技術資料

安全増防爆形コンパクト蛍光灯器具

照明部 商品開発課

キーワード

安全増防爆,コンパクト蛍光灯,配光性能,省施工,省メンテナンス

1.はじめに

防爆市場の規模は現在100億円前後であり,燃料電池などの新技術誕生により水素やメタン等,可燃性ガスを扱う危険場所の周辺機器の防爆化は増大すると考えられる。

また,2010年4月より改正省エネルギー法が施行となり,現時点では防爆機器は対象外ではあるものの,防爆市場も省エネへの取り組みが加速し,更なる高効率・省エネ照明器具の要求が高まってきている。

当社の安全増防爆形白熱灯器具は従来から多く使用されているが,市場の脱白熱宣言や省エネへの取り組みから代替商品が強く求められている。

これら背景を受け,高効率・長寿命であるコンパクト蛍光ランプ(FHT)を採用し,光学設計にもとづく反射板による優れた配光性能と,省施工,省メンテナンス性に優れた商品を市場に投入した。

2.商品概要

器具の外観図を図1,器具内部を図2に示す。

商品仕様を表1,品種一覧を表2に示す。

図1 器具外観図

図2 器具内部

表1 商品仕様

本体 アルミダイカスト
前面ガラス 強化ガラス
ガード ステンレス(ø5)電解研磨
適合ランプ 1灯用:FHT32W×1 or 24W×1
2灯用:FHT24W×2
仕上色 グレイ(マンセルN7)
定格周波数 50/60Hz
定格電圧 100~254V
防爆構造記号 ed3aG3
保護等級 IP65
表2 品種一覧
安全増防爆形コンパクト蛍光灯器具
種類 直付吊 パイプ吊
形式(1灯用) EYFHT1321-16 (22) (28) EYFHT2321-16 (22) (28)
形式(2灯用) EYFHT1242-16 (22) (28) EYFHT2242-16 (22) (28)
寸法
(全長×幅×高さ)
396mm×320mm×365mm 396mm×320mm×600mm
器具外観図
種類 40°ブラケット吊 特殊直付吊
形式(1灯用) EYFHT3321-16 (22) (28) EYFHT9321-16 (22)
形式(2灯用) EYFHT3242-16 (22) (28) EYFHT9242-16 (22)
寸法
(全長×幅×高さ)
505mm×320mm×435mm 396mm×320mm×265mm
器具外観図
種類 角度可変吊 スタンド吊(L形)
形式(1灯用) EYFHT7321-16 (22) EYFHT8321-0
形式(2灯用) EYFHT7242-16 (22) EYFHT8242-0
寸法
(全長×幅×高さ)
396mm×320mm×350mm 396mm×320mm×395mm
器具外観図
  • ※全6機種(タイプ)28品種,厚生労働省型式検定合格品。
  • ※上表に示す形式は,直付吊・パイプ吊・ブラケット吊・特殊直付吊・角度可変吊はセット形式(本体,吊具,端子箱,プラグ),スタンド吊(L形)は本体形式を示す。

3.特長・機能

3.1 配光性能

  • 1灯用器具は,筐体内部に鏡面タイプの反射板を内蔵させ,今まで防爆照明器具にはないフロントワイド配光(横長配光)を実現した。
    安全増防爆エリアに多くある階段の通路や踊り場などに最適な配光を実現し,より良い照明環境を提供できる。
  • 2灯用器具は,筐体スペースの関係からワイドに飛ばす鏡面タイプの反射板は内蔵できなかったが,フラットな配光によりムラのない照明を実現した。

1灯用器具

2灯用器具

図3 器具内灯数と配光の種類

3.2 用途や設置場所に応じて選べる取付けタイプ

  • 直付吊・パイプ吊・40°ブラケット吊・特殊直付吊・角度可変吊・スタンド吊(L形)の6バリエーションで,用途や設置場所に応じて選べる取付けタイプをラインナップした。
  • 特に,本体上面に端子箱を設けることにより器具の高さを極力低くし,スペースが少ない場所に設置可能な構造とした特殊直付吊や,特殊直付吊の構造を流用し,角度調整可能にした角度可変吊など,従来に無いフィッティング方式もラインナップした。

図4 取付け様式のバリエーション

3.3 省施工,省メンテナンス

  • 極力コンパクトかつ,軽量化を追及した器具設計により,器具の取付けに1本吊具固定を実現でき,安全増防爆形直管形蛍光灯などの2本吊具固定と比較して取付け作業の省力化が可能となった。
  • 防爆器具で必須な錠締ボルト(開閉用ボルト)を削減し,ランプ交換時のメンテナンスを容易にした。
    また,適合光源には,ランプ効率75ℓm/W(32W)と高効率でありながら定格寿命20000時間となるタイプを採用し,1回のランプ交換で一般的なLED器具のモジュール設計寿命と同程度となり,メンテナンス回数の削減も可能である。照明器具の改修頻度が低い防爆エリアでは特に経済的メリットが大きい。

図5 省施工性の説明図

図6 メンテナンス作業性の説明図

4.おわりに

今回は光源にコンパクト蛍光ランプを採用し,高効率・長寿命・高い配光性能・省施工・省メンテナンス性に優れた商品を市場に投入した。

しかし,一般照明器具のLED化率が高まってきていることと同様に,防爆市場もまたLED照明器具の要求が多くなってきている。防爆エリアで最も多い安全増エリアに設置可能な安全増防爆形LED照明器具を早急に研究・開発し,更なる拡販を図る。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第25号掲載記事に基づいて作成しました。
(2011年11月22日入稿)


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