技術資料

活性酸素計測

技術研究所 光技術基礎研究室 早坂 三生,松岡 幹彦

キーワード

活性酸素,計測,オゾン,紫外線,酸素プラズマ,銀膜,酸化力,窒素ガス,アンモニア水,ICP発光分光分析

1.はじめに

各種材料の表面処理には,UVオゾンランプやエキシマランプ及び酸素プラズマで生成される活性酸素の酸化力が利用されている。活性酸素とは活性化された酸素種の総称で酸素原子(原子状酸素)・オゾン・励起酸素原子・励起酸素分子などが含まれる1)。現在,表面処理効果の指標としては,液滴による接触角法や紫外線量が用いられている。

本報では,材料表面に直接寄与する活性酸素量を計測する手法を検討した結果,金属銀(Ag)が活性酸素により酸化された酸化銀(Ag₂O)量を化学的に計測することで,酸化力の評価を試みたので報告する。

2.基本技術

有機物は原子状酸素と反応すると侵食(分解・除去)される。これに対し無機物(金属)が原子状酸素と反応すると酸化物を形成する。例えば銀(Ag)は空気中(酸素約21vol%)でほとんど酸化されないが,UVオゾンランプ下で曝露すると酸化され酸化銀(Ag₂O)を生成する。図1に曝露後の銀表面のX線回折パターンを示す。この酸化銀生成量を測定することにより酸化力を計測できると考えた。また表1に各種材料の原子状酸素に対する反応効率を示す。最も反応効率が高いのは銀(Silver)であることが判る2)

金属銀が活性酸素と反応して生成する酸化銀は,アンモニア性溶液下でアミン錯体を形成して溶解する性質があり,酸化していない金属銀はアンモニア水に溶解しない性質を持っている。そこで,これら金属銀と酸化銀の性質を利用し活性酸素を計測する手法を検討した3)

図1 UVオゾンランプ曝露後の銀のX線回折パターン

図1 UVオゾンランプ曝露後の銀のX線回折パターン

表1 原子状酸素に対する反応効率
  材料 反応効率(×10⁻²⁴cm³/atom)
有機物 Epoxy 1.7
Fluoropolymer(Teflon) 0.5
Polyimides(Kapton) 3.1
Polystyrene 1.7
Silicone(DC1-2577) 0.055
Tedlar 3.2
  Carbon 1.2
無機物
(金属)
Aluminum 0
Copper 0
Gold 0
Lead 0
Nickel 0
Silver 10.5
Tungsten 0

参考文献

  1. 杉光英俊:オゾンの基礎と応用,光琳,p.20(1994).
  2. 井口洋夫,岡田益吉,朽津耕三,小林俊一:宇宙環境利用のサイエンス,裳華房,pp.210-213(2000).
  3. 早坂三生,松岡幹彦:活性酸素種の検出方法及び検出装置,特開2009-133710号公報.

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