技術資料

LEDioc LEDライトバルブ™ パズー用 132W/152W

製造統括本部 照明部 第二商品開発課
製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 LEDエンジニアリング課

キーワード

LEDライトバルブ™,パズー用,長寿命,省エネ,道路灯,温度保護機能

1.はじめに

当社では,2014年に道路灯用LEDランプ「LEDioc LEDライトバルブS」を発売したが,既存道路灯「PAZU®(パズー)」はHIDランプ専用の配光設計であるため,このLEDランプでは配光性能を満たすことが難しく対応できていなかった。そのため,新たに道路灯パズーに対応するLEDランプの開発を行った。

2.商品概要

図1 ランプ外観図

本商品LEDioc LEDライトバルブ パズー用は,132Wタイプと152Wタイプの2種類(外観共通)を用意している。図1にランプ外観図を,表1に商品仕様を示す。なお,本ランプの点灯には表1に記載の電源装置が必要である。

表1 商品仕様
品種 132Wタイプ 152Wタイプ
形式 LDS132N-G-E39F LDS152N-G-E39F
適合電源形式 WLE175V830M1/24-1 WLE185V900M1/24-1
口金 E39
順電圧(V) 159 169
順電流(A) 0.83 0.9
ランプ電力(W) 132 152
全光束(ℓm) 20000 22000
固有エネルギー消費効率(ℓm/W) 132.4(100V)
136.9(200/242V)
128.6(100V)
134.1(200/242V)
相関色温度(K) 5000
平均演色評価数(Ra) 70
定格寿命(h) 40000
光束維持率(%) 80
寸法 全長(mm) 202
外径(mm) ø95
質量(g) 470(防振パッキン含む)
使用温度範囲(℃) -20~+40

3.特長・機能

3.1 配光性能指標に適合

図2 適合器具

本ランプが適合する道路灯パズー「KSH-2/H7718(ストレートポール式)」や「KSH-2/H7118(アーム式)」(図2)と組み合わせる場合は,「LED道路・トンネル照明導入ガイドライン(案)」の配光性能指標を満足する。

152Wタイプは,当ガイドラインにおける平均路面輝度1.0cd/m²に対応し(表2の設計条件タイプa,b),132Wタイプは,平均路面輝度0.7cd/m²と0.5cd/m²に対応する(表2の設計条件タイプf,g,k,l)。また,輝度分布図は図3のようになる。

表2 配光性能指標適合について
設計条件タイプ a b c d e f g h i j k l
道路分類と
設計条件
平均路面輝度 1.0cd/m² 0.7cd/m² 0.5cd/m²
道路分類 一般国道 自動車
専用道等
一般国道 自動車
専用道等
一般国道
車線数 2 3 2 2 3 2 2
歩道有無

152Wタイプ適合132Wタイプ適合

(a)LEDioc LEDライトバルブ パズー用 132Wタイプ(平均路面輝度0.7cd/m²以上)

  • ※設計条件:道路幅員7.0m 取付高さ10m 取付角度0° 取付間隔40m Oh=-0.7m 保守率0.7 アスファルト舗装C2 qo=0.07
    照明器具形式:KSH-2/H7118(KSH-2/H7718)
平均路面輝度 0.96cd/m²
総合均斉度 0.45
車線軸均斉度(走行車線) 0.51
車線軸均斉度(追越車線) 0.57
グレア(TI値) (走行車線) 5.4%
グレア(TI値) (追越車線) 5.2%

(b)LEDioc LEDライトバルブ パズー用 152Wタイプ(平均路面輝度1.0cd/m²以上)

  • ※設計条件:道路幅員7.0m 取付高さ10m 取付角度0° 取付間隔40m Oh=-0.7m 保守率0.7 アスファルト舗装C2 qo=0.07
    照明器具形式:KSH-2/H7118(KSH-2/H7718)
平均路面輝度 1.08cd/m²
総合均斉度 0.45
車線軸均斉度(走行車線) 0.51
車線軸均斉度(追越車線) 0.57
グレア(TI値) (走行車線) 5.6%
グレア(TI値) (追越車線) 5.3%

図3 輝度分布図

3.2 レトロフィット

図4 交換イメージ

既設の照明器具が道路灯パズー「KSH-2/H7718」と「KSH-2/H7118」である場合は,器具自体がそのまま利用できるので,ランプと安定器を交換するだけでLED化が可能となる(図4)。

3.3 空冷ファン採用

ランプの放熱部にはフィンと空冷ファンを追加した。空冷ファンにより器具内空気を循環させ,ランプが発する熱を器具本体に伝えることで,器具全体で放熱を行う強制空冷方式を採用している。

3.4 高効率モジュールの採用

LEDは高効率モジュールを採用し,固有エネルギー消費効率は132Wが136.9ℓm/W(200V時),152Wが134.1ℓm/W(200V時)と,高圧ナトリウムランプ(180Wで111ℓm/W)を超える高効率を達成した。

高圧ナトリウムランプ180Wから本商品に置き換えた場合,20%の消費電力が削減可能となった(200V時)。

3.5 初期光束補正

電源に内蔵したマイコン電流制御により,点灯開始から寿命末期まで一定の路面輝度を保ち,点灯初期の過剰な明るさを抑えることで,エネルギー消費量を削減している。

3.6 ランプの緩み防止対策

口金部にシリコン製の防振パッキンを組み付けており,地震や環境の振動で口金が緩むのを防止することができる。

3.7 使用温度範囲

使用可能な温度範囲は-20℃~+40℃で,寒冷地での使用を可能とした。ただし,組み込む器具の使用温度範囲がこの温度範囲より狭い場合は,その器具側の使用温度範囲が適用される。

3.8 安全機能(ランプ部)

ランプ部が高温になった場合,自動消灯する温度保護回路を搭載し,異常発熱時の事故を防止する。ランプが点滅することを防ぐため,温度が下がっても自動復帰はしないようになっており,点灯には電源の再投入が必要である。

3.9 安全機能(電源部)

絶縁回路を採用し,万が一LED回路(二次側)の片側に触れても感電しない構造としている。また,過電流保護機能によって,規定値以上の電流が流れた場合に動作する非復帰方式のヒューズを内蔵し,過電流による事故を防止する。

4.おわりに

本商品で,道路灯パズーに対してLEDランプでのレトロフィット対応を実現した。今後,さらなる性能の向上を実現するべく,開発を進めていく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第35号掲載記事に基づいて作成しました。
(2016年11月7日入稿)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。