施設報告

コマツ大阪工場の照明設備
- 高圧ナトリウムランプとLEDを採用し,省エネルギーを重視した工場敷地内照明 -

国内営業部 西日本技術設計センター
国内営業部 大阪営業所

キーワード

コマツ大阪工場,高圧ナトリウムランプ,LED,省エネルギー

1.はじめに

コマツ(登記社名:株式会社 小松製作所)は主に建設・鉱山機械,ユーティリティ(小型機械)や産業用機械などの事業を展開する日本の建設機械・重機械のメーカーである。コマツ大阪工場は大阪府枚方市内に位置し,大型ブルドーザー,中・大型油圧ショベル,資源リサイクル機械を生産する国内においても主要な拠点工場となっている。

このたび,コマツ大阪工場では工場東側と国道1号線を結ぶ新たな市道が開通した背景から,その市道へ出るための新甲斐田門を新設し,道路整備を行うことにより物流の改善化を図る計画が実施された。それに伴い来客用及び社員用駐車場の再編成も行われるようになり,工場内にて照明設備が新設されることになった。

本稿では同照明設備の概要について紹介する。

2.照明設備の概要

本施設は今回新設された新甲斐田門から工場内部へ通じる構内道路,加えて来客用及び社員用駐車場について新たに照明設備を導入した。新甲斐田門正面と来客用駐車場にはLEDハイブリッド太陽灯“アイバード®”,社員用駐車場にはLED太陽灯を採用している。また,門から工場内へつながる構内道路のうち入口付近にはLED照明灯“レディオック エリア プッセ”,入口付近以外については低ポール用道路灯”エルパズー”を採用している。

本件の照明設備の数量については表1に示す。

表1 照明設備
照明設備器具形式ランプ形式数量(台)
LED ハイブリッド太陽灯HTLE2011E LED 5W(器具内蔵)6
LED 太陽灯TLE2011 LED 5W(器具内蔵)15
LED 照明灯(レディオック エリア プッセ) E5003SA1/2LED 5W(器具内蔵)4
低ポール用道路灯(エルパズー)H7723 NHT110LS9

3.照明設計と器具・ランプの選定

本施設はJIS照度基準(JIS Z 9110-1979)を考慮して照明設計を行い,利用者の安全性を確保している(図1)。

器具・ランプの選定にはJIS照度基準を考慮しつつも省エネルギーや周辺環境に配慮したものを選定した。省エネルギーについては近年の社会動向として地球環境問題への関心が一段と高まっていることや,コマツ自身もグローバルに事業を進める企業として地球環境負荷低減のための活動を重点課題としていることから本施設においても省エネルギー,CO₂削減を重視した照明器具,ランプを採用している。また,周辺環境への影響も配慮し,光害による周辺住民の住環境や自然環境への影響を最小限に抑えるため,上方への漏れ光を抑制した照明器具を選定している。

以下に本件に採用した照明設備について紹介する。

3.1 LEDハイブリッド太陽灯(アイバード®,HTLE2011E)

図2 LEDハイブリッド太陽灯

新甲斐田門正面及び来客用駐車場に使用した照明灯である。主な特長は以下のとおりである。

太陽光と風力を併用して発電したエネルギーを夜間照明に利用するクリーンな照明システムである。電源が不要であり,工場のメンテナンスコストの削減,省エネルギー化に大きく貢献している。1日あたりの最大点灯時間は8時間となっており,(但し,日照時間,風況により変動)深夜まで照度を確保することが可能。光源のLEDは低消費電力,長寿命(4万時間)であり,水銀の含有率が0%であることや,LEDの光は紫外域放射が少なく,誘虫光を抑えることができる等の特長を持ち,環境に配慮している。(LED太陽灯も同LED光源を採用している。)デザイン性に優れ,門正面に設置することでシンボル灯としての役割も果たしている(図2)。

3.2 LED太陽灯(TLE2011)

図3 LED太陽灯

社員用駐車場に使用した照明灯であり,主な特長は以下のとおりである。

太陽光を利用して発電したエネルギーを夜間照明に利用するクリーンな照明システムである。電源が不要であり,3.1と同様にメンテナンスコストの削減,省エネルギー化に大きく貢献している。1日あたりの最大点灯時間は8時間となっており,(但し,日照時間により変動)深夜まで照度を確保することが可能(図3)。

3.3 LED照明灯(レディオック エリア プッセ,E5003SA1/2)

図4 LED照明灯

構内道路の入口付近に採用したLED照明灯であり,主な特長は以下のとおりである。

LED光源は低消費電力,長寿命(4万時間)の特長から,ランニングコスト,及びメンテナンスコストの削減が可能であり,省エネルギーに貢献している。また,水銀の含有率が0%であることや,LEDの光は紫外域放射が少なく,誘虫光を抑えることができる等の特長をもち,環境に配慮している。デザイン性に優れており,工場構内へ案内するシンボル灯として親しみと安心感のあるデザインとしている(図4)。

3.4 低ポール用道路灯(エルパズー,H7723)

図5 低ポール用道路灯

構内道路に採用した照明灯であり,主な特長は以下のとおりである。

灯高が5.0mと道路灯としては比較的低い設置高さではあるが,縦断方向を効率的に照明することができる光学性能を持った照明器具である。従来よりも低いポールでの照明が可能であり,それに伴って低ワットでの光源を使用することができ,電力費の削減が可能となり,ランニングコストの削減,省エネルギーに貢献している。ランプには高効率(100ℓm/W),長寿命(2万4千時間)の高圧ナトリウムランプ110Wを採用し,省エネルギーを重視している(図5)。

4.おわりに

LED照明は次世代の主照明として照明業界だけでなく,技術面や今後の市場的価値の面で様々な業界や団体から注目されているが,本件においてもLED照明を積極的に導入していただいた。LED光源の発光効率は日進月歩であり,HIDランプの中でも高効率の特長をもつ高圧ナトリウムランプを越える日も近いであろう。

今後も本件のようなLED照明設備を計画・実施する施設が増え,また,当社がそれに貢献できることを願うとともに御指導,御協力を頂いた関係者各位に感謝して結びの言葉とする。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第21号掲載記事に基づいて作成しました。
(2009年11月10日入稿)

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