施設報告

松山中央公園多目的競技場照明設備 - 競輪場納入施設例 -

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キーワード

松山中央公園,多目的競技場,競輪場,LEDioc FLOOD DUELL,遮光ルーバ,省エネルギー

3.照明設備(つづき)

3.2 照明設備の概要

照明器具は,従来のメタルハライドランプを中心とした照明から高演色形LED投光器「LEDioc FLOOD DUELL」へ全面LED照明化を行うことで,既設照明設備と比較し約50%の大幅な消費電力削減を実現している。また,テレビジョン撮影に対応し,選手のヘルメットなどの色をより忠実に再現するために,平均演色評価数Ra80のタイプを採用している。色温度も5000Kにすることで,薄暮から夜間にかけて自然光から人工光への移行で急激な変化が生じないようにしている(図7,図8)。

図7 高演色形LED投光器(E30902N/NSAJ2)の姿図

図8 遮光ルーバ(LE30802)の姿図

照明器具の外観は,昼間の景観も配慮し,建築と調和するように塗装色をミディアムグレイにしている(図9)。

高出力形のLED投光器に,漏れ光対策として前面に遮光ルーバを取り付けることで,選手および観客へのまぶしさを抑制するとともに,競技場外部への漏れ光も抑制することで周辺環境にも配慮している(図10)。

図9 周辺と調和した塗装色

図10 高出力形投光器の遮光ルーバ取付状況

図11 照明鉄塔の照明器具設置状況

本競技場は,既設照明器具と同様にメインスタンド,東サイドスタンド,西サイドスタンド,4基の鉄塔(最下段高27m,67灯用×2基,47灯用×2基)に設置する必要があり,取付形状および照明器具の大きさに制限があった。しかし,今回使用したLED投光器は,取付形状と前面径(ø461)が既設HID器具と同じでコンパクトな構造であるため,器具配置を考慮することなく容易に交換できた。くわえて,定格寿命が40000時間と長寿命であり,定期的なランプ交換の必要もないため,大幅な維持管理費の削減が可能である(図11)。

本件で選定した照明器具の仕様を表2に,照明設備一覧を表3に示す。なお,照明器具はすべて高演色形を採用している。

表2 照明器具仕様
形式 出力タイプ 配光 定格光束(ℓm) 相関色温度(K) 平均演色評価数(Ra) 定格寿命(時間)
高演色形 E30902N/NSAJ2 1300W 狭角 130000 5000 80 40000
E30802M/NSAJ2 1100W 中角 110000
E30712M/NSAJ2 830W 中角 87000
E30712S/NSAJ2 横長
E30602M/NSAJ2 560W 中角 50500
E30602W/NSAJ2 広角
表3 照明設備一覧
機器名称 メインスタンド 西サイドスタンド 東サイドスタンド 鉄塔A1 鉄塔A2 鉄塔B1 鉄塔B2 コース内側 合計台数
E30902N/NSAJ2(狭角)
+LE30802(遮光ルーバ)
47 6 6 19 19 14 14 - 125
E30802M/NSAJ2(中角)
+LE30802(遮光ルーバ)
47 6 6 19 19 14 14 - 125
E30712M/NSAJ2(中角)
+LE30802(遮光ルーバ)
25 - - 7 7 5 5 - 49
E30712S/NSAJ2(横長)
+LE30802(遮光ルーバ)
- 35 35 - - - - - 70
E30602M/NSAJ2(中角) 17 - - 19 19 11 11 6 83
E30602W/NSAJ2(広角) 2 - - 3 3 3 3 - 14
合計台数 138 47 47 67 67 47 47 6 466

3.3 照明制御システム

図12 ITACSコントロールシステム設置状況

照明制御は,ITACSコントロールシステムを使用しており,大型映像操作室内にある主制御盤によって,点灯パターンや点灯区域などをグラフィックパネルで容易に確認して照明制御を行うことができる。また,中央監視室内には副制御盤が設置されており,状況に応じて制御が可能となっている(図12)。

4.おわりに

本競技場は,既設の設備に対して,よりいっそう見え方と省エネにこだわった施設であり,積極的にLED照明器具が採用されている。また,設計期間中に各メーカーから照明器具を集めて,照明実験を行っていただくことで,発注時に最新の照明器具をご提供することが可能となった。

納入後も,現地にて選手および審判団などの各立場から視環境を入念に確認していただき,完成度の高い照明環境にできたことは,今後の競技場ナイター施設の参考になると考えられる。

最後に,松山中央公園多目的競技場の照明設備の完成にあたり,ご指導,ご協力をいただいたすべての皆さまに心よりお礼申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第38号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年4月27日入稿)


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