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技術資料

トンネル照明器具の今日と最新技術

国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター 稲森 真

キーワード

トンネル,照明器具,HIDランプ,カウンタービーム照明方式,高効率,調光

  • ※この記事は執筆時現在(2007年3月12日入稿)の情報をもとに作成されております。
    一部の内容がご覧いただいた時点の最新の情報と差異がありますことをご了承ください。

1.はじめに

トンネル照明は,道路照明の一部をなすものであるが,いくつかの点で視覚条件が一般の道路照明とは著しく異なっており,その計画に当たっては特別な対策が必要である。

ここでは,トンネル照明に関する基本的な事柄の説明を行なうとともに,トンネル照明に用いられるHIDランプ(高輝度放電ランプ)用照明器具の最新動向について紹介する。

2.トンネル照明の基本

2.1 トンネル照明の目的1)2)

道路照明施設設置基準によれば,「トンネル照明はトンネル内部の特殊な条件下における交通の安全,円滑を確保することを目的とする」と定義されている。

つまり,トンネル照明の目的の1つは,主に昼間時の明るい野外から暗いトンネル内に進入するときに,安全かつ快適に車両が走行できるようにすることである。したがって,照明設備は野外の明るさ(野外輝度)に応じたトンネル内部の明るさを得る必要があり,設置に当たってはトンネル付近の地形,方位,設計速度,交通量,接続道路の線形などを把握することが重要となる。

また,トンネルは密閉された空間であり,天井,壁面の輝度が走行する運転者の視覚情報の確保に影響を与えるため,運転者が安全かつ快適に走行するためには路面だけではなく天井,壁面をも含めた明るさのバランスを適切にし,良好な視環境をつくる必要がある。

2.2 トンネル照明の必要性2)3)

昼間のトンネル付近における視覚条件は,いくつかの点で一般部の道路と著しく異なっており,特別な対策が必要である。

昼間,トンネル付近で起こる主要な視覚的問題点を,一般部の道路からトンネルに接近し,トンネルを通過したのち再び一般部の道路に出るまでの時間的経過に従って述べる。

  1. ブラックホール現象とブラックフレーム現象
  2. 順応の遅れ現象
  3. フリッカ現象
  4. 透過率の低下
2.2.1 ブラックホール現象とブラックフレーム現象

昼間,野外の道路を走行してきた車両が,照明の不完全なトンネルの入口に接近したとき,運転者にはトンネルが図1のように黒い穴,または黒い枠に見え内部の詳細を識別できなくなることがある。これがブラックホール現象,またはブラックフレーム現象と呼ばれる現象である。

図1 トンネルに接近中の視覚的問題点 (a)ブラックホール現象

(a)ブラックホール現象

図1 トンネルに接近中の視覚的問題点 (b)ブラックフレーム現象

(b)ブラックフレーム現象

図1 トンネルに接近中の視覚的問題点

(©(社)照明学会1968)
※上図は,(社)照明学会1968「新編照明のデータブック」より抜粋

2.2.2 順応の遅れ現象

車両が照明の不完全なトンネルに進入した直後,しばらくの間,運転者にはトンネル内が非常に暗く見え,その詳細を識別できなくなることがある(図2)。これが,順応の遅れ現象(ブラックアウト現象)と呼ばれるものである。

この原因は,野外の明るさに順応している運転者の目が,急に暗い視野を見たとき,それに順応するため若干の時間的経緯を必要とするためで,車両の進行にともなう経過時間と順応変化の関係に対応できるだけの照明がトンネル内に設置されていないときに発生する。

図2 トンネル進入直後の視覚的問題点

図2 トンネル進入直後の視覚的問題点

2.2.3 フリッカ現象

車両がトンネル内を走行しているとき,車両の室内や先行する車両の背面が,明るくなったり暗くなったりすることを繰り返し,一種のちらつきを生じて不快感を与えることがある。これがトンネル照明におけるフリッカ現象である。

この原因は,まず照明器具が一定の間隔に取り付けられており,かつ,その取り付け高さが低いことであり,このために照明器具の直下付近では明るく,照明器具と器具の間で暗くなることにある。しかし,それだけで必ずしも不快感を生ずるとはいえず,照明器具の取り付け間隔と車両の走行速度の関係によって決まる,ちらつきの周波数のほか,明暗の輝度比,明暗の時間比などの組み合わせが影響する(図3)。

したがって,これらを適切な範囲に維持すれば,ちらつきによる不快感を防ぐことができる。

図3 トンネル照明のフリッカ現象

図3 トンネル照明のフリッカ現象

2.2.4 透過率の低下

トンネルの交通状況に対してトンネル内の換気が不十分であると,自動車の排気ガス(煤煙)がトンネル内に充満し,空気中の光の透過率が低下して視認性が低下することがある。通常,このような透過率の低下は,衛生的見地からもできるだけ避けなければならないが,実際のトンネルでは,たとえ衛生的に許容し得る状態であっても,障害物の視認が困難となる場合がある。

そこで,透過率を一定以上に維持できるように,換気設備を設けるなどの対策が必要である。また,空気の透過率が大きく低下した場合の視認性は,路面輝度のほか,照明に使用する光源の種類によっても影響される。

2.3 トンネル照明の構成2)

トンネル照明は,前項に示す必要性などにより設置目的が異なる4種類の照明から構成される(図4)。

  1. 基本照明(停電時用照明を含む)
  2. 入口照明
  3. 出口照明
  4. 接続道路の照明
図4 トンネル照明の構成

図4 トンネル照明の構成

(©(財)日本道路協会1981)
※図は,(財)日本道路協会1981「道路照明施設設置基準・同解説」より抜粋

参考文献

  1. 建設省:道路照明施設設置基準,都市局長・道路局長通達(1981).
  2. (財)日本道路協会:道路照明施設設置基準・同解説,(財)日本道路協会,pp.60-78(1981).
  3. (社)照明学会:新編照明のデータブック,(株)オーム社,pp.500-504(1968).

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