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技術資料

写真測光による等価光幕輝度測定 - スポーツ照明施設におけるグレア評価 -

国内営業本部 営業技術部 照明研究課 大嶋 航介,山田 哲司

キーワード

等価光幕輝度,グレア,スポーツ照明,GR

4.視線軸変換と合成方法

本章では,任意の水平方向のGR算出に必要な等価光幕輝度の算出方法について述べる。画像撮影時の鉛直方向の俯角は,GRの算出方法に合わせて2度とする場合と,0度(水平)とする場合の2通りが考えられる。ここでは,撮影画像の俯角は0度とする。

図6に撮影方向とグレア評価方向の関係を示す。(a),(b),(c)は撮影方向A,B,それぞれの重複部分とグレア評価方向の関係を示す。図中の黄矢印は任意のグレア評価方向を示しており,黄の扇形は等価光幕輝度の計算範囲を示している。

図6 撮影方向とグレア評価方向

図6 撮影方向とグレア評価方向

(a)に示すように,撮影方向Aの撮影画像にグレア評価方向(黄矢印)を新視線軸(新画像中心)として視線軸変換を行うと等価光幕輝度の計算範囲(黄扇形)に欠損部分が生じる。また,(b)に示す撮影方向Bも同様に,グレア評価方向(黄矢印)を新視線軸(新画像中心)として視線軸変換を行うと等価光幕輝度の計算範囲(黄扇形)に欠損部分が生じる。そこで,撮影方向A,Bそれぞれの変換画像を用いて欠損部分を補完する。すると,(c)に示すように等価光幕輝度の計算範囲すべての光の情報を取得することができる。

いま,撮影範囲をθfa とする。ただし,等価光幕輝度の算出には,画像中心から60度の範囲の光の情報が必要となるため,撮影範囲θfa は60度以上とする。水平方向全ての光の情報を取得するには撮影方向を回転させ複数の方向に対して撮影を行う必要がある。重複部分を少なくし,水平方向全ての光の情報を取得するための撮影方向数をn,この時の撮影間隔をθi とすると,それぞれ次式のように表わされる。

n=ceil(180/θfa)…(5) θi=360/n…(6)

ここで,グレア評価方向の水平角をφglare とする。等価光幕輝度の算出には,グレア評価方向を中心として60度の光の情報が必要となる。そのため,撮影範囲が60度以上であれば最大でも二方向の撮影画像を用いることで必要となる領域の光の情報を取得できる。二方向のうち,起点に近い方の水平角をφm ,起点から遠い方の水平角をφm+1 とすると,それぞれ次式のように表される。

φm=floor(φglare/θi)×θi…(7) φm+1=floor(φglare/θi+1)×θi…(8)

この二方向の撮影画像に対して,グレア評価方向θglare を新視線軸として視線軸変換を行う。撮影方向φm θglare とのなす角θvp1 ,撮影方向φm+1 θglare とのなす角θvp2 はそれぞれ次式のように表される。

θvp1=φglare-φm…(9) θvp2=φglare-φm+1…(10)

ここで求められた新視線軸を用いて撮影方向φm φm+1 それぞれの画像に対して視線軸変換を行い,変換画像を組み合わせる(以降,視線軸合成と記す)ことで等価光幕輝度の計算範囲の光の情報が補完さる。補完された画像を用いることで,任意の水平方向の等価光幕輝度を算出することができる。

さらに視線軸合成により得られた画像を俯角2度へ視線軸変換し等価光幕輝度を算出することで,GRの値が算出可能である。

5.視線軸合成例

本章では,前章で述べた処理方法に基づいて,視線軸合成を行った結果について述べる。

表3,図7に撮影・変換の条件を示す。

表3 画像撮影の条件
撮影範囲 θfa [deg] 85
撮影方向数 n 3
撮影間隔 θi [deg] 120
グレア評価方向 φglare [deg] 70
図7 撮影方向

図7 撮影方向

図8に撮影画像を示す。(a)は撮影方向①,(b)は撮影方向②の撮影画像を示す。図中の青丸は画像中心,赤の十字は新視線軸に対応した新画像中心を示す。

式(9),(10)より新視線軸の角度を求めると,θvp1 =70度,θvp2 =-50度となる。

図8 撮影画像

図8 撮影画像

図9に視線軸変換画像を示す。(a)は撮影方向①,(b)は撮影方向②の撮影画像を変換した画像を示す。また,図中の赤の円は等価光幕輝度の計算範囲,赤の十字は画像中心を示す。

図9 視線軸変換画像

図9 視線軸変換画像

図のように,(a),(b)ともに等価光幕輝度の計算範囲内に欠損が生じていることが確認できる。そこで,それぞれの画像の欠損部分を他方の変換画像で補完する。

図10に合成画像を示す。(a)は視線軸合成画像,(b)は範囲を示すマスク画像を示す。(b)中青部分は撮影方向①の変換画像,赤部分は撮影方向②の変換画像,緑部分はそれぞれの重複部分を表す。(b)中,緑の重複部分の合成にはさまざまな方法が考えられるが,今回はグレア評価方向に近い撮影方向の変換画像を用いた。(a)を見るとグレア評価方向の画像が再現されている。

図10 合成画像

図10 合成画像

以上で,視線軸合成画像を用いることで任意の水平方向の画像情報を取得できることが確認できた。この視線軸合成画像を用いることでグレア評価を行うことができる。

6.まとめ

本報告では,写真測光によるGRの簡便な測定方法について検討を行った。その結果,いくつかの方向に対して 写真測光を行うことで水平方向全てのグレア評価が可能であることが確認された。

しかし,図10-(a)を見ると画像の接続部分が暗くなっていることが分かる。また,接続部の床のラインや天井の梁を見ると少しずつずれが生じている。これらは,周辺光量の減少や,撮影方向を回転させる際の中心位置のずれによるものと考えられる。今後,これらの影響について検討する必要がある。

また,本報告では水平方向のみの視線軸合成について述べたが,本方法を応用することで,照明を見上げた場合や空間的な全方向のグレア評価など,任意方向のグレア評価を行うことができると考えられる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第27号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年11月30日入稿)


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