施設報告

クロス・パズー™の照明設備

国内営業事業部 西東京営業所

キーワード

道路照明,cross-PAZU®,交差点専用照明器具,高圧ナトリウムランプ,NETIS

1. はじめに

近年ETCや消音化等,道路交通網が整備される中,交通事故の発生件数は年々上昇する一方である。平成16年度の交通事故発生件数は90万件を超え,前年と比べても約4200件の増加となっている1)。その中で人と車が交錯する交差点部分では,薄暮時から夜間にかけての交通事故が多発している。これらの状況を踏まえ,国の機関(警視庁や国土交通省)では死傷事故抑止対策を集中的に実施する為,2003年7月頃から交差点の構造の改良や照明灯の増設,建替え等を検討している。

これらの背景の中,当社で開発されたのが交差点専用照明器具「cross-PAZU®(クロス・パズー™)」である。当社で行った照明実験2)の結果から交差点の視環境改善に有効であることが確認され,2003年11月に発売が開始された。約1年半の間に西東京営業所では山梨県管内にcross-PAZU®を約100台納めた。そのうち半数近くは国土交通省甲府河川国道事務所峡南国道出張所管内の国道52号線に納めているので,その実績を紹介する。

2.照明設計

山梨県内の国道は,山間部で線形の変化が多く,変則交差点部や横断歩道部に局部照明を行っている個所が多い。これらの人と車が交錯する危険個所を道路幅員から小規模交差点として位置付け,直線型ストレートテーパーポール10mに高圧ナトリウムランプ180Wのcross-PAZU®を1基または2基設置した(表1)。そのなかで,一現場を取上げて施設例として紹介する。

表1 国道52号線cross-PAZU®設置状況
設置場所 路線形状 設置条件 箇所
山梨県峡南建設部管内 交差点 1基 24
2基 11
合計 35(46灯)

2.1 設置場所概要

今回,施設例として紹介するのは山梨県南巨摩郡身延町八日市場地内(国道52号線)のT字型交差点で,車の交差が比較的多い場所である。交差点の規模としては片側1車線ずつの対面交通で,幅員7mで見通しは良好なT字型交差点である。

2.2 設計提案

図1 フロント-ワイド配光

交差点における照明提案では,設計のポイントとして,cross-PAZU®の採用により今まで設置されているPAZU®の形状は変わらずに交差点の中央部分や横断歩道周辺の照度アップができるということ,そして国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)で新技術として認められており一般的にも使用されているということをPRした。顧客に理解していただく為にNETISに公開されている内容の紹介を全面に出して,併せて照度分布図を持参し説明を行った。(図1)

cross-PAZU®のNETISへの登録(登録No.KT-980165)は,2004年4月より掲載されている。3)

2.3 設置状況

現場には以前KSC-4タイプが道路照明設置基準に基づいて設置されており交差点内の明るさは十分とは言えず危険度が高かった場所である。

ここで,交差点内のコーナー部分にcross-PAZU®を2基設置し,横断歩道および周辺の歩行者と交差点内の車の有無の認識度の向上を図るため,2004年12月設置した。(図2,図3,図4)

今回の現場はT字型交差点の為,本来本線への流入路の突き当たり部分に設置するのが望ましいが,後方が田畑ということもあり設置困難であったためにコーナー部分に2基設置した。そのため,交差点中心部分については照度アップが見られるものの,照明が付いていない反対側に付いては若干暗い部分がある。(図5)今後もこのような交差点に設置する際には設計での注意と,更に器具の改良化が望まれるところである。

図2 配置図

図3 設置状況(昼景)資料提供:日昇電気工業(株)

図4 設置状況(夜景)

図5 点灯状況

3.おわりに

今回,納めさせていただいたcross-PAZU®は,国の機関である国土交通省が運営する新技術情報提供システム(NETIS)による影響が大きかった。顧客からはcross-PAZU®の機能・デザイン・コンセプト等を非常に満足していただいており,多くの交差点に設置され,交差点内の照度がアップしたなど好評をいただいている。

最後に,今回納入させていただいた現場での作業に携わっていただいた皆様,そしてその他支援をしてくださいました皆様方にこの場を借りてお礼を申し上げる次第である。

参考文献

  1. 警察庁交通局:平成16年度中の交通事故発生状況
  2. 魚住・他:新型交差点専用照明器具 -cross-PAZU®-,IWASAKI技報No.9,pp.42-45(2004)
  3. 国土交通省:新技術情報提供システム(NETIS)

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第12号掲載記事に基づいて作成しました。
(2005年4月6日入稿)


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