技術資料

パルスランプを用いたクリプトスポリジウムの不活化について

光応用事業部 光応用開発部 ソフトエンジニアリング課
光応用事業部 光応用営業部 技術グループ

キーワード

紫外線,パルスランプ,クリプトスポリジウム,不活化,上水

5.紫外線によるクリプトスポリジウム不活化について

図7 C.parvumの必要紫外線量

紫外線によるクリプトスポリジウムの不活化については,細胞培養法やマウス感染法等の感染能力を評価する手法が近年になって確立したため,1990年代後半から報告3~6)が相次いでいる。

国内においても麻布大学平田教授らにより報告がなされている。その報告7)より,紫外線照射量と感染力の関係についてマウス感染法を用いた結果を図7に示す。

この結果より,2log不活化に必要な紫外線照射量は約1mJ/cm²であることが分かる。また,細胞培養法において評価を行った場合,2log不活化に必要な紫外線照射量は2mJ/cm²とマウス感染法の約2倍の値である。

以上より,感染力評価においてクリプトスポリジウムの不活化に対する紫外線の照射は非常に有効であることが確認されている。

参考文献

  1. Clancy,J.:UV rises to the Cryptosporidium challenge, Water21, 10,pp.14-16(2000).
  2. Haffman,D.E.,Slifko,T.R.,Coulliette,A.,Rose,J.B. and Dussert,B.W.: Comparison of cell culture and animal infectivity analysis of low and medium pressure UV treated Cryptosporidium parvum oocysts.,Proc.1st World water Congress of Int. Wat. Assoc.,7,pp.52-53(2000).
  3. Linden,K.G.,Shin,G.A. and Sobsey,M.D.:Comparative effectiveness of UV wavelength for the inactivation of Cryptosporidium parvum in water, Proc.1st World water Congress of Int. Wat. Assoc.,7,pp.99-100(2000).
  4. Shin,G.A.,Linden,K.,Handzel,T. and Sobsey,M.D.:Low pressure UV inactivation of Cryptosporidium parvum based on cell culture infectivity, Proc. AWWA Wat. Qual. Tech. Conf., ST-7.4.1-ST-7.4.8.(1999).
  5. Morita,S.,Namikoshi,A.,Hirata,T.,Oguma,K., Katayama,H.,Ohgaki,S.,Motoyama,N.,Fujiwara,M.:Efficacy of ultraviolet irradiation in inactivating Cryptosporidium parvum oocysts,Appl. Environ. Microbiol.,68(11)(2002)in press.

尚,本研究結果については下記学会にて口頭発表を行った。
第38回水環境学会年会(2003年3月)

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第10号掲載記事に基づいて作成しました。
(2004年5月19日入稿)


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