技術資料

昼間用LED視線誘導灯の所要光度と設置方法に関する研究

技術開発室 技術部 技術開発グループ
情報機器事業部 事業推進部
国内営業本部 営業技術部 LCS

キーワード

視線誘導,LED,視認性,安全,安心

2.所要光度についての実験(続き)

2.4 評価手順

被験者は運転免許を所持する18名とした。被験者は以下の手順で視認実験を行った。

  1. 視標から75mと100mの位置に椅子を6脚配置し,被験者を着席させる(図5)
  2. LEDの発光面積を変えながら,かつ調光をランダムに行う(図6)
  3. 発光面は暗幕の開閉により,1.0秒間だけ提示する。
  4. その都度,6段階で印象評価する(表2)。

図5 観測位置

図6 LED実験装置

2.5 実験結果

48通りのデータは,各刺激に対して被験者18名のデータがほぼ正規分布をしていることを確認し,48×18のデータを基に,評価カテゴリ間の距離を系列範疇法にて求めた。これを表6に示す。

表6 主観評価
距離尺度 評価カテゴリ
6.58 非常に目立つがまぶしい
4.88 非常に目立つ
3.33 目立つ
2.09 やや目立つ
1.45 見えるが目立つほどではない
1.00 かろうじて見える

次に,この距離尺度を基に各刺激の平均値を求め,光度と目立ち度の関係と,視覚サイズと光度の関係を図に描いた。

図7の光度と目立ち度の関係は,横軸に光度,縦軸に目立ち度の評価得点とし,それぞれの視覚サイズを変えたときの,光度と目立ち度評価得点の関係を表している。いずれの視覚サイズにおいても,光度が等比級数的に増加すると,それに伴い評価得点が等差級数的に増加していることがわかる。また,同じ光度では視覚サイズが小さくなるほど,評価得点が高くなる傾向がある。

図7 光度と目立ち度の関係

図8の視覚サイズと光度の関係は,横軸に視覚サイズを,縦軸に光度とし,各評価を得るための視覚サイズと光度の関係を表している。この図から「非常に目立つ」を得るための所要光度は,視覚サイズによらず約1000cd,「目立つ」を得るための所要光度は,視覚サイズ2~5分で500~700cd,5~7分で700~1000cdとなった。

図8 視覚サイズと光度の関係

2.6 考察

LED視線誘導灯の見え方の要因は,主に光度と見かけの大きさからなると思われる。LED視線誘導灯が注意喚起に必要な「目立つ」の評価を得るために必要である視覚サイズと光度は,2~5分で500~700cd,5~7分で700~1000cdとなったが,これは観測距離75~100mにおける発光面の大きさが前者は5×10cm~10×10cm,後者が15×15cm~20×20cmに相当する。

同じ光度であれば,視覚サイズが小さい方が評価が高い傾向を示したが,これは点光源に近づくほど,明るく感じられるためだと推測される。しかし,視線誘導灯の存在が予め示されていない場合には,視覚サイズが大きいほど誘目性が高くなると考えられる。

2.7 結論

昼間時,注意喚起(ここでは目立つ)のために必要なLED視線誘導灯の所要光度と発光面の大きさは,実際の設置を考慮した75~100mの距離から観測した結果によれば,

  • 5×10cm~10×10cm程度の大きさで500~700cd程度
  • 15×15cm~20×20cmで700~1000cd程度

と推測される。


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