アイちゃんのあかりを訪ねて

光と色彩がおりなすアール・ヌーヴォーの世界 - 鳴門市編 -

鳴門ガレの森美術館


ガレの森美術館 外観

19世紀末のヨーロッパを中心に一世を風靡した新しい造形芸術様式=アール・ヌーヴォー。19世紀のアカデミズムを否定し、自然や女性との結びつきが底流に存在していたよ。造形面においては植物的モチーフと曲線的フォルムが多用されていて、工業化社会の誕生を反映した装飾と構造の一致が特徴で近代デザインの先駆となっているんだよ。


2階 展示室入口

アール・ヌーヴォー期を代表するミュシャ、ガウディ、ガレ、ラリックなどの建築家や工芸家が残した作品は100年を経た今でも色褪せることなく世界中の人々を魅了し続けているね。今回、アイは、ガラス工芸においてガラスの魔術師と賞賛されたエミール・ガレの作品を中心に幅広い作品を展示する鳴門ガレの森美術館にお邪魔しました~☆

心癒されるガレの作品


エントランスホール

鳴門ガレの森美術館は、平成13年11月3日に、鳴門海峡を眼下に望む妙見山の中腹にある妙見山公園内に開館しました。1Fのエントランスホールにはガレの工房と同じ技法で作られたルーマニア製エミールガレTIPのランプスタンドなどを販売するミュージアムショップと企画展示室があったよ。


ランプスタンド 1


ランプスタンド 2


ランプスタンド 3

企画展示室では、チタンにロウヅケやエッチングによる文様をほどこし、炎によって加熱発色させる技法を用いた作家・与吉の作品が紹介されているよ。チタンアーティスト与吉に研ぎ澄まされ、鮮やかで深みのある青の色彩に焼きあげられたチタンを見ていると、思わず吸い込まれそうな気が!


与吉の作品 1


与吉の作品 2


与吉の作品 3


常設展示室3

階段を上がると、向かって左側が鳴門大橋から淡路島が一望できるレストランで、右側が常設展示室。フランス東部ロレーヌ地方の都市ナンシーを拠点にたぐいまれな想像力を発揮してガラス、陶器、家具といった幅広い分野でアール・ヌーヴォー期を切り開いたガラス工芸作家エミール・ガレの作品を中心に、ドーム兄弟、ミューラーなどの作品が展示されているよ。

独特の曲線を生かした美しいプロポーションの作品や光を通して微妙な色彩や陰影が浮かび上がる美しく気品に満ちた作品、構図は繊細なまでに計算しつくされた造形・色合いが見事に融合していて、見る人全てを虜にしてしまう魅惑の輝きを放っています。


金箔杯


アンチリス文花器


文花器 1


文花器 2


文花器 3


文花器 4


“被せガラス”手法のランプ


常設展示室4

常設展示室4に展示されていたランプスタンドの傘の装飾は、ガレの故郷フランス・ロレーヌ地方の山河を“被せガラス”という技法で浮き彫りのように表現した作品!夕暮れ時、オレンジ色に染まる空を背景に、遠くの山々を見渡し、穏やかに水をたたえた湖を眺める風景は、何となく郷愁にかられたよ。

“被せガラス”は、ガラス素地に異なった色ガラスを部分的あるいは全体にわたって被せかける技法で、ガラス素地の厚薄と色の濃淡を活かしながら、模様を描き出すんだよ。手前に見える木々は多層で厚く、遠くの空は一層で薄く、遠近感があり、微妙な色彩が完璧なまでに削りだされているよ~。アイは艶やかなニュアンスの色彩と見事な造形美がとけあって生まれる光と影のファンタジーを堪能しました。


藤文花器


りんご木枝文ランプ


花瓶

鳴門ガレの森美術館

所在地
鳴門市撫養町林崎字北殿町149番

取材協力:一般財団法人鳴門ガレの森美術館

※鳴門ガレの森美術館は2021年8月に閉館