技術資料

活性酸素計測

技術研究所 光技術基礎研究室

キーワード

活性酸素,計測,オゾン,紫外線,酸素プラズマ,銀膜,酸化力,窒素ガス,アンモニア水,ICP発光分光分析

4.活性酸素計測事例

4.1 UV-O₃曝露実験装置

実験装置として図6に示す密閉型紫外線照射ボックス(内容積18ℓ)を作製した(以下ボックスという)。ボックスの構造は活性酸素発生源として6Wオゾンランプ6灯を取り付け,オゾンランプから試料までの距離は10~120mmに可変でき,発生オゾン濃度の均一化のため天面部に回転ファンを設けた。

図6 密閉型紫外線照射ボックス

4.2 UV-O₃曝露実験方法

オゾンランプを点灯し,送気ポンプを稼動させ1時間程安定させる。この時のボックス内の発生オゾン濃度は160ppmであった。この条件下で活性酸素検知板をオゾンランプからの距離10mm,40mm,120mmの3段階で曝露し,生成した酸化銀を酸化銀分析方法に準じ分析した。

4.3 UV-O₃曝露実験結果

曝露時間と検出活性酸素量の関係を図7に示す。

図7 UV-O₃曝露実験結果

曝露実験結果より,以下のことが解った。

  1. 曝露時間と活性酸素検出量は比例関係が認められる。
  2. オゾンランプと検知板の距離が近いほど急速に検知板の酸化が起こることが認められる。
  3. 曝露時間が長くなると検知板の酸化はゆるやかに起こることが認められる。

よって,無電解めっき法,イオンスパッタ法,真空蒸着法などで成膜した銀膜(検知板)の酸化した厚みを計測することにより,曝露雰囲気の酸化力を定量的に評価できる。

5.まとめ

  1. 金属銀が活性酸素により酸化された酸化銀量を化学的に計測することで酸化力を評価することができた。
  2. 活性酸素捕捉体としてガラス基板に形成した銀膜を用いることで,高感度な活性酸素検知板となることを実証した。
  3. 活性酸素と反応して生成した酸化銀のみを,窒素ガス雰囲気で溶存酸素除去したアンモニア水に溶解して,ICP発光分析法でアンモニア水溶液中の銀を定量分析することで活性酸素量を計測できた。

今後,本手法を用いて各種表面処理装置の酸化力(表面処理能力)を計測し,酸化力と処理効果の相関関係を調査する予定である。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第23号掲載記事に基づいて作成しました。
(2010年11月30日入稿)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。