アイちゃんのあかりを訪ねて

庄内で歴史と自然に触れる - 山形県編 -

蝉しぐれのまち − 鶴岡市 −

海坂藩の面影を訪ねて


出羽三山を仰ぎ、日本海を望む、米どころ庄内平野の中心に位置する鶴岡市は、旧くは「大宝寺」と呼ばれていた地域で、慶長年間に山形城主の最上義光によって「鶴ヶ岡」と改称。江戸時代においては、酒井家が庄内藩14万石の領主として鶴ヶ岡城を居城にし、版籍奉還までの約250年に渡ってこの地を治めたの。文化財や史跡が集中するこの一帯は、作家 藤沢周平の原風景の地で、その歴史小説に登場する「海坂藩」の舞台といわれていて鶴岡の街中に、「藤沢周平ゆかりの地」の案内看板があり、小説の舞台へと誘ってくれるよ!

丙申堂

蝉しぐれのヒロイン「おふく」の世界に浸る

丙申堂

鶴岡城下で庄内藩の御用商人として呉服屋を営み、幕末には鶴岡一の豪商となった風間家の旧宅。明治29年(1896)、武家屋敷跡に風間家七代当主・幸右衛門によって住居と営業の拠点として建てられた「丙申堂」は、木造二階建て。明治27年(1894)の酒田地震による被害を教訓に、広大な板の間に架ける梁をトラス状にして大黒柱で支えていたり、約40,000個の石を敷き詰めた杉皮ぶき石置屋根や薬医門様式と呼ばれる表門、開放廊下、4つの蔵など豪商の当時の面影と商家の特徴を伝えているの。

石置屋根

庭園(石燈龍)

風間家は明治期に貸金業に転じ、風間銀行から荘内銀行に到る歴史の跡も、金庫蔵に展示された明治30年製(1897)の金庫からもうかがえたよ。丙申堂でのアイのお気に入りは、長押に所々に打たれた鶴の釘隠しの飾り物と庭園を望む小座敷。小座敷は、平成17年(2005)に公開された藤沢周平原作の映画「蝉しぐれ」でのクライマックスシーンが撮影された部屋なの。主人公牧文四郎とおふくが約20年ぶりに再会!数々の運命に翻弄された二人・・ずっと20年のあいだ、心の中で愛し合い続けた二人が、最後の別れ際に、お互いの愛を語り合った場面の部屋。アイはおふくが座った場所でしばしロマンチックな余韻に浸っていました(笑)。


小蔵(金庫蔵)


小座敷


板の間にある階段箪笥


鶴の釘隠し


みせ


通り(石畳)

旧風間家住宅 丙申堂(へいしんどう)  国指定重要文化財

所在地
山形県鶴岡市馬場町1-17
電話
0235-22-0015
URL
http://heisindou.wixsite.com/chion
開館期間
毎年4月10日 ~ 11月30日(7月13日は休館)
開館時間
9時30分 ~ 16時30分(最終入館、16時)
入館料
大人400円

鶴岡カトリック教会天主堂

赤い塔屋がひときわ目をひく白亜の聖堂

鶴岡カトリック教会天主堂

聖堂

庄内エリアで先ず一番に紹介されるのが、白い壁に真っ赤なとんがり屋根がひときわ目を引く鶴岡カトリック教会天主堂。明治36年(1903)にフランス人パピノ神父の設計で、庄内藩家老の末松十蔵の屋敷跡に建てられたそうです。バシリカ型三廊式とよばれる造りで、尖塔の妻壁、丸窓やアーチの窓などに中世ロマネスク様式をあらわしていて、入口の家老屋敷の武家門と不思議なハーモニーを醸し出しているの!聖堂内部の床は「畳敷き」で、完成した当初は畳の上でひざをついて礼拝したそうです。

窓絵

アイが訪ねたときは、修理中ということで残念ながら見ることができなかったけど、聖堂の左側にある副祭壇には世界でも珍しい日本で唯一の「黒い聖母マリア像」が安置されているの。うーん、見たかったよぉ。(涙) 天主堂でのアイのお気に入りは、天主堂の窓を飾るロマネスク寺院特有の半円アーチの枠におさめられた「窓絵」。薄い透明な紙に描かれた聖画を2枚のガラスで挟んだもので、日本で見ることができるのはこの教会だけ!高価なステンドガラスに代えて使用されたと考えられるそうだけど、とても幻想的な雰囲気が漂っていて心が洗われるような気がしたよ。

鶴岡カトリック教会天主堂 国指定重要文化財

所在地
山形県鶴岡市馬場町7-19
電話
0235-22-0292
URL
http://www.turuoka-catholic.or.jp/
開館時間
午前8時 ~ 午後6時 (10月~3月は午後5時まで)
休館日
なし
入館料
無料

致道博物館

庄内藩ゆかりの地にある野外博物館


庄内藩主御隠殿

致道博物館は、昭和25年(1950)に旧庄内藩主酒井氏が郷土文化の発展向上のために先祖伝来の土地建物や旧藩校致道館資料などを寄附され開設されたの。鶴ヶ岡城(現在鶴岡公園)の三の丸にあたり、庄内藩の御用屋敷となっていた所で、庄内地方の生活文化の特色と変遷を知る上で貴重な資料が保存・展示されている施設だよ。


旧鶴岡警察署庁舎


旧西田川郡役所

施設構内には、御隠殿とよばれる庄内藩主の隠居所の建物の一部と、御隠殿の奥座敷の北側にある書院庭園「酒井氏庭園」のほかに、明治の擬洋風建築「旧西田川郡役所」、「旧鶴岡警察署庁舎」、田麦俣の多層民家「旧渋谷家住宅」が移築保存されていて、さらに重要有形民俗文化財収蔵庫と民具の蔵がそれぞれ独立して配置されているの。


田麦俣の多層民家


民具の蔵


民具の蔵・提灯作り


民具の蔵・製蝋用具


旧西田川郡役所・明治文化資料室


旧西田川郡役所・明治文化資料室

財団法人 致道博物館

所在地
山形県鶴岡市家中新町10-18
電話
(0235)22-1199
URL
https://www.chido.jp/
開館時間
9:00~17:00(入館は、16:30まで)※12月~2月は9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日
年末年始、12月~2月の毎週水曜日
入館料
大人700円