技術資料

□500mmスペクトル可変光シミュレータ

光応用事業本部 光応用部 光学技術課
技術本部 研究開発部 光技術基礎研究課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
光応用事業本部 光デバイス部 光技術課

キーワード

スペクトル可変,シミュレータ,太陽電池

3.特徴・機能

本装置の主な特徴を示す。

  1. 1台の装置で4種類の光源の近似スペクトルを出力可能。
  2. 照度の場所むらが±10%以下。
  3. 照度の時間変動率が±1%以下。
  4. スペクトル,照度の場所むらを維持したまま調光が可能(1.3~100%)。
  5. 照射部は外光を遮光するためフード付き。

3.1 出射光スペクトル

表2に本装置の出射光分光スペクトル図および実際の照射状態を示す。

表2 出射光分光スペクトル図,および実際の照射状態

出射光分光スペクトル 実際の照射状態
白色LED
近似スペクトル
ハロゲンランプ
近似スペクトル
蛍光灯
近似スペクトル
太陽光
近似スペクトル

スペクトル合致度はある波長帯(λi~λi+1の間)でのスペクトルの合致度で,以下の式により定義される(JIS C 8912)。

\( M_{i}= \dfrac{\int_{\lambda_{i}}^{\lambda_{i}}+ \scriptsize{1} \normalsize{E}_{s}(\lambda)d \lambda}{\int_{\lambda_{i}}^{\lambda_{i}}+ \scriptsize{1} \normalsize{E}_{0}(\lambda)d \lambda} \)

ここに,

\( M_{i} \)
スペクトル合致度
\( \lambda \)
光の波長[nm]
\( E_{0}(\lambda) \)
波長λでの基準太陽光の分光放射照度[W/m²・nm]
\( E_{s}(\lambda) \)
波長λでのソーラーシミュレータの分光放射照度[W/m²・nm]

本装置においては,太陽光近似スペクトルのスペクトル合致度はJIS C 8912準拠とした。白色LED,ダイクロクールハロゲンランプ,三波長型蛍光灯については規格が存在しないため,JIS C 8912を参考に独自基準を定めている。

3.2 照度の場所むら

図3 照度の場所むら測定結果
(太陽光近似スペクトル)

図3に本装置の照射野(□500mm)における照度の場所むら測定結果の一例を示す。

ソーラーシミュレータの放射照度の場所むらは以下の式により定義され(JIS C 8912),これに準拠する測定を行っている。

\( \Delta E= \pm \dfrac{E_{max}-E_{min}}{E_{max}-E_{min}} \times 100 \)

ここに,

\( \Delta E \)
放射照度の場所むら[%]
\( E_{max} \)
放射照度の最大値[W/m²]
\( E_{min} \)
放射照度の最小値[W/m²]

3.3 放射照度時間変動率

図4 照度時間変動率測定結果
(太陽光近似スペクトル)

図4に本装置の照度時間変動率測定結果の一例を示す。

放射照度時間変動率は以下の式により定義され(JIS C 8912),これに準拠する測定を行っている。

\( \Delta E= \pm \dfrac{E_{max}-E_{min}}{E_{max}-E_{min}} \times 100 \)

ここに,

\( \Delta E \)
放射照度時間変動率[%/規定時間]
\( E_{max} \)
放射照度の最大値[W/m²]
\( E_{min} \)
放射照度の最小値[W/m²]

4.おわりに

本装置は太陽電池の評価以外にも,さまざまな屋内光源下でのものの見え方評価や耐久性試験などに使用できる可能性がある。今後も市場ニーズに即した開発・展開を進めたいと考える。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第26号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年5月28日入稿)


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