技術資料

LED低温倉庫用照明器具

製造統括本部 照明部 商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課
製造統括本部 電子機器部 インバータ課

キーワード

低温倉庫用,LED,コンパクト,省エネ,長寿命

3.機能・特長

3.1 器具からの発熱を抑えて冷凍負荷を抑制

LED照明は器具の表面温度が低いため,冷凍負荷を低減できる。従来品と比較して,冷凍機の消費電力削減に貢献する。図2に表面温度の比較の一例を示す。

図2 低温倉庫用器具の表面温度比較

3.2 低温環境でも高効率

従来の蛍光ランプでは低温により減光するため,あらかじめ取付台数を増やしておくなど,余分な電力消費が発生していたが,LEDの素子は低温環境でも高効率を維持することができるため,増灯しておく必要がない。必要な電力のみを確保して,省エネを実現することが出来る。図3にLED器具と蛍光灯器具の低温光出力特性比較を示す。

LEDioc CEILING 低温対応形
高圧ナトリウムランプ70W用低温対応器具

図3 低温光出力特性比較

3.3 薄型設計で庫内作業がスムーズ

位置ボックス取付形は,天井から照明器具底面までが112mmと,薄型の設計を実現した。すっきりと収まるフラットな形状のため,庫内での荷物運搬作業を妨げない。

吊下形に関しても,従来品よりもコンパクトになっているため,庫内を有効に活用できる。図4に従来品とのサイズ比較を示す。

図4 従来品とのサイズ比較

LEDioc CEILING 低温対応形(黒)と高圧ナトリウムランプ70W用低温対応器具(灰)

3.4 配光性能

前述の薄型設計を行う上でのリスクとして,放熱量の低下,ひいては光束の低下があげられるが,低温光出力特性を加味した筐体設計や,LEDモジュールの放熱経路を検討することで,従来品と同じ設置条件でほぼ同等の維持水平面照度を実現させ,大幅な省エネにより付加価値を向上させることが可能となった。

維持水平面照度分布,消費電力の比較例を表2に示す。

表2 水平面照度分布,消費電力の比較例

  • A低温用高圧ナトリウムランプ照明器具
  • Bレディオック シーリング 低温対応形43Wタイプ(EQCL1003CSA9)

光源

  • A低温用高圧ナトリウムランプ70W
  • BLED

灯数

  • A40灯
  • B40灯

灯数そのまま(既設が端子箱付ならそのまま簡単リニューアル)

消費電力※2

  • A3400W(85W×40)
  • B1720W(43W×40)

約49%省エネ

年間電気料金※3

  • A214,200円
  • B108,360円

105,840円お得

年間CO₂排出量※4

  • A約4386kg-CO₂
  • B約2219kg-CO₂

約2167kg-CO₂削減

光源寿命

  • A9000時間
  • B60000時間

寿命6倍以上

平均水平面照度※5

  • A103ℓx
  • B107ℓx

明るさ同等

  • ※1:保守率:低温用高圧ナトリウムランプ0.83 LED0.63/取付高さ:5m/反射率:天井30% 壁面30% 床面10%
  • ※2:消費電力は、定格電圧入力時の入力電力とする
  • ※3:電気料金目安単価は21円/kWh(税抜)、年間点灯時間は3000時間で計算
  • ※4:CO₂排出量は0.43kg-CO₂/kWhとして算出
  • ※5:商品特性は周囲温度-40℃時の特性を示す

4.おわりに

当社として,初の低温用LED照明器具の開発であり,技術的な課題や制約が多く,限られた時間軸でどこまで実施可能か,課題を抽出し,手順を決め取り組んだ。本製品は性能を満足させ,発売することができたが,LED照明は市場スピードが早いため,更なる性能向上・コストダウンが求められる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第26号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年5月31日入稿)


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