ライティング講座(照明講座)
照明計画資料
スポーツ照明 - ゴルフ場(練習場)照明
ゴルフ場及びゴルフ練習場照明は、プレーヤーがボールを打つときに必要な水平面照度だけではなく、飛んでいくボールの行方を確認するための空間照度も確保することが重要です。また、ゴルフ場においては、ティーイングエリア、フェアウェイ、グリーンといったプレー場所に応じた照明計画をする必要があります。特にティーイングエリアには、第1打目のボールは遠くまで飛ぶので空間照明用の器具を設置し、遠方までの空間照度を確保する必要があります。また、グリーンにおいては、プレーの方向が一方向ではないので、プレーヤー自身の影によってボールが見にくくならないように、グリーン両側からの照明をする必要があります。
(1)ゴルフ場照明
1.1 照明範囲
ティーイングエリア、フェアウェイ、グリーンの範囲とします。
1.2 照明要件
ゴルフ場の推奨照度、照度均斉度、グレア制限値、平均演色評価数などの照明要件は、運動競技区分ごとにJIS規格に示されています(表6.30)。あわせて、弊社の推奨を表6.31に示します。
競技種目 | 運動競技の区分 | 推奨照度 (ℓx) |
照度均斉度 (Min/Ave) |
グレア制限値 GRL注3 |
平均演色評価数 Ra |
計算間隔 (m) |
測定間隔 (m) |
基準面の高さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ティーイングエリア・グリーン | Ⅱ注1 | 75 | - | - | - | 5×5 | 5×5 | 地表面 |
Ⅲ注2 | 50 | |||||||
フェアウェイ | Ⅱ注1 | 50 | 10×5 | 20×10 | ||||
Ⅲ注2 | 30 |
- 注1 観客のいる地域全体又は特定地域における一般的な運動競技会。高水準のトレーニング。
- 注2 観客のいない特定地域の運動競技会。学校体育又はレクリエーション活動。一般のトレーニング。
- 注3 GRLは、「JIS Z 8301 規格票の様式及び作成方法」に基づきRGLと表記されることもあります。
(参考文献 JIS Z 9127:スポーツ照明基準(2020))
競技種目 | 推奨照度 (ℓx) |
照度均斉度 (Min/Ave) |
グレア制限値 GRL |
平均演色評価数 Ra |
計算間隔 (m) |
測定間隔 (m) |
基準面の高さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ティーイングエリア | 100 | 0.3 | - | - | 5×5 | 5×5 | 地表面 |
グリーン | 150~200 | 0.5 | |||||
フェアウェイ | 50~80 | 0.5 | 10×5 | 20×10 |
1.3 照明方式及び照明器具の配置
投光照明方式とし、原則としては追跡照明とします。
1.3.1 ティーイングエリア
プレーの方向に対して後方からの照明を基本とします。原則的には両サイドからの配置が望ましいのですが、両サイドから照明ができない場合は、一般に右利きのプレーヤーが多いことを考慮して、プレー方向に対して右後方から照明します(図6.22)。
両側からの照明
右後方からの照明
備考:図内の●印は、照明器具の設置位置
図6.22 照明器具の配置例(ティーイングエリア)
1.3.2 フェアウエイ
図6.23に示すように向合せ配置、千鳥配置又はそれらを組合せた配置とします。
向合せ配置
千鳥配置
備考:図内の●印は、照明器具の設置位置
図6.23 照明器具の配置例(フェアウェイ)
図6.24 照明器具の配置例(グリーン)
1.3.3 グリーン
グリーン上ではプレーヤー自身の影ができにくいようにしなければなりません。またプレー方向からグリーンを見たときに視線に照明器具が入りにくいように照明器具を配置しなければなりません。よって、図6.24に示すような両側からの照明が望まれます。
(2)ゴルフ練習場照明
2.1 照明範囲
打席とフィールド空間の範囲とします。
2.2 照明要件
ゴルフ練習場の推奨照度、照度均斉度、グレア制限値、平均演色評価数などの照明要件は、表6.32の照明要件を満たすことが必要です。あわせて、弊社の推奨を表6.33に示します。
競技種目 | 運動競技の区分 | 推奨照度 (ℓx) |
照度均斉度 (Min/Ave) |
グレア制限値 GRL注2 |
平均演色評価数 Ra |
計算間隔 | 測定間隔 | 基準面の高さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
打席 | Ⅲ注1 | 100 | 0.8 | - | - | 15m間隔 | 15m間隔 | 地表面 |
空間 | Ⅲ注1 | 50 | - |
- 注1 観客のいない特定地域の運動競技会。学校体育又はレクリエーション活動。一般のトレーニング。
- 注2 GRLは、「JIS Z 8301 規格票の様式及び作成方法」に基づきRGLと表記されることもあります。
(参考文献 JIS Z 9127:スポーツ照明基準(2020))
競技種目 | 推奨照度 (ℓx) |
照度均斉度 (Min/Ave) |
グレア制限値 GRL |
平均演色評価数 Ra |
計算間隔 | 測定間隔 | 基準面の高さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
打席 | 50~75 | - | - | - | 15m間隔 | 15m間隔 | 地表面 |
空間 | 150 | - |
2.3 照明方式及び照明器具の配置
投光照明方式とし、原則としては追跡照明とします。
2.4 照明器具の選定
打席上部に設置されることが多いため、最深部のボールの落ち際までしっかりと確認できるように狭角形を使用します。また、手前のグリーンなどは、中角形及び広角形の投光器により照明します。
(2025年4月25日入稿)
このページに掲載されている情報は、原稿執筆時現在の情報です。ご覧になった時点では、最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。