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技術資料

促進耐候性試験機の現状

光応用事業部 光応用開発部 ソフトエンジニアリング課

キーワード

促進耐候性試験機,キセノンランプ式,メタルハライドランプ式,太陽光

3.メタルハライドランプ式耐候性試験機の詳細

メタルハライドランプ式耐候性試験機は光源にメタルハライドランプを使用した耐候性試験機であり,約20年の歴史がある。4kWから6kWクラスのランプが多く使われている。主な試験機メーカーを表1に示す。

当初はフェードタイプのみであったが,相関性向上を目的としてシャワーや湿度管理,サイクル運転ができるようになった。メタルハライドランプ式耐候性試験機は規格としては日本試験機工業会の装置規格JTM G 01:2000があるのみであり,公的な規格試験は無いのが実情である。しかし,促進性が高い特長から開発品のふるいわけによく利用されている。安定剤の配合比を変えて耐候性を比較する場合や現行品と新規開発品の比較等で威力を発揮する。

表1 促進耐候性試験機の主なメーカー

(1)メタルハライドランプ方式
メーカー 形式 光源
岩崎電気 SUV-W151 4kW
スガ試験機 M6T 6kW
ダイプラウインテス DMW 4~6kW

※価格は900から1,500万円

一例として試料がウレタン白塗装の場合の,オープンフレームカーボンアーク式耐候性試験機との比較を図6に示す。促進倍率はオープンフレームカーボンアーク式耐候性試験機の10倍以上となっている。なお試料回転式タイプもあるが,多くは試料固定式となっており,有効面積内の照度,温度の均整度が試験の精度に大きく影響する。

図6-ウレタン白塗装のメタルハライド式(SUV)とオープンフレームカーボン式(SWOM)試験機での光沢度保持率の経時変化
図6-ウレタン白塗装のメタルハライド式(SUV)とオープンフレームカーボン式(SWOM)試験機での光沢度保持率の経時変化

3.1 他の試験機との相違

  1. 強い紫外放射
    • 前述したように太陽光の約20~30倍の紫外放射があるため,他の試験よりも圧倒的に早い促進性が得られている。原則として,太陽光にない290nm未満の短波長域の光はフィルターでカットされ放射されない。
  2. 自由度の高い動作モード
    • 照射モード以外にも結露モードや休止モードがあり,ユーザーが相関性の高い試験条件を自由に組み合わせることができる。照射モードでは温湿度制御,照射中のシャワーなど他の試験機と同様に制御が可能である。結露モードではモードの初期30分間に加湿と試料板裏側の水循環により強制的に結露を作り出し,その状態を保つ。休止モードは暗黒モードとも呼ばれ,ランプ消灯,温湿度制御を行なうモードである。また,モードの移行時にシャワーをすることができ,屋外暴露との相関性を高めている。
  3. 特徴的なシャワー方法
    • シャワーは,オープンフレームカーボンアーク式耐候性試験機やキセノンランプ式耐候性試験機と違い,噴霧時間が数十秒と短時間である。メタルハライドランプ式耐候性試験機は20°前後の傾きで試料を固定しており,垂直に試料を設置しシャワーを噴霧する他の試験機とはシャワー方法が異なっている。

3.2 メタルハライドランプ式耐候性試験機の課題

各社が独自に展開しているメタルハライドランプ式耐候性試験機であるが,デメリットもいくつかある。照度が各社によって異なっている点がまず挙げられる。照度は耐候性試験機にとって最も重要なパラメータであるが,この測定方法が各社バラバラなのが実情である。各社まちまちの照度計仕様となっているため,異なる機種間での比較が行ないにくい。同様に結露モード,シャワー方法なども各社で異なっている。これらの仕様をどの程度まで統一化できるかが今後の課題となる。今後の動きとしては,他の劣化因子を組み合わせた複合試験機への移行やさらに相関性を高めるための改善が主となるであろう。

4.キセノンランプ式耐候性試験機の詳細

キセノンランプ式耐候性試験機は太陽光に近似していることから規格試験に多く用いられており,ISO,ASTM,JIS等に数十の多くの試験方法が規格化されている。試験は試料に適した試験規格で行ない,耐候性を評価することになる。主な試験機メーカーを表2に示す。

表2 促進耐候性試験機の主なメーカー

(2)キセノンランプ式
メーカー 形式 光源
岩崎電気 XER-W75 7.5kW
スガ試験機 SX-75 7.5kW
アトラス Ci4000 6.5kW

※価格は800から1,500万円

4.1 キセノンランプ式耐候性試験機の強エネルギーと標準エネルギーの比較

キセノンランプ式耐候性試験機は太陽光と同等な光量の標準エネルギー60W/m²タイプと強エネルギー180W/m²タイプの2つがある。180W/m²タイプは光量が3倍ではあるが,促進性は高くても2倍程度となっている(図7)。これは,劣化が紫外線だけで起こるのではなく,熱や水による影響も大きいため紫外線の3倍の差が熱や水による劣化である程度隠されるためと考えられる。

図7-ウレタン塗装(白)のキセノンランプの紫外線出力の違いによる光沢度の経時変化

図7-ウレタン塗装(白)のキセノンランプの紫外線出力の違いによる光沢度の経時変化

4.2 温湿度の制御

ブラックパネル温度(BPT)もしくはブラックスタンダード温度(BST)を用いて温度制御を行なっている。この値は実際の試料温度とは異なっている点に注意する必要がある。白系の試料は制御温度より低くなり,結果として白色の試料が黒色の試料より試験結果が良くなる場合がある。これはどの耐候性試験機でも同様である。また,BPTとBSTの温度の違いにも注意する必要がある。

湿度は試験槽内の光が遮断されている部分の相対湿度を測定している。例えば,あるキセノンランプ式耐候性試験機では紫外線照度180W/m²,ブラックパネル温度63℃の場合槽内温度は約30℃であり,その場合30℃での相対湿度となっている。そのため,試料表面の湿度は実際にはかなり低い値で試験が行なわれている。

4.3 キセノンランプ式耐候性試験機の課題

キセノンランプ式耐候性試験機はメタルハライドランプ式耐候性試験機に比べ比較的同じような仕様で装置が作られているが,メーカー間の格差は現実として存在する。試験機が異なっても試験結果の比較が簡単に行なえるよう改善が必要である。また,促進試験機とは言え,試験時間は数千時間に及ぶ場合も多々あり,試験可能試料枚数の増大が求められている。


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