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技術資料

動画による路面輝度測定の検討

国内営業本部 営業技術部 照明研究課 大嶋 航介,山田 哲司

キーワード

写真測光,路面輝度測定,CIE30.2,動画測光

1.はじめに

図1 動画測光システムイメージ

図1 動画測光システムイメージ

道路照明において路面輝度は重要な要素の一つである。しかし,路面輝度を直接測定するには,時間を要するため,照度値からの換算を用いることがほとんどである。そこで本報では,動画像より輝度を測定する方法(以降,動画測光と称する,図1)について検討を行った。また,動画測光を用いて実際の路面輝度を測定し精度を確認したので報告する。

背景として近年のLED照明の普及が挙げられる。さまざまな分野でLED照明が採用され,道路照明においてもLED照明が用いられている。

道路照明では基準により,平均路面輝度,輝度均斉度の推奨値が定められている。平均路面輝度および輝度均斉度は,測定方法に定められた複数の測定点の輝度値より算出される。各測定点の輝度値は,設計では,標準化された路面の光反射特性を用いて算出される。また,検査では路面輝度を測定し,照明性能の確認を行うことが望ましいが,実際の検査の場合,測定は時間を要する,路面状態により標準化された路面で相違が生じる,などの理由から,水平面照度を測定し換算係数により換算した値を平均路面輝度として代用することがほとんどである。

しかし,実際のドライバーの視環境は路面状態の変化を含んだ輝度情報から構成されており,直接輝度測定を行う方法がより正確に照明性能を評価できると考えられる。そのため,容易な路面輝度測定方法を確立することは,ドライバーの視環境を正確に評価し,道路安全を確保するのに役立つと考える。

2.道路照明施設

2.1 道路照明施設の照明基準

本節では,道路照明の基準について簡単に説明する。

道路・トンネル照明では基準により以下の性能指標が定められている。

  • 平均路面輝度
  • 輝度均斉度(総合均斉度)
  • 視機能低下グレア
  • 誘導性

平均路面輝度,輝度均整度は,複数の測定位置の輝度を用いて算出される。測定位置は基準によって異なるが,CIE30.2では,進行方向に10分割,幅員方向に5分割された計50点が採用されている1)

設計,検査,維持管理の各段階においてこれらの基準を満たすことが求められ2),検査では,照明施設施工後,設計の内容が性能を満足していることを確認し,維持管理では,以下の時期に照明施設の点検を実施するよう定められている。

  • 照明施設周辺の環境を考慮し適切な時期
  • 台風,地震などの異常気象などの後

長期運用の実績の少ないLED照明においては,維持管理が重要となり,路面輝度測定の必要性は高まると考えられる。

2.2 路面輝度測定

図2 現在の路面輝度測定方法

図2 現在の路面輝度測定方法

道路照明の基準に示される路面輝度の測定点全てに対してスポット輝度計を用いて輝度測定を行う場合,時間を要し,長時間の交通規制が必要となる(図2)。

台形マスクを装着した特殊な輝度計や二次元輝度計,写真測光を用いることで一度の測定で平均路面輝度が測定可能である。これらを用いることで,路面輝度の測定時間を短縮することができる。しかし,いずれの方法を用いた場合でも,交通規制が必要となる。

そこで,車載カメラにより撮影された動画を解析することで路面の輝度分布を取得することができれば,写真測光に比べ,交通規制を行う必要がない,撮影された全区間の路面の輝度分布を取得できる,などの利点がある。

3.動画測光実験

3章では,動画測光にて路面輝度測定を行った結果について述べる。3.1節では校正実験について,3.2節ではトンネルにて行った路面輝度測定の結果について述べる。

3.1 校正実験

図3 カメラの取り付け状況

図3 カメラの取り付け状況

路面の撮影動画を得るためには,車両にカメラを取り付けて道路を走行する必要がある。しかし,車両外装への突起物取り付けは規制されている3)ため,車両内側にカメラを取り付ける必要がある(※車両内の場合も運転者の視界の妨げとならないようにする必要がある4))。今回の実験では車両の内側のフロントガラスにカメラを取り付け路面の撮影を行った(図3)。

車両内側にカメラを取り付けた場合,フロントガラス越しに路面を撮影することとなる。そのため,測定を行う車両のフロントガラスの特性を考慮する必要がある。そこで,フロントガラスの影響を把握するための校正実験を行った。

校正実験は,フロントガラスの有無による輝度の変化を確認するため,フロントガラスを透過する場合(車内からの測定),透過しない場合(車外からの測定)それぞれの場合について輝度測定を行った。

図4 校正実験における車両と色標の位置関係

図4 校正実験における車両と色標の位置関係

図4に,校正実験における車両と色標の位置関係を示す。

被写体となる色票と測定器との距離を一定とし,色票の輝度および,測定器設置位置の水平面照度を測定した。色票の設置位置は,照明器具直下,直下から1/4スパン,直下から1/2スパン(以降,順に測定場所①~③と記す。)とした。また,輝度測定は,写真測光にて行った。車内からの測定については,ダッシュボードのフロントガラスへの映り込み(反射輝度)を軽減するためにダッシュボードに暗幕を設置する場合,暗幕を設置しない場合の測定を行った。

参考文献

  1. CIE : CALCULATION AND MEASUREMENT OF LUMINANCE AND ILLUMINACE IN ROAD LIGHTING, Publication CIE N° 30-2, pp.60-62 (1982).
  2. 社団法人 日本道路教会:道路照明施設設置基準・同解説,第8章 検査・第9章 維持管理,2006-10.
  3. 国土交通省:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示,第18条 外装の技術基準,2010-4.
  4. 国土交通省:道路運送車両の保安基準,第21条 直接前方視界の技術基準,2005-7.

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