ライティング講座(照明講座)

照明計画資料

スポーツ照明 - 照明要件

スポーツ施設の照明は、机上の視作業のための平面的な照明ではなく、競技空間の照明であり、競技者が動きながら動いている視対象物を見て、瞬時に正確な判断が下せるようにすることが要求されます。このため照明設計では、競技種目によって異なる視対象物の大きさ、動き、競技範囲等を十分に把握し、競技面、競技空間及び背景に適切な明るさを配分するとともに、競技者等の視線方向を考慮して競技に集中できるような視環境を作ることが要求されます。

(1)照度

ある光源(器具)によって照らされている面の明るさを示す指標で、単位(ℓx)で表します。

(2)照度均斉度

競技者の視線は、動作にしたがって常に動いているので、照度分布にムラがあり明暗の差が大きいと、目は常に明暗順応を繰り返さなければならず、見え方の低下や疲労の原因となります。

(3)グレア(まぶしさ)

グレアは、視対象物の見え方や競技への集中力を低下させる原因となるため、極力軽減することが重要です。しかし、スポーツでは、あらゆる位置からあらゆる方向を見るため、完全にグレアをなくすことは困難です。グレアには、減能グレアと不快グレアがあります。

3.1 減能グレア

減能グレアとは、競技者の視界に輝度の高い光源(器具)が直接目に入った場合、視対象物が見えなくなったりする等、競技者のスポーツ能力に悪影響を及ぼすものをいいます。

3.2 不快グレア

不快グレアとは、競技者等に不快感を与え、競技への集中力を低下させることをいいます。不快グレアは、次式に示すGRを計算することで予測することができます。GRと不快グレアの関係を表6.1に示します。

ここに

Lvl
個々の照明器具によって生じる等価光幕輝度(cd/m²)の合計
Lvn
個々の照明器具の光幕輝度(cd/m²)
Eeye
観測者の視線に対して垂直な面の照度(ℓx)(水平下方2°)
θ
観測者の視線と個々の照明器具とのなす角度(°)
Lve
環境の等価光幕輝度(cd/m²)
ρ
領域(地面など)の平均反射率
Ehav
全運動競技面の平均照度(ℓx)
表6.1 GRと不快グレアの程度
GR 不快グレアの判定
90 耐えられない
70 邪魔になる
50 許容できる限界
30 あまり気にならない
10 気にならない

(参考文献 JIS Z 9127:スポーツ照明基準(2011))

グレアの軽減策としては下記の方法が考えられます。

3.3 グレアの軽減策

  • 照明器具の背景を明るくする。
  • 照明器具の輝度を低くする。
  • 競技中に比較的よく見る方向、または範囲に照明器具を設置しない。
  • 照明器具にルーバを取付ける(ただし、空間の明るさが不足しやすいので注意が必要)。
  • 照明器具の照射する向きをできるだけ下げるようにする。
  • 照明器具の設置高さを高くする。

グレアの生じる原因は、照明器具からの直接光ばかりでなく、光沢面での反射、昼間時の窓面等も考えられますので、それらの取扱いにも十分な配慮が必要です。

(4)ストロボ現象

ストロボ現象は、ボールなど高速に動く視対象が断続的に動いているように見える現象であり、競技に支障を与えたり、写真やテレビジョンの画質を低下させることがあります。そのため、ストロボ現象を避けるように設計します。

4.1 ストロボ現象の防止策

照明器具3灯を三相交流の各相で位相をずらして点灯させます。(最もよく用いられる方法である。この場合、照明光が空間で十分に交差していることがポイント)また、ストロボ現象を考慮して電源回路設計したLED専用電源装置とLED照明器具を組み合わせて使用することでストロボ現象を抑えることができます。

(5)光色

光色は、運動競技者の心理状態に影響を及ぼすもので、特別な理由のない場合には中間色を用います。また、テレビジョン撮影及び写真撮影にも影響を及ぼすので、昼光及び人工光を併用する場合には、昼光と調和する4000K~6500Kの人工光を用います。

表6.2 光源の光色と見え方
光色の見え方 涼しい(青みがかった白) 中間色 暖かい(赤みがかった白)
相関色温度(K) 5300以上 3300~5300 3300以下

(参考文献 JIS Z 9127:スポーツ照明基準(2011))

(6)平均演色評価数

演色性は、物の色がその照明に照らされたとき、どれだけ忠実にその物本来の色を再現できるかを表したものです。照明器具(光源)の平均演色評価数Raを用いて評価します。

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