技術資料

紫外線殺菌における指標微生物の紫外線感受性(その3)

技術本部 研究開発部 光応用研究課

キーワード

紫外線,殺菌,指標微生物,指標菌,紫外線感受性

4.おわりに

表1に低圧水銀ランプの紫外線感受性試験装置を用いて試験した紫外線感受性評価結果を示す。同じ紫外線の計測法(化学線量計)を使用しているため微生物種間の比較が可能である。90%殺菌に要する紫外線照射量(D値)で比較すると,細菌類では芽胞形成体の芽胞(spore)が紫外線抵抗性を有するため紫外線殺菌の不活化評価用として適していると考えられる。また細菌,ウイルス,真菌で比較すると細菌類に比べてウイルス,真菌類には多くの紫外線が必要とされ,調べた微生物種の中では黒かび(Aspergillus niger)NBRC 9455胞子が最も紫外線耐性のある菌株と評価された。紫外線は過剰に照射しても副生成物を作るなどの被害は稀である。紫外線を適切に多用することで,微生物汚染のリスクを低減し,生産性を向上させ,よりよい製品製造環境,生活環境となっていくことを期待したい。

表1 各種微生物の紫外線感受性
分類 学名 保存機関 溶液 Ds値
(mJ/cm²)
D値
(mJ/cm²)
3 log値
(mJ/cm²)
Bacteria Escherichia coli NBRC
3972
PBS 5.2 1.5 9.8
Staphylococcus aureus. subsp.
aureus Rosenbach 1884
NBRC
12732
PBS 2.6 1.5 9.4
Geobacillus stearothermophilus ATCC
12980
PBS 5.1 6.1 24
Bacillus atrophaeus spore ATCC
9372
PBS 5.8 6.6 25.7
Bacillus pumilus spore ATCC
27142
PBS 8.1 7.6 31.8
Bacillus subtilis spore ATCC
35021
PBS 1.0 6.3 19.8
Virus E. coli Phage MS2 NBRC
102619
PBS - 20.2 60.6
Mold Aspergillus niger spore NBRC
9455
0.10%
Tween
- 138.9 416.7
Aspergillus niger spore NBRC
105649
0.10%
Tween
- 87.0 260.9
  • ※PBS(phosphate buffer solution),NBRCとはBiological Resource Center(日本),およびATCCとはAmerican Type Culture Collection(米国)の微生物株保管施設を示す。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第26号掲載記事に基づいて作成しました。
(2012年6月14日入稿)


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