技術資料

LED道路照明器具「LEDioc ROAD S」- リニューアル -

照明事業部 商品企画開発部 第一開発課

キーワード

LEDioc ROAD S,道路灯,長寿命,省エネ,電気料金削減

1.はじめに

弊社では,道路市場で主に地方自治体向けの比較的安価で小形なLED道路照明器具としてLEDioc ROAD Sを販売しており,市場にて好評をいただいている。今回,このLED道路照明器具LEDioc ROAD Sについてリニューアルを図ったのでここに報告する。

2.商品概要

主にリニューアルでは契約電気料金の削減と耐食性の向上を図った。器具の外観図を図1に,外形寸法図を図2に示す。また,次ページで商品ラインアップを表1に,商品仕様を表2に示す。

図1 外観図

図2 外形寸法図

表1 品種一覧
配光タイプ 品種 適合ガイドライン 取付方法 形式 建電協形式 器具光束(ℓm)
連続照明 ROAD S 300タイプ f, g ポールヘッド形 E77256SAJ9/300L KCE070-2(-J) 8400
アーム取付形 E71256SAJ9/300L
ROAD S 250タイプ k,ℓ ポールヘッド形 E77256SAJ9/250L KCE050-2(-J) 5900
アーム取付形 E71256SAJ9/250L
交差点照明 ROAD S 300タイプ q ポールヘッド形 E77256SAJ9/300C KCE070-2(-J) 8400
アーム取付形 E71256SAJ9/300C
ROAD S 250タイプ q' ポールヘッド形 E77256SAJ9/250C KCE050-2(-J) 5900
アーム取付形 E71256SAJ9/250C

注)( )内の -J は重耐塩仕様を表す。
仕上色が「ダークブラウン」の場合は形式末尾に「/DB」を追加する。

表2 商品仕様
光源色 昼白色タイプ(5000K相当)
平均演色評価数 Ra70
入力電圧 100~240V
周波数 50/60Hz共用
LEDモジュール寿命 60000時間
質量
ポールヘッド形
5.4kg
アーム取付形
4.9kg
保護等級
灯具
IP23
LEDユニット収納部
IP44
耐雷サージ 15kV(コモンモード)
使用温度範囲 -20℃~+35℃
仕上色 グレイ
ダークブラウン
材質
本体
アルミダイカスト
前面ガラス
強化ガラス(クリア)

3.特長・機能

3.1 地方自治体向けのガイドラインに適合

「LED道路・トンネル照明導入ガイドライン(案)平成27年3月」に適合した構造および配光を実現した。カットオフ配光,強化ガラス,初期光束補正機能を有し,落下防止ワイヤ,接地ボルトを標準で付属している。

3.2 配光特性を維持して小形軽量化

高効率化されたLEDを採用することでLEDioc ROADの配光特性を保ちつつ,低ワット化を実現した。また,小形化したデザインで質量を6kg以下にすることで小形軽量化を実現した。

3.3 3段階のアーム径に適合,ポールトップタイプもリリース

アームタイプは,オプションなしで市場の代表的な3種類のアーム径ø34.0mm,ø48.6mm,ø60.5mmに適合する。また,ポールトップタイプはポール径ø60.5mmに適合する。

従来は,事前に現場へ出向きアーム径の調査を行う必要があったが,さまざまな既設アーム径への対応が可能となることで施工業者の負担を軽減できる。また,電源ユニットを内蔵することによる省施工化を実現した。

3.4 光害対策

現場での後付けが可能となる前方遮光ルーバ(形式:YL2022),後方遮光ルーバ(形式:YL1022)の2種類をラインアップしている。これらは農作物,生態系,住居への漏れ光対策として有効である。特に,稲作対策の目安とされる5.0ℓx以下の照明環境にも対応する。

3.5 設計寿命60000時間

光束維持率80%で60000時間の設計寿命となる。電源装置の設計寿命もLEDモジュールと同様の60000時間とすることでメンテナンスコストを大幅に削減する。

3.6 初期光束補正機能

電源装置に内蔵したマイコン電流制御により,使用開始から寿命末期まで一定の路面輝度を保ち,点灯初期の過剰な明るさを抑えることでエネルギー消費量の削減を実現している。

3.7 寒冷地対応

使用可能周囲温度範囲は-20℃〜+40℃で,寒冷地での使用も可能である。

3.8 耐雷サージ対策

LED照明器具や電子式電源装置のような耐電圧の低い半導体を多く使用する製品にとって,誘導雷サージは故障につながる大きな原因となっている。

誘導雷サージによる被害を軽減するような「耐雷サージ」基準を独自に設け,安全性を高めている。耐雷サージ電圧はノーマルモードが4kV,コモンモードが15kVとなる。

3.9 自動点滅装置内蔵タイプのラインアップ

自動点滅装置を内蔵したタイプもラインアップし,自動点滅器なしでも点滅制御が可能となる。

4.リニューアルの概要

4.1 250タイプの省電力化と契約電気料金の削減

道路照明施設は公共性が高いことから,電気料金の契約は主に各電力会社で設定されている「公衆街路灯A」という定額制の契約を結んで使用される。この料金体系は使用される照明器具の皮相電力(VA)で区分される。

区分される内訳は,10VA以下,20VA以下,40VA以下,60VA以下,100VA以下のように区分され,それぞれの電気料金で契約される。電気料金は当然のことながら低い契約の皮相電力のほうが安くなり,1ランク上がることに約1.4〜1.6倍程度の電気料金が増加する。

今回,LEDioc ROAD Sにおいては,LEDモジュールの見直しや電源装置の特性の見直しによって,250タイプは従来の60VA以下から40VA以下の電力契約をすることが可能となり,電気料金の削減および省電力化を図ることができた。

表3に既存品とリニューアル品との電気特性の比較を示す。

表3 既存品とリニューアル製品の電気特性の比較
入力電圧
(V)
既存LEDioc ROAD S 250タイプ リニューアルLEDioc ROAD S 250タイプ
入力電流
(A)
消費電力
(W)
皮相電力
(VA)
入力電流
(A)
消費電力
(W)
皮相電力
(VA)
100 0.395 39.2 39.5 0.367 36.3 36.7
200 0.206 40.2 41.2 0.192 37.2 38.4

4.2 耐食性の向上

従来のLEDioc ROAD Sは,建設電気技術協会発行の「道路・トンネル照明器材仕様書」において記載されている重耐塩仕様には適合していなかったが,塗装仕様の見直しを行い,LEDioc ROAD S(道路灯・歩道灯)の全シリーズについて重耐塩仕様適合とした。

4.3 塗装色の変更

弊社の道路灯の上位シリーズであるLEDioc ROADと同色のグレイとし,道路灯の塗装色の統一を図った。

5.おわりに

LEDioc ROAD S シリーズは2016年に発売され,4年が経過している。最近はLEDの進歩により製品としてのサイクルも短くなりつつあるが,LEDioc ROAD Sについては優れた基本性能を維持しつつ,リニューアルにより効率性能が向上した製品となった。弊社としては今後もこのような開発を行い,常に最先端の効率の器具の開発を進め市場へ提供していく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第41号掲載記事に基づいて作成しました。
(2020年5月21日入稿)


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