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キセノンランプ式促進耐候性試験機「アイ スーパーキセノンテスター XER-W83」

光・環境事業本部 光応用部 光応用開発課 木村 克巳,秋葉 光晴,設樂 高史
光・環境事業本部 光デバイス部 プロセス技術課 森 一郎

キーワード

促進耐候性試験機,キセノンテスター,キセノンランプ,屋外暴露試験,劣化

1.はじめに

図1 アイ スーパーキセノンテスター XER-W83

キセノンランプ式促進耐候性試験機『アイ スーパーキセノンテスター』は,従来試験機であるXER-W75の発売から10年以上が経っており,さまざまな規格試験への対応が困難となっていた。本稿では,新型試験機XER-W83について,より多くの規格試験への対応や試験の安定性を確保し,商品化を実現したので以下に紹介する(図1)。

2.促進耐候性試験機とは

プラスチック,塗料,繊維などの商品や新素材開発における耐候性の評価は,屋外暴露試験がベースとなるが,年単位の試験が必要であるため,屋外環境因子(太陽光,温度,湿度,降雨)を人工的に作り出した促進耐候性試験機によって短時間に試験評価されている。

現在,一般的に利用されている主な促進耐候性試験を以下に紹介する。

図2 アイ スーパーUVテスター SUV-W261

①オープンフレームカーボンアーク式耐候性試験機
これまで日本国内において,最も一般的に利用されてきた耐候性試験機であるが,国内外の試験規格から削除されつつあり,キセノンランプ式耐候性試験機への移行が進んでいる。

②キセノンランプ式耐候性試験機
最も太陽光に近似したスペクトルを有するため,屋外暴露試験との相関性が高い耐候性試験機である。国際的に多く利用され,日本国内でもJIS規格への採用が進んでいることから,現在は耐候性試験機の主流となっている。

③メタルハライドランプ式耐候性試験機
最も劣化促進性の高い耐候性試験機で,材料にもよるが促進倍率は屋外暴露の約100倍というデータもある。その促進倍率の高さから,高耐候性材料の評価や,新素材開発段階のスクリーニングなどに広く使用されている。この装置の一例を図2に示す。

④紫外線蛍光ランプ式耐候性試験機
構造,仕様が最もシンプルな耐候性試験機である。試験目的に応じ,波長の異なる3種類のランプが規定されている。

以上のように,試験機によりそれぞれ特長を持っているが,前述のとおり今後の規格の流れとしては,キセノンランプ式耐候性試験機が主流になっていくものとみられる。また,樹脂や塗料などの高耐候素材の開発においては,促進性の高いメタルハライドランプ式耐候性試験機の利用が増えてくるものと思われる。

3.装置仕様

本試験機XER-W83は,2章の分類ではキセノンランプ式耐候性試験機となる。

本試験機の仕様を表1に示す。また,本試験機で使用するキセノンランプの分光エネルギー分布を図3に示す。

表1 装置仕様
装置名 アイ スーパーキセノンテスター
型式 XER-W83
光源部 ランプ 水冷式7.5kWキセノンアークランプ
フィルター インナー 石英ガラス
アウター 硼珪酸ガラス
放射照度 標準照度試料枠 20〜100W/m²(300〜400nm)※1
強照度試料枠 60〜180W/m²(300〜400nm)
均斉度 90%以上
試料枚数 標準照度 108枚(試料寸法70×150mm,BPT含む)
強照度 54枚(試料寸法70×150mm,BPT含む)
ブラック
パネル
温度
制御範囲 照射時 40〜110℃
暗黒時 25〜95℃
制御精度 ±2℃
湿度 制御範囲 照射時 10〜75%RH※2
暗黒時 30〜95%RH
制御精度 ±5%
外形寸法 W1400×D1600×H1850※3
質量 約800kg
  • ※1)20〜30W/m²,70〜100W/m²の制御は,ランプ使用時間の制限がある。
  • ※2)10〜25%RHの制御は,照度,温度の設定による。
  • ※3)キャスター含む。

図3 XER-W83 分光エネルギー分布

4.特長・機能

4.1 温湿度制御

図4 照射時温湿度制御範囲(標準照度試料枠)

本試験機は温度制御時に外気導入を行わないため,周囲環境の影響を受けにくく,安定した試験が可能である。また,温湿度制御系の見直しにより,照射時,暗黒時ともに広い領域での温湿度制御を実現した。

図4〜図6に温湿度制御範囲を示す。

図5 照射時温湿度制御範囲(強照度試料枠)

図6 暗黒時温湿度制御範囲

4.2 同時制御

試験槽内のエアフローを最適化したことにより,ブラックパネル温度と槽内温度をそれぞれ個別に制御することが可能となった。

例えば,表2に示すような,ブラックパネル温度と槽内温度を異なる温度で制御して試験を行うこともできる。

表2 同時制御の代表的な試験例
紫外線放射照度(W/m²) ブラックパネル温度(℃) 槽内温度(℃) 相対湿度(%RH) ランプ電力(kW)
標準照度 60 63 38 50 4〜6.5
標準照度 60 89 65 50 4〜6
強照度 180 63 38 50 5〜6

4.3 インターフェース・運転プログラム

タッチパネルサイズが8.4インチに大型化され,操作性が大幅に改善された。

運転プログラムについては,1つのプログラムにつき15種類の試験条件設定を任意選択により連続運転可能で,最大15パターンの試験プログラムが登録可能なため,さまざまなパターンの試験を連続で行うことが可能となった。

4.4 試料枠・回転ラック

試料板を固定する試料枠について構造を見直し,軽量化を図ったことで,試料脱着の改善と回転ラックの回転数設定範囲を広げることが可能となった。また,従来試験機と同様に標準照度回転ラックと強照度回転ラックの載せ替えも可能である(図7,図8)。

図7 標準照度回転ラック

図8 強照度回転ラック

4.5 対応規格

本試験機が対応する主な規格を表3に示す。ただし,表内の規格はオプション追加にて対応可能な規格も含む。また,各試験規格のすべての試験内容には対応していない。

表3 主な対応規格
分野 対応規格
塗装関係 ・JIS K 5600-7-7(ISO 11341)
・JIS K 5101-09(ISO 787/15)
・ASTM D 4303
プラスチック関係 ・JIS K 7350-2(ISO 4892-2)
・ASTM D 2565
・ASTM D 4459
・ASTM D 5071
繊維関係 ・JIS L 0843
・ISO 105B-02
・AATCC 169
・ASTM D 4355
自動車関係 ・JASO M 346
・JASO M 351
・ISO 3917
・SAE J 1885
その他 ・JIS B 7754
・ASTM C 732
・ASTM D 4637
・ASTM G 155

5.おわりに

本稿にて紹介したアイ スーパーキセノンテスターにより,近年ますます高まる樹脂材料や塗料など,さまざまな分野の高耐候化のニーズに対する評価手段を提供し,産業界の研究開発,製品評価に寄与したい。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第39号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年11月29日入稿)


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