代町 −


天鏡閣 外観

「天鏡閣」は、猪苗代湖の長浜からゆるい上り坂を上がった高台に立つ洋館で、磐梯山と猪苗代湖を目前にひかえる絶好のロケーションにあるの。白亜の壁と八角形の塔屋がとても目を引くよ。表門は煉瓦造りの柱門で、両開きの鉄柵扉を吊っていて、門灯のガラスグローブと煉瓦は、鬱蒼とした緑の樹木にマッチしていて素敵だったよ〜。明治40年(1907)、有栖川宮威仁(ありすがわのみやたけひと)親王が明治天皇の代巡として東北地方を巡旅された際、猪苗代湖畔のこの地の景色の優美さを賞美し、翌41年(1908)に別邸として建設されました。


表門

ルネッサンス様式を基調としたアメリカのポーツマスにあるオイスターベイの建物を手本にしたとの事で、「天鏡閣」の名前は、李白の詩の一節「明湖落天鏡」に由来するそうで、大正天皇によって命名されたの。鏡のように澄んだ美しい猪苗代湖の湖畔に建つ御殿ということだよ。大正13年(1924)昭和天皇御夫妻が御成婚後初めてのご旅行で、25日間お過ごしになられたそう。世が世であれば建物の内部はおろか、敷地内にも足を踏み入れることも出来なかったと思うと何となく感無量だなぁ〜。

ロココ調のシャンデリアにうっとり・・。

本館は、2階建て天然スレート葺きで、建築面積492平方メートル、延面積927平方メートル、高さは約18メートル。玄関を入ると中央廊下で仕切られていて、南側には1階に食堂、客間、撞球室、2階に西客室、御居間、御座所、御寝室といった主要な部屋、北側に付属室、調理室、浴室といった小室が配置されているの。


マントルピース


シャンデリア

建物の内部は部屋ごとにルネッサンス様式の意匠を凝らした優雅な造りになっていて、アイもすっかりタイムスリップした気分に・・。各部屋のマントルピース、天井に施された漆喰で彫刻した円形のメダイヨンやシャンデリア、大理石や蒔絵を惜しげもなく用いた家具調度品などはロココ調、アール・ヌーヴォーあるいはジャコビアン様式などのデザインが施された豪華なもので、アンティ−クな家具やロココ調のシャンデリアは全てが手作りだそうです。


呼出用受信機


玉突台専用照明器具

特に関心を抱いたのは、撞球室の玉突台の上に吊るされた玉突台専用の照明器具!4個の電球で台上を均一に照明し、ゲーム中に球の影が出来ないようにしたそうだよ。当時の照明器具はすでになく、新たに複製したそうだけど、まだまだ一般の庶民がろうそくや石油ランプを使用していた時代にそこまで気を配って照明器具を製作していたなんて本当に凄いよね!明治時代の皇族の気品ある華やかさを実感します。アイもこんな素敵なところに住めたらいいのになぁ〜。


シャンデリア 1


シャンデリア 2


シャンデリア 3


客間


撞球室


西客室


食堂


御居間


御座所

天鏡閣

所在地
福島県耶麻郡猪苗代町大字翁沢字御殿山1048-14
開館時間
午前9時 ~ 午後4時30分(年中無休)
入館料
大人350円