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施設報告

花咲スポーツ公園硬式野球場の照明設備 - 野球場納入施設例 -

国内営業本部 東日本設計センター
国内営業本部 営業技術部 営業技術企画課
国内営業本部 旭川事務所

キーワード

花咲スポーツ公園,スタルヒン球場,プロ野球,高効率形投光器,光害対策

1.はじめに

北海道旭川市にある花咲スポーツ公園は軟式野球場,陸上競技場,テニスコート等が完備されており,硬式野球場は旭川出身の大投手の名前にちなみ「スタルヒン球場」という愛称で親しまれている。両翼95m,センター120m,収容人数25,000人という規模を誇り,夏期にはデーゲームで年間数試合のプロ野球を開催していたが,平日のデーゲームが多く,北海道内にはナイター設備の完備されている野球場が札幌ドームしかないため,市民からもナイター設備の要望が多く,旭川の市長選の公約に掲げる候補者が出るほど熱く望まれた設備である。

図1 球場内全景

図1 球場内全景

図2 照明器具設置状況

図2 照明器具設置状況

2013年5月に完成し,6月には北海道内初となるプロ野球の屋外ナイトゲーム「北海道日本ハムファイターズ対横浜DeNAベイスターズ」戦が開催された。

本稿では同照明設備の概要について紹介する。

2.照明設計

本施設の照明設計を行うにあたり,下記の事項に留意し設計を行った。

  1. プロ野球のハイビジョン放送に対応するため,色温度,演色性,水平面照度,空間照度を確保すると共にグレアの軽減を図る。
  2. 施設周辺には自衛隊駐屯地,旭川北高校舎,住宅地があるため,周辺への漏れ光及び上空への漏れ光を軽減する。
  3. 高効率な投光器及びランプを採用し設置台数の削減を図り,省エネ効果を高める。
  4. スコアーボードが既設の磁気反転式のため,スコアーボードの照明を行うが,周囲の明るさを考慮した照度を確保し,観客目線で見やすい照明とする。

3.照明設備

照明設備は高効率形投光器(アクロスター™内蔵ルーバータイプ;H5312SL,H5312DL)を504台採用し,夜空の明るさへの影響を低減した環境に優しい照明としている。

光源は高効率形メタルハライドランプ1.5kWと高演色形メタルハライドランプ1.5kW(MT1500B-D/BH)の混光照明とし,高効率形メタルハライドランプ1.5kWは昆虫の好む波長(380nm以下)を大幅にカットした低誘虫形(MT1500B/BH-M/UVC)を採用し,試合開催時の球場内及び周辺住宅の害虫対策も考慮されている。

また,保安灯としては従来使用されてきたハロゲン投光器に代え,省電力かつ長寿命(60,000時間)である高出力形LED投光器(レディオックシーリング™ HB タイプF 狭角形 EHCL19751N/SA1/2.4)を36台採用し,即時点灯可能としている。

鉄塔の配置は,JIS基準に基づいて6基制とし,器具取付高さは最下段37mとし,プレーヤーに対するグレアも考慮されている。

照明の点灯パターンは,プロ野球点灯1パターン,硬式野球点灯3パターン,イベント点灯1パターンの5パターンの他,保守点検パターン,保安点灯パターンの全7パターンで構成されている。

表1に野球場照明プロ野球点灯時のグラウンド各エリアの照度及び均斉度,表2に照明設備一覧表,図3にプロ野球点灯時の照度分布図を示す。

表1 プロ野球点灯時の照度及び均斉度 照明範囲及び設計照度
照明範囲 照明面積(m²) 基準照度(ℓx) 維持平均照度(ℓx) 最大照度(ℓx) 最小照度(ℓx) 基準均斉度
(最小/平均)
均斉度
(最小/平均)
バッテリー間 280 2500以上 2704 2921 2432 - 0.899
内野 1320 2000以上 2282 2760 1808 0.75 0.792
外野・残部 11500 1200以上 1314 2178 924 0.65 0.703
全体 13100 - 1431 2921 924 - 0.645

注記:保守率はM=0.70(周囲環境は良い)とする。

表2 照明設備一覧 照明塔別数量表
照明塔 狭角形投光器 中角形投光器 狭角形投光器 保安灯用投光器 合計 塔内灯
H5312SL H5312DL H5312SL EHCL1975N/SA1/2.4 KDE1001B/SA1/2.4
MT1500B/BH-M/UVC MT1500B-D/BH 白色タイプLED21W×8 白色タイプLED17W
M15BCAP415A01/SUS M15BDCAP415A01/SUS - -
No.1 25(25) 20(20) 39(39) 6(0) 90(84) 6
No.2 25(25) 20(20) 39(39) 6(0) 90(84) 6
No.3 27(27) 18(18) 39(39) 6(0) 90(84) 6
No.4 27(27) 18(18) 39(39) 6(0) 90(84) 6
No.5 29(29) 16(16) 39(39) 6(0) 90(84) 6
No.6 29(29) 16(16) 39(39) 6(0) 90(84) 6
合計 162(162) 108(108) 234(234) 36(0) 540(504) 36
270(270)

注記:( )内の数値は,プロ野球パターンにおける点灯数量を示す。

図3 照度分布図(プロ野球点灯時)

図3 照度分布図(プロ野球点灯時)

注記)曲線上の数値は維持水平面照度とする。単位:ℓx,保守率M=0.7

なお,光源の色温度及び平均演色評価数はJIS Z 9127で定められている。

テレビジョン撮影を行う場合,色温度は4000K~6500K,平均演色評価数Raは80以上とされている。

本施設は高効率形メタルハライドランプと高演色形メタルハライドランプの混光で効率の高い高演色照明を実現している。プロ野球点灯の場合の色温度は4500K,平均演色評価数はRa80と,いずれも基準を満足している。

図4 照明器具設置状況(スコアーボード)

図4 照明器具設置状況(スコアーボード)

硬式野球の点灯パターンの区分1以下は高効率形メタルハライドランプのみの点灯で,効率の高い省エネ照明となっている。

鉄塔内には点検時に昇降するための保安灯が設置されているが,鉄塔内部は結露が発生する為,器具の絶縁不良が多く発生する。今回採用のLED防浸形LED器具 KDE1001B/SA1/2.4は,一時的に水没しても問題なく使用できる器具であり,長寿命,省エネ,耐絶縁機能を兼ね備えた器具となっている。

既設の磁気反転式スコアーボードには,ナイター開催時の観客からの視認性を考慮し,球場照明に使用している低誘虫高効率形メタルハライドランプの1.0kWを採用し違和感を感じさせない照明とした。スコアーボード照明の基準は無く,プロ野球照明の場内照度は非常に高いため,スコアーボード面平均照度を1000ℓx程度とし,アクロスター中角形投光器H5312DLを10台設置している。

図5 スコアーボード照明状況

図5 スコアーボード照明状況

4.おわりに

北海道初の屋外プロ野球ナイター設備で,注目度も高く工事期間も短い中,全ての規準を満足する設備を完成することができた。

LEDの高容量高演色形投光器も各社より発売されてきている。当社の高出力形LED投光器LEDioc FLOOD DUELL™の採用により,今後高効率・長寿命・省電力のオールLEDのプロ野球ナイター照明施設が完成する日も近いことであろう。

最後に,本施設の完成にあたり,ご指導,ご協力頂きました関係各位に心よりお礼を申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第29号掲載記事に基づいて作成しました。
(2013年11月29日入稿)


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