施設報告

東京港トンネル(海側)照明設備
-LED道路照明・LEDトンネル照明の納入施設例 -

国内営業本部 東日本技術設計センター
国内営業本部 東京広域営業所 第一営業課

キーワード

国道357号,東京港トンネル,LED,照明器具

1.はじめに

国道357号(東京湾岸道路)は,横須賀市から横浜市,川崎市,東京都を通り,千葉市中央区に至る延長約80kmで海岸沿いの主として埋立地を利用した道路である。東京港トンネル(国道357号)は,慢性的な渋滞が発生している東京港トンネル(高速湾岸線)と並行して,一般部である国道357号を整備することで,海側(西行き)の渋滞緩和を図る事業である。これにより都心部から臨海部へ交通が転換し,都心部の交通混雑が緩和するほか,空港や湾岸地域の物流拠点とのアクセス性を向上させ,物流の効率化を図っている。

本稿では,長寿命・省エネを図りドライバーに良好な視環境を提供するLED照明器具を導入し,2016年3月26日に開通した東京港トンネル(海側)の基本照明,入口照明,避難坑照明及び掘割部の道路照明設備について紹介する。

2.照明設計

2.1 施設概要

東京港トンネル(海側)施設の諸元を表1に示す。

表1 トンネル諸元
トンネル名称 東京港トンネル(海側)
トンネル延長 1,499.1m
車道幅員 7m
全幅員 10.38m
取付高さ 5m
設計速度 80km/h
交通方式 一方交通
日交通量 10,000台/日以上
トンネル内の
仕上と
反射率ρ
天井 コンクリート(ρc=25%)
壁面 コンクリート(ρw=25%)
内装板 無し
路面 コンクリート(ρf=25%)

図1 東京港トンネル(海側)位置図

  • 注) 国土地理院 電子国土基本図を使用。

2.2 設計コンセプト

照明設計にあたっては,次のコンセプトに基づき照明計画を進めた。

  1. 視認性の確保(良好な均斉度及び光色)
  2. 維持管理費の削減(省エネ)
  3. 高効率・長寿命

2.3 設計照度

東京港トンネル(海側)照明の設計基準及び条件を表2に示す。

表2 設計基準及び条件
トンネル名称 東京港トンネル(海側)
基準輝度 4.5cd/m²
壁面輝度比 0.6
総合均斉度:Uo 0.4以上
車線軸均斉度:Ul 0.6以上
視機能低下グレア:TI 15%以下
保守率:M 0.55
野外輝度 3800cd/m²

3.設備概要

3.1 設計結果

図2 東京港トンネル(海側)器具取付断面図

以上の条件に基づき設計を行った結果を図2,図3に示す。図2はトンネルの断面を,図3は入口照明曲線図を示している。

照明器具は路面から5mの位置に設置している(図2)。

入口部照明の路面輝度は階段状の値を示している。この階段輝度は,入口照明曲線の値以上であることが望ましいが,下回る場合はその部分の長さが5m以下になるようにしている。

入口部照明の調光は,4段階(晴天1,2,曇天1,2)とし,野外輝度の設定値の比率に応じて所定の路面輝度の比率になるように制御している(図3)。

図3 東京港トンネル(海側) 入口照明曲線図

3.2 設備概要

表3に全設備の設置数量を示す。

表3 設備数量
点灯区分 機種 形式 数量(台)
基本照明 LEDioc TUNNEL™基本照明 KWE-450D/04 142
入口照明 LEDioc TUNNEL™入口照明 KWE11021D 15
KWE15021D 4
KWE18021D 4
KWE22021D 12
KWE27021D 36
KWE36021D 42
KWE40021D 24
避難坑照明 LED防浸形照明器具 KDE1001B 194
掘割部 LEDioc ROAD™ E7728SA9/400LN 3
LEDioc TUNNEL™基本照明 KWE-095/04 19

3.3 照明点灯状況

図4~図11に設置後の点灯状況写真を示す。

図4~図7は照明器具の写真を,図8~図11は照明器具を点灯させた道路の状態を示している。

図4 トンネル照明器具(基本)

図5 トンネル照明器具(入口)

図6 避難坑照明器具

図7 トンネル照明器具(掘割)

図8 トンネル照明(入口部)

図9 トンネル照明(基本部)

図10 避難坑照明

図11 掘割部照明

4.おわりに

近年,道路・トンネル設備においてはLED光源の採用が急速に増加している。本施設においてもトンネル基本照明,入口照明,避難坑照明及び道路照明においてLED光源を採用し,省エネ・省メンテといった低コスト化と白色光による快適な視環境の提供を両立している。

最後に,本照明設備の納入にあたり,ご指導ご協力いただいた関係各位に深く御礼申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第34号掲載記事に基づいて作成しました。
(2016年4月19日入稿)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。