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施設報告

秋田県立野球場「こまちスタジアム」照明設備 - リニューアルに伴うナイター照明のLED化 -

営業技術部 仙台技術課 鈴木 秀典
国内事業本部 国内営業部 仙台営業所 秋田事務所 野上 一郎

キーワード

秋田県立野球場,こまちスタジアム,LED投光器,LEDioc FLOOD DUELL,LEDioc FLOOD ZEST,ナイター照明,グレア測定

1.はじめに

秋田県立野球場は,両翼100m,センター122m,収容人員25,000人の規模を持つ野球場として2003年に竣工した。開場以来,愛称である「こまちスタジアム」として親しまれている球場では,県内の社会人,大学,高校の公式戦をはじめ,プロ野球公式戦が開催されるなど,アマチュアからプロまで幅広く利用されており,名実ともに秋田県を代表する県下最大の野球場となっている(図1)。

図1 ナイター照明全点灯時のスタジアム全景

図2 ナイター照明全点灯時のセンター方向から膜屋根を望む

メインスタンドのネット裏を覆う秋田名産の米粒を模した白い膜屋根と,秋田竿燈まつりの竿燈をイメージした4基の照明鉄塔が,特徴的な球場となっている。2017年より大規模改修工事を実施し,2018年3月に完了後,同年6月末にリニューアルオープンした(図2,図3)。

図3 秋田竿燈まつりの竿燈をイメージした照明鉄塔

今回の改修工事では,外野の芝生全面張り替えや客席屋根再塗装などにあわせてナイター用の照明鉄塔,架台部分を改修するとともに,照明の省エネ化を図る目的でLED化が実施された。

本稿では,同施設の照明設備について紹介する。

2.照明設計

本施設は,スタジアムにかかる白い膜屋根が特徴的な野球場である。そこに設置されている照明器具は,取付高さが低いため,既設投光器ではグレアが課題となっていた。

また,プロ野球以外に幅広く利用されているため,全点灯以外に,2/3点灯3パターン,1/3点灯3パターンといった点灯パターンが設けられており,各点灯パターンにおける基準値も考慮する必要があった。

照明設計において検討した項目とその基準数値を表1に示す。なお,表中の「GR(Glare Rating)」は不快グレアの評価指標であるグレア比を指す。

表1 各点灯パターンにおける設計基準値
区分 水平面照度 照度均斉度
(最小照度/平均照度)
GR 円筒面照度
全点灯 バッテリー間 2500ℓx以上 - - -
内野 2000ℓx以上 0.75以上 GR55以下 1000ℓx以上
外野 1200ℓx以上 0.65以上 GR55以下 1000ℓx以上
2/3点灯
(3パターン)
内野 1000ℓx以上 0.7以上 - -
外野 750ℓx以上 0.5以上 - -
1/3点灯
(3パターン)
内野 600ℓx以上 0.5以上 - -
外野 400ℓx以上 0.3以上 - -

3.設備概要

3.1 照明設備概要

スタジアム完成から15年が経過し,日本海に隣接した施設であることから設備の腐食進行速度が速いため,腐食対策として照明器具はすべてポリエステル塗装+フッ素塗装の重耐塩仕様とした。本施設に設置した照明器具の特性と設置台数を表2に示す。

表2 照明器具の特性と設置台数
照明用途 設置場所 照明器具名称 照明器具形式 器具光束
(ℓm)
平均演色評価数
(Ra)
定格寿命
(時間)
台数
(台)
競技場照明
(一部保安照明兼用)
照明鉄塔 LEDioc FLOOD DUELL E30712M/N/07635 87000 80 40000 228
E30712W/N/07636 87000 80 40000 60
主アーチ,
水平アーチ
LEDioc FLOOD ZEST E33102N/N/07679 66700 80 40000 122
E33102M/N/07680 98900 80 40000 34
客席用照明 照明鉄塔 LEDioc FLOOD DUELL E30602M/N/07637 50500 80 40000 8
水平アーチ LEDioc FLOOD ZEST E33102M/N/07680 98900 80 40000 6
  • ※器具塗装仕上:ポリエステル塗装+フッ素塗装
  1. 主アーチ,水平アーチの照明器具(内野側)
    既設メタルハライドランプ1500Wに替えて,まぶしさを抑えた配光性能のLED投光器「LEDioc FLOOD ZEST 800クラス」を設置することで,グレアを大幅に抑えることができている。
  2. 4基の照明鉄塔の照明器具(外野側)
    既設メタルハライドランプ1500Wに替えて,高出力形LED投光器「LEDioc FLOOD DUELL 830W/560Wタイプ」を設置している。

内野を「LEDioc FLOOD ZEST」で,外野を「LEDioc FLOOD DUELL」で照らし,大幅な省エネを実現しつつ,プロ野球開催に必要な照度を既設と同等以上に確保している。改修前と改修後の台数と消費電力比較を図4に示す。

図4 改修前後の照明器具台数と消費電力比較

3.2 設計照度

表3,表4に各点灯パターンにおける基準値と測定結果を示し,図5に改修後の全点灯時の水平面照度測定結果を示す。

表3 各点灯パターンにおける設計値および測定結果
点灯パターン 区分 設計値※1 測定値※2 維持値※3 判定
全点灯
(7パターン)
水平面照度 バッテリー間 2500ℓx以上 3169.0ℓx 3010.6ℓx
内野 2000ℓx以上 2526.9ℓx 2400.6ℓx
外野 1200ℓx以上 1478.8ℓx 1404.9ℓx
照度均斉度 内野 0.75以上 0.755 -
外野 0.65以上 0.703 -
GR 内野 GR55以下 表4 -
外野 表4 -
円筒面照度 内野 1000ℓx以上 2056.6ℓx 1953.8ℓx
外野 1189.5ℓx 1130.0ℓx
2/3点灯
(4パターン)
水平面照度 内野 1000ℓx以上 1726.6ℓx 1640.3ℓx
外野 750ℓx以上 965.4ℓx 917.1ℓx
照度均斉度 内野 0.7以上 0.706 -
外野 0.5以上 0.671 -
2/3点灯
(5パターン)
水平面照度 内野 1000ℓx以上 1706.0ℓx 1620.7ℓx
外野 750ℓx以上 986.6ℓx 937.3ℓx
照度均斉度 内野 0.7以上 0.726 -
外野 0.5以上 0.736 -
2/3点灯
(6パターン)
水平面照度 内野 1000ℓx以上 1666.9ℓx 1583.6ℓx
外野 750ℓx以上 957.3ℓx 909.4ℓx
照度均斉度 内野 0.7以上 0.701 -
外野 0.5以上 0.690 -
1/3点灯
(1パターン)
水平面照度 内野 600ℓx以上 855.6ℓx 812.8ℓx
外野 400ℓx以上 479.6ℓx 455.6ℓx
照度均斉度 内野 0.5以上 0.632 -
外野 0.3以上 0.539 -
1/3点灯
(2パターン)
水平面照度 内野 600ℓx以上 862.8ℓx 819.7ℓx
外野 400ℓx以上 494.6ℓx 469.9ℓx
照度均斉度 内野 0.5以上 0.688 -
外野 0.3以上 0.733 -
1/3点灯
(3パターン)
水平面照度 内野 600ℓx以上 827.0ℓx 785.7ℓx
外野 400ℓx以上 483.1ℓx 458.9ℓx
照度均斉度 内野 0.5以上 0.662 -
外野 0.3以上 0.691 -
全点灯
(7パターン)
平均演色評価数 セカンドベース Ra80以上 Ra83 -
注記)
※1設計値の照度は維持照度を示す。
※2測定値は初期照度補正係数(0.85)の掛かった数値となる。
※3設計値は維持照度のため,測定値を維持値に換算した数値を示す。

保守率:0.81(=光束維持率0.85×器具汚れ係数0.95)
維持平均照度=測定平均照度×0.95

表4 全点灯におけるGR設計値および測定結果
点灯パターン 区分 設計値 測定最大値 判定
全点灯(7パターン) GR ファースト GR55以下 48.1
セカンド 47.8
サード 47.3
マウンド 50.6
ホーム 52.2
ライト 50.0
センター 47.6
レフト 49.6

図5 全点灯時の水平面照度測定結果

平均照度,均斉度および範囲
実測水平面照度の結果を示す。
設計値※1 測定平均照度※2 維持平均照度※3
水平面照度 バッテリー間 2500(ℓx)以上 3169.0(ℓx) 3010.6(ℓx)
内野 2000(ℓx)以上 2526.9(ℓx) 2400.6(ℓx)
外野・残部 1200(ℓx)以上 1478.8(ℓx) 1404.9(ℓx)
測定均斉度(最小/平均) 内野 0.75以上 0.755 -
外野・残部 0.65以上 0.703 -
注記)
※1設計値の照度は維持照度を示す。
※2測定値は初期照度補正係数(0.85)の掛かった数値となる。
※3設計値は維持照度のため,測定値を維持値に換算した数値を示す。

保守率:0.81(=光束維持率0.85×器具汚れ係数0.95)
維持平均照度=測定平均照度×0.95


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