アイちゃんのあかりを訪ねて

小樽ノスタルジック 商都・小樽を訪ねて - 小樽市編 -

重要文化財 旧日本郵船株式会社 小樽支店

文明開化の香りを漂わす


旧日本郵船株式会社小樽支店 外観

金庫室内部

重要文化財 旧日本郵船株式会社 小樽支店は、どっしりとした重厚な石造りの中にも優美さが漂う近世ヨーロッパ復興様式の純石造2階建で、国の重要文化財。明治39年(1906)落成の建物を、当時の状態に復元して、公開しているの。1階玄関を入ると客溜まりと営業室が高いカウンターで仕切られていて、営業室にある細部まで復元されたアメリカ製の照明器具や机・椅子類の配置が今にも勤務時間がはじまるような臨場感を与えていたよ!上質なワニスをたっぷり塗ったカウンターや机の木部の輝きとエジソン球の温かさが凄く印象的!


金庫室の中の壁の真ん中になぜ金庫が?と思ったら、実は外部に通じている扉で、万一の場合、入口の大扉を締め、外から扉を開いて中へ入り、貴重品や重要書類を持ち出せるようにしたそうです。この扉のほかにも建物の随所に創意工夫があって改めて当時の技術水準の高さに脱帽です。
太い木の円柱についているブラケットライトや柱頭の木彫装飾、重厚な格天井を眺めているとまさに「華麗なる海運業」といった感じがしたよ。窓ガラスは全て二重ガラスになっていて、百年以上経っても狂いがなく、いまでも窓の開閉が出来るそうで、雨水が入らないように、窓が破損しないように、細部にわたって工夫がなされているの。ロールカーテンも百年前の物だそうだよ。


1F 営業室


営業室ブラケットライト


営業室ペンダントライト


2F 貴賓室

2階は貴賓室と会議室。貴賓室は、寄せ木造りの床、空色漆喰の天井、菊模様金唐革紙の壁、鏡付の大理石暖炉、シャンデリア、絨毯、蒸気暖房など、当時の材質・デザインが細部に至るまで再現されていて、文明開化の華やかかりし時代にタイムスリップしたような懐かしさがこみあげてくる不思議な気持ちに!


2F 会議室

1906(明治39)年11月に2階会議室で日露戦争後、樺太の日露国境画定会議が開かれ、向かって左側がロシア、右側が日本だったそうです。日本の繁栄ぶりをロシアに示す狙いもあったらしく、貴賓室と共に出来る限りの贅を尽くされた華麗な空間。アイが案内していただいた方のお話では、終戦後、建物がGHQに一時期接収されて、その期間に、金唐革紙の壁などに煙草のこげ跡や汚れを付けられたとのことで、凄く残念な気持ちになりました。


国境碑(日本側)


2F 廊下


シャンデリア & 中心飾り

アイの知って得する豆知識

金唐革紙(きんからかわかみ)


金唐革紙

17世紀のヨーロッパでは建築の壁、天井に装飾革を使用することがあったんだよ。装飾革とは革に金属箔を貼り、花や動物をデザインしてプレスし、塗料・ワニスなどで彩色して仕上げたもので、これが日本に伝わり「金唐革」と呼ばれてめずらしがられたんだって!その後、革の代わりに和紙を使う方法が考案されて誕生したのが「金唐紙」。明治には輸出も含めて大々的に生産されたものの、大正以降はほとんど使われなくなってしまったんだぁ。

重要文化財 旧日本郵船株式会社 小樽支店

所在地
小樽市色内3-7-8
電話
0134-22-3316
開館時間
午前9時30分 ~ 午後5時
休館日
火曜(祝休日の場合、翌日以降の最も近い平日)・年末年始(12/29 ~ 1/3)
入館料
一般 300円

※保存修理工事のため2020年7月から2023年6月まで休館予定