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技術資料

紫外線消毒装置の消毒特性に関する検討

研究開発本部 技術研究所 光応用基礎研究室 岩崎達行
立命館大学大学院 理工学部 安井宣仁
立命館大学 理工学部 神子直之

キーワード

紫外線消毒装置,消毒特製,クリプトスポリジウム,不活化実験,トレーサー実験,流動状態

1.はじめに

平成19年に厚生労働省令第54号「水道におけるクリプトスポリジウム対策指針」が施行され,クリプトスポリジウム対策として紫外線を上水に適用することが認められた。厚生労働省における紫外線照射槽の規定は性能規定であり,現段階では流水式紫外線装置の消毒効率を求める際,「生物線量計」によって紫外線量を測定し,決定している。しかし,使用する微生物により換算等価紫外線量が異なり,平均紫外線照度や平均滞留時間を用いて装置の消毒効率を算定することはできない。

そこで,本研究では実規模紫外線消毒装置を用い,照射槽内の流動特性から照射槽における消毒効果の決定要因を明らかにすることを目的とし,装置の消毒特性に及ぼす影響を検討した。

  • ※換算等価紫外線量(RED:Reduction Equivalent Dose)とは,照射槽内で実際に与えられた紫外線量を表す指標の一つで,予め紫外線感受性を測定してある指標微生物を使用して装置の不活化試験を行ない,その不活化率から逆算して得られる紫外線量。

2.実験材料と方法

本研究では実規模装置を用い,指標微生物として大腸菌ファージQβを用いた不活化実験と装置内流動を把握するための塩水を用いたトレーサー実験を行なった。実験に用いた装置は,65Wの紫外線ランプが3灯点灯可能な装置Aと水槽厚さが異なる120Wの紫外線ランプを用いた装置B,Cの計3装置を用いた。表1に実規模紫外線消毒装置の詳細を示す。

表1 装置概略
使用装置 ランプ出力(W) 容積(ℓ) ランプ灯数(本)
A 65 10.8 3
B 120 6.0 1
C 120 2.3 1

2.1 不活化実験

10m³水槽に水道水を貯留し,チオ硫酸(50ppm)を添加した後ポンプで循環させた。完全に残留塩素が無くなったことを確認後,大腸菌ファージQβ溶液(濃度1×10¹⁰PFU/mℓ)を3.5ℓ投入した。各実験条件下で反応装置にポンプで送水し,装置容積の約3~4倍の流量を通水させた後,出口水をサンプリングした。実験は,各装置において流量変化による不活化の影響を検討するために流量を段階的に変化させて実験を行なった。また,装置Aを用い紫外線ランプ点灯数を変化させ,ランプ出力の影響を検討するための実験を行なった。実験条件を表2に示す。尚,流量は超音波流量計ならびに実測により測定した。

表2 実験条件
RUN No. 使用装置 点灯数(本) 流量(m³/h)
1-1 A 1 6.20, 8.31, 10.32
1-2 2 4.90, 6.65, 9.27, 12.29, 16.06, 20.02
1-3 3 18.00, 23.35, 30.47, 35.85
2 B 1 5.06, 6.66, 9.18
3 C 1 5.00, 6.48, 9.63

2.2 トレーサー実験

不活化実験と同様の装置を用い,10m³水槽に貯留した水道水をポンプで送水しながら下記の条件にて実験を行なった。

トレーサー実験1
塩分濃度約2%の塩水を約1秒間同時に送水し,装置の入口水と出口水を0.25~0.5秒間隔でサンプリングし,電気伝導率計(東亜MJ-21)を用いて電気伝導率を測定した。
トレーサー実験2
配管途中へ塩分濃度約30%の塩水を60mℓ投入し,槽内の入口,出口でXPlorer-GLX(島津理化)を使用し,0.05秒間隔(20Hz)で電気伝導率を測定した。

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