技術資料

動画像を用いたトンネル基本照明の不点検知の自動化

国内営業本部 営業技術部 照明研究課

キーワード

写真測光,トンネル基本照明,路面輝度測定,不点検知,動画

3.不点検知ソフトウェア(eLscope®)の概要

筆者らは,動画像を解析し,「不点検知」および「路面輝度測定」を行うソフトウェア(eLscope®)の開発を行った。eLscope®は,本報で述べた不点検知処理に加え,先報で述べた路面輝度測定を同時に解析することが可能となっている。

図11,図12にeLscope®のユーザインターフェース(UI)を示す。図11は,動画プレビュー画面,図12は,解析設定画面を示す。eLscope®では,以下の手順で検知結果が得られる。

  1. 動画ファイルの読込
  2. 解析始点を設定
  3. 解析終点を設定
  4. 検知区間距離を入力
  5. マスク更新ボタン押下
    (平均速度,灯具間隔,検知マスクを自動設定)
  6. 解析開始ボタン押下

図13に,結果表示画面を示す。検知結果は,画面右下に表示され,正常点灯は○,不点は,赤塗で×と表示される。また,検知結果とともに路面輝度グラフ,路面輝度分布が表示される。

図11 ソフトUI1(動画プレビュー画面)

図12 ソフトUI2(解析設定画面)

図13 ソフトUI3(結果表示画面)

4.eLscope®による不点検知の検証

不点検知の検証は,トンネルの基本照明部を撮影した動画に写っている一部の灯具を不点状態に見立てて(動画編集ソフトによって黒色のマスクを掛けて)実施した。検証の条件は,検知区間1240mのトンネルで,灯具間隔は未知,20灯を仮想的な不点状態とした。

図14に,不点検知の結果を示す。横軸は検知区間の距離を表す。図中プロットした緑円は,仮想不点灯具の場所,赤円は動画処理により不点と判断された場所を表す。検知区間には,照明器具が360灯設置されている。図より,動画処理により不点と判断された20ヶ所は,仮想不点灯具の場所とほぼ一致していることが確認できる。また,マスクをかけていない灯具340灯については,正常点灯と判断された。よって,提案した方法で不点検知が行えるということが確認できた。

図14 不点検知の検証結果

5.まとめ

本報では,路面を撮影した動画より不点検知を行う方法について検討し,検証を行った。その結果,走行速度が一定かつ灯具間隔が一定の場合,不点検知が可能であることが確認できた。

しかし,灯具が一定間隔で設置されていても,カーブなどで,見た目の灯具間隔が変化した場合,正確な検知が行えない可能性がある。そのため,今後は,不規則に設置された灯具の不点検知方法などの検討を行う。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第32号掲載記事に基づいて作成しました。
(2015年5月30日入稿)


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