施設報告

四天王寺高等学校・中学校体育館(バレーボール練習場)の照明設備
- 屋内スポーツ施設納入例 -

国内営業部 西日本技術設計センター
国内営業部 大阪営業所 民需営業課

キーワード

四天王寺,学校,体育館,バレーボール,競技,省エネルギー,CO₂削減,LED照明

1.はじめに

四天王寺高等学校・中学校体育館は大阪市天王寺区四天王寺にあり,大正11年に聖徳太子1300年御忌記念事業として,天王寺高等女学校が創設されたのに始まる。図1に建物外観写真を示す。

本施設は,バレーボールの強豪校である本校のバレーボール練習場である。既設の照明設備ではHID投光器にて照明されていたが,本改修では省エネルギー化,CO₂削減を重視し,LED照明を採用した。図2に竣工後の施設写真を示す。

図1 建物外観写真

図2 竣工後施設写真

2.照明計画

本施設の照明計画にあたっては,以下のようなコンセプトにて計画を行った。

  1. 競技者が練習に集中できるよう,十分な明るさ(床面,空間照度)を確保する。
  2. 競技者に対し,グレアを軽減する。
  3. 省エネ性を考慮する。
  4. 省メンテナンス性を考慮する。

3.照明設備

3.1 設計照度

設計照度はバレーボールの一般競技レベル(500ℓx)程度(既設の照明設備と同程度)とした。

3.2 器具選定及び特性

器具選定においては,小まめにON / OFFして省エネを図るのに適した,瞬時再点灯可能なLED投光器を採用した。器具自体の消費電力においても大幅な削減を果たし,総合では約67%削減を実現した。改修前後での電力・CO₂排出量の比較を表1に示す。また,照度分布図を図3に示す。

光色については,色温度5000Kとなる昼白色を採用したため,さわやかな雰囲気となっている。LEDの演色評価数はRa=68となるため,バレーボールの競技に必要な演色性Ra=60を十分満足している。

表1 電力・CO₂排出量比較表グラフ
項目 単位 改修前 改修後
機材形式 照明器具   HOF401X EVL420 LEDioc
FLOOD
NEO™
95W
LEDioc
CEILING
HB™
ランプ   MF400LSH
/U
MF400LSH2
/BUP
LED13W
×6個
LED13W
×12個
安定器   200V一般
高力率形
200V一般
高力率形
器具に
内蔵
器具に
内蔵
数量 A1 器具台数 (台) 44 30 57 30
A2 ランプ数 (本) 44 30 57 30
電力量 E1 消費電力/灯具※1 (kW) 0.415 0.415 0.095 0.18
E2 年間電力量※2 (kWh) 161228 52994
E3 年間電力量 (%) 100.0 32.9
CO₂排出量 G1 年間CO₂排出量※3 (kg-CO₂) 69328 22787
G2 年間CO₂排出量 (%) 100.0 32.9
  • ※1 メーカーカタログ値とする。
  • ※2 E1×年間点灯時間×A1
  • ※3 E2×CO₂排出係数(0.43kg/1kWh)
計算方法
日本照明器具工業会「技術資料114-1996 照明経済計算方法」に準ずる。
点灯時間
改修前
5250時間/年
改修後
4900時間/年とする。(こまめにON,OFFして点灯時間を減らしている。)
  • CO₂排出係数0.43kg-CO₂/kWhは,電気事業連合会の環境行動計画による。

電力量比較グラフ

図3 照度分布図

3.3 器具配置

天井中央と天井サイドの器具配置状況をそれぞれ図4,図5に示す。配置,エイミングは改修前の既設投光器に倣い,天井中央は角度をつけて振り分け(図4),天井サイドはアッパーにすることで(図5),バレーボールに求められる空間照度及び天井面の明るさを補った。

図4 施設天井中央写真

図4 施設天井中央写真

図5 施設天井サイド写真

図5 施設天井サイド写真

3.4 効果確認

当社の営業技術部・照明研究課にて開発された光環境評価システムQUAPIX™(クオピクス)を用いて天井面の輝度測光を行い,改修前と改修後の比較を行った。体育館内の2方向について輝度分布画像の比較を図6に示す。比較の結果,改修前に比べ天井面が明るくなっており,空間照度が増加していることが確認できた。

配光タイプの選定においては,現地で点灯実験を行い,目視にてグレアを軽減できる配光を選定した。眩しさが少ないと感じた中角と狭角を主に採用した。表2に納入器具一覧を示す。

図6 輝度分布評価

図6 輝度分布評価

表2 納入器具一覧表
仕様 数量
LEDioc CEILING HB™・タイプF・中角(天井中央) / EHCL18712N 30台
LEDioc FLOOD NEO™95W・広角(出入口付近) / ECF0773N 5台
LEDioc FLOOD NEO™95W・中角(天井中央) / ECF0772N 24台
LEDioc FLOOD NEO™95W・狭角(天井サイド) / ECF0771N 28台

4.おわりに

本件で採用されたLED投光器は,取り付け高さ11mに設置し,従来のHID400Wの体育館照明と遜色の無い環境を実現した照明業界でも新しいタイプの器具であり,体育館照明としては,前例の見付からない施設に仕上がったと思われる。これを実績として,LED投光器が採用される機会が増えれば,当社も,省エネに大きく貢献できるであろう。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第23号掲載記事に基づいて作成しました。
(2010年11月10日入稿)


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