光応用の知識

電子線滅菌

1.電子線とは

真空チャンバーの中に置かれたフィラメントを加熱すると表面から熱電子が放出してきます。熱電子はまずグリッドにかけられた弱い電圧により引き寄せられ、さらにウインドーにかけられた高い電圧(加速電圧)により加速され、スピードを増し、ついにはウインドーの薄い膜を通過して外界に飛び出します。電子線とはこのような電子の束のことで、滅菌はこの電子線(EB)のエネルギーを利用するものです。

図1 電子線の発生装置

エレクトロカーテン処理装置とEPZエレクトロカーテン処理装置の図

電子線は放射線の仲間で電気をもった粒子線に分類されています。よく、滅菌に使用される放射線としてガンマー線(γ線)がありますが、これは電磁波で光の仲間です。

図2 主な放射線の分類

  • 放射線
    • 電磁放射線
      • X線(制動X線、特性X線など、核外電子の減少に伴って出る)
      • γ線(原子核のエネルギー状態の変化に伴って出る)
    • 電気をもった粒子線
      • β-線(原子核から放出される電子)
      • β+線(原子核から放出される陽電子)
      • 電子線(加速器で作られる)
      • 陽子線(加速器で作られる)
      • 重陽子線(加速器で作られる)
      • α線(原子核から放出されるHe原子核)
      • 種々の重イオンや中間子(加速器で作られる)
    • 電気をもたない粒子線
      • 中性子線(原子炉、加速器、ラジオアイソトープなどを利用して作られる)

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