Home > IWASAKIテクニカルレポート > 技術資料 > 自然環境の再現技術・装置 太陽光シミュレーション環境試験機

技術資料

自然環境の再現技術・装置
太陽光シミュレーション環境試験機
- Solar Simulation Environment Test Equipment -

光応用事業本部 光応用営業部 営業技術課 小野 健一郎

キーワード

環境試験,太陽光シミュレーション,評価方法,規格,自動車,建築材料

1.はじめに

自動車や住宅用建材など屋外にて使用される製品には,様々な環境条件下における信頼性や安全性が求められており,その確認を行うために様々な試験装置が使用されている。今回は,その中より擬似太陽光を用いた太陽光シミュレーション環境試験機について紹介する。

2.太陽光線

太陽では,水素やヘリウムなど原子核の融合により,可視光線をはじめ赤外線,紫外線,その他X線やγ線,太陽風などの表面放射エネルギーが発生し,その一部が大気圏を通じて地表に到達している1)

太陽光線の波長スペクトルは場所や季節,時刻,天気により様々だが,一般的に基準とされているものは図1に示した基準太陽光(IEC60904-3)などがある。

図1 水平面における基準太陽光(IEC60904-3)のエネルギー分布

図1 水平面における基準太陽光
(IEC60904-3)のエネルギー分布

  • ※250~2500nmのピーク波長を100%として相対値にて表現

3.各種規格

自動車排気ガス試験用としては,EPA(アメリカ環境保護局)が定めた基準が使われている。1997年にSFTP(Sampling Federal Test Procedure)が立法化され,「(アメリカ合衆国における)排気ガス抜き取り検査規定」が実施されることになり,それを受けて定められた基準である。

自動車排気ガス試験の経緯について表1に示す2)。また,EPA基準分光エネルギー分布を表2に示す。

表1 自動車排気ガス試験の経緯
西暦 内容
1997年以前 米国の排気ガス規制のテスト
→エアコン使用時における条件はなかった
1997年 アメリカ環境保護局(EPA)が日射装置を含む試験条件を確立
SFTP(アメリカ合衆国における排気ガス抜き取り検査規定)が立法化
2000年以降 本基準にそった自動車生産のメーカーへの義務づけ
アメリカ合衆国の本法規導入
2000年 販売台数の40%
2001年 販売台数の80%
2002年 販売台数の100%
表2 EPA基準分光エネルギー分布
波長域(nm) <320 320~400 400~780 >780
規格範囲(比率%) 0 0~7 45~55 35~53

太陽電池評価用としては,「JIS C 8912 結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ」などにも規定されている表3に示すスペクトル合致度などの特性が要求されている。

表3 JIS C 8912要求特性
要求項目 等級
A B C
放射照度場所むら(%) ±2以下 ±3以下 ±5以下
放射照度時間変動率(%) ±1以下 ±3以下 ±10以下
スペクトル合致度 0.75~1.25 0.6~1.4 0.4~2.0

スペクトル合致度とは,基準太陽光の波長範囲ごとに要求される出力割合に対して,実際の出力値との差を比率として表したもので,それぞれの等級内に入ることが条件となる。Aがもっとも良く,Cがもっとも悪い3), 4)

JIS C 8912で定められた基準太陽光のエネルギー分布例を表4に示す。

表4で示した波長出力特性は,太陽光の分光分布を基準に規定されており,規定波長内において,それぞれの波長範囲での出力割合が規定されている。

表4 基準太陽光のエネルギー分布例
「JIS C 8912 結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ」
波長帯(nm) 相対エネルギー分布(%)
400~500 18.5
500~600 20.1
600~700 18.3
700~800 14.8
800~900 12.2
900~1100 16.1
400~1100 100.0

4.装置概要

太陽光シミュレーション日射装置は,大きく分けて試験槽部,ランプハウス,動作コントロール部,空調制御部からなっている。

日射装置に使われる光源としては,メタルハライドランプやハロゲンランプ,キセノンランプが使用されている。要求される試験条件(スペクトル合致度,調光の必要性など)によってランプの種類が選択される。

日射装置専用としてメタルハライドランプを用いることで,より太陽光に近似した光を提供することが可能である。基準太陽光と各種光源の分光比較を図2に示す。

図2 基準太陽光と各種光源の分光比較

図2 基準太陽光と各種光源の分光比較

図3 複合環境シミュレータ

図3 複合環境シミュレータ

また,試験対象物や照射対象エリアの大きさや要求される日射量に応じて,ランプ灯数およびランプの設置ピッチなどが決定される。

温度,湿度,風量の環境条件については,要望に応じた形で製作が可能である。

図3に複合環境シミュレータの外観を,表5に仕様の一例を示す。

表5 複合環境シミュレータ仕様(一例)
照射範囲 300×300mm
光源 メタルハライドランプ
放射照度 1000W/m²
スペクトル合致度 クラスB(0.6~1.4)またはクラスC(0.4~2.0)
放射照度の場所むら クラスB(5%以下)またはクラスC(10%以下)
放射照度時間変動率 クラスA(1%以下)
ワーク温度 25~90℃
湿度 20~90% RH

参考文献

  1. 谷腰欣司:「トコトンやさしい光の本」,日刊工業新聞社,東京,pp.18-19(2006).
  2. 株式会社 東洋製作所 ウェブサイト 技術情報(2012).
  3. 森一郎:TEST,日本試験機工業会,Vol.15,pp.9-10(2010).
  4. 小田真裕:IWASAKI技報,岩崎電気,No.21,pp.23-25(2009).

テクニカルレポートに掲載されている情報は、原稿執筆時現在の情報です。ご覧になった時点では内容変更、取扱い中止等がされている場合がありますので、あらかじめご了承ください。

このページの先頭へ