施設報告

こまちスタジアム(秋田県立球場)の照明設備 - 大規模野球場納入施設例 -

国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター

キーワード

こまちスタジアム,大規模野球場,増反射膜付投光器,高演色メタルハライドランプ,発電機電源

3. 設備概要

照明の配置は,照明鉄塔4基+膜屋根2ヶ所を利用した6ヶ所配置を基本とし,さらに,バックネット後方に,ホームベース後方の照度確保を目的とした補助照明を2ヶ所に配置している(図3)。また,照明塔は,竿灯をイメージしたデザインとなっている。(図4)

競技場照明には,増反射膜付投光器と高演色メタルハライドランプ1.5kWを採用している。これにより,従来形投光器と比較して約15%の高効率化を図り,且つハイビジョン放映にも対応できる高い演色性を有する良質な照明環境としている。

また,本施設はプロ野球のナイター公式戦開催を目的としていることから,照明面積及び設計照度(全点灯時)を表1のように設定している。図5に照度分布図(全点灯時)を示す。

図4 照明塔全景

表1 照明面積及び設計照度
照明範囲 照明面積 設計照度 保守率 備考
内野 1,600m²
(40m×40m)
2,000ℓx以上 0.69 JIS Z 9120
硬式野球
プロ野球レベル
外野・残部 12,760m² 1,200ℓx以上

回路構成は,リモコンブレーカ1個に対して照明器具3台を負荷とするようにし,細かな点灯制御が可能となっている。また,ランプ個々の点灯時間の均等化を図るため,1/3点灯または2/3点灯の際には,ローテーション点灯が可能になっている。図6及び図7に代表的な点灯パターン図を示す。

本施設は,年に数回程度プロ野球の開催は計画されているが,多くは市民のレクリエーション利用であることが予想される。よって,本施設の電源方式は,電力契約の基本料金と発電機のリース料金の比較によりランニングコストの削減を目的として,商用電源(500KVA)と発電機電源(発電機はリース)の併用方式が採用されている。

したがって,通常使用時(低照度点灯パターン時)は,電力会社からの商用電源のみでの点灯とし,プロ野球開催時など(高照度点灯パターン時)は,商用電源と発電機電源の併用方式による点灯としている。

また,これによりプロ野球等開催時には2系統の電源供給となるため電源の信頼性向上も図ることができる。図8に本施設の電源系統図を示す。

4. おわりに

今回,秋田県のシンボルとなるこまちスタジアム(秋田県立球場)に当社の増反射形投光器と高演色形メタルハライドランプ1.5kWを納入させていただき,2004年7月には,プロ野球の公式戦(ナイター)も無事に開催された。今後もプロ野球だけでなく多くの市民の方に利用される施設となることを期待する。

最後に,本施設の完成にあたり,竣工迄,御指導・御協力いただいた関係各位に深く御礼を申し上げる。

※ 本設計は,照明学会平成15年照明普及賞(優秀施設賞)を受賞。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第11号掲載記事に基づいて作成しました。
(2004年9月30日入稿)


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