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施設報告

新潟市水族館「マリンピア日本海」 - 水槽の演出照明 -

国内営業本部 社会システム部 広域開発営業課 清水 真悟
国内営業本部 信越営業所 松永 竹寛

キーワード

新潟,水族館,マリンピア日本海,演出照明,省エネルギー,LED

1.はじめに

1.1 施設概要

新潟県新潟市の新潟市水族館「マリンピア日本海」は,約450種2万点の水生生物に出会える日本海側最大級の水族館である。マイワシの大群やホシエイなどが泳ぐ水量800tの日本海大水槽やマリントンネル,躍動感あふれるイルカショー,ペンギン海岸など見どころも豊富で,新潟市の観光スポットとして人気を集めている。「マリンピア日本海」では,施設の老朽化により平成24年9月より改修工事を実施し,平成25年7月15日にリニューアルオープンした。屋外には,田んぼ・砂丘湖など海から内陸に広がる新潟市の自然をモデルにした「にいがたフィールド」を新設するなど,さまざまな施設整備を行い,海や川の生き物をより身近に感じることができる水族館に生まれ変わった。

1.2 照明設備設置の背景と目的

改修工事前の「マリンピア日本海」は,水槽の演出照明の光源としてメタルハライドランプを中心としていた。今回のリニューアルでは,新潟市の意向を受け,サンゴ育成用照明など特殊な照明を除き,省エネ効果のあるLED光源を採用することにした。照明器具,LED光源の選定にあたっては,机上でのシミュレーションだけでなく,水族館の職員や新潟市関係者立会いのもと,現地での照明実験を重ね,水槽の見え方を十分検討した上で決定した。

2.照明設計

2.1 設計コンセプト

本計画では,水槽の演出照明の光源としてLEDを選定したが,以下のコンセプトに基づいて設計を行った。

  1. 省エネルギー
  2. メンテナンスの簡易化
  3. 改修前と同等以上の演出効果

2.2 照明手法

照明器具の設置位置は,改修前と同様に水面から約1m上とした。また,照明器具は電源コードを10mとし,コンセント付とした(プラグ付特注仕様)。これにより自由に照明器具の位置を変えることができる(図1,2)。

図1 照明器具取付状況(レディオック フラッド ブリッツ TM)

図1 照明器具取付状況
(レディオック フラッド ブリッツ™)

図2 照明器具取付状況(レディオック シーリング HB TM)

図2 照明器具取付状況
(レディオック シーリング HB™)

2.3 設計照度

本計画では,水槽規模及び水生生物の種別を考慮して,水面上で設計照度を設定した(表1)。水面上とした理由は,海水の透過率が明確でない為である。

表1 設計照度
水槽番号 水槽規模 概略水深[m] 設計照度[ℓx]
1 5 5500
3・5・8・9・21 3 2500
4 3 5500
6・7・10・11・19・20 3 1000
18 3 300
32・33・34・35 1.5 450
36・37・38・39 1.5 250

2.4 照明計画

設定した設計照度を満たす台数の算出を行い,照度分布図を作成した(図3~7)。本計画では,照度の確保だけでなく照射された水槽内の演出効果が重要視される為,照度分布図で選定した照明器具を実際の取付位置に設置し,目視による検証を行い照明器具の台数を決定した。

図3 照度分布図(水槽1)

図3 照度分布図(水槽1)

図4 照度分布図(水槽3~11)

図4 照度分布図(水槽3~11)

図5 照度分布図(水槽16~21)

図5 照度分布図(水槽16~21)

図6 照度分布図(水槽32~35)

図6 照度分布図(水槽32~35)

図7 照度分布図(水槽36~39)

図7 照度分布図(水槽36~39)

3.設備概要

3.1 照明器具選定

照明器具の種類と台数は,設計照度を満足する条件だけでなく,水槽内の水生生物,擬岩などの見え方を考慮して選定を行った(表2)。

表2 照明器具数量表
商品名 形式(特注) 配光
タイプ
器具光束
[ℓm]
色温度
[K]
平均演色評価数
[Ra]
数量
[台]
レディオック フラッド ブリッツ™ 400W E4021N/
07543
狭角 28900 5000 70 8
レディオック シーリング HB™ タイプF 高出力形 EHCL19713N/
07298
広角 20000 5000 70 56
レディオック フラッド ネオ™ 95W ECF0771N/
07297
狭角 5720 5000 68 1
レディオック フラッド ネオ™ 95W ECF0773N/
07296
広角 6290 5000 68 17
レディオック フラッド ニノ™ ECF0123N/
07329
広角 777 5000 70 14

3.2 照明演出効果

色温度5000K,平均演色評価数Ra70又はRa68で直進性の強いLED光源は,水面に自然光が差し込んでいるようなきらめき感をつくり出すことができた(図8~11)。

図8 照明点灯状況(水槽1)

図8 照明点灯状況(水槽1)

図9 照明点灯状況(水槽4)

図9 照明点灯状況(水槽4)

図10 照明点灯状況(水槽20)

図10 照明点灯状況(水槽20)

図11 照明点灯状況(水槽34)

図11 照明点灯状況(水槽34)

4.おわりに

水族館の水槽照明で使用する光源は高演色形メタルハライドランプを選定することが多かったが,「マリンピア日本海」では特殊な照明を除いて全てLED光源を選定した。これは,国内の水族館では前例が無いことである。水族館に訪れる人々が感動するような演出効果は勿論のこと,水生生物に対する影響も考慮しなければならなかった。現地での点灯実験を重ねることで,水生生物に影響を与えず素晴らしい演出効果を実現できたと思われる。今回の実績を活かして,他の水族館でもLED光源が普及していくことを願う。

最後に,貴重な演出照明を実現させて頂いた新潟市様,設計及び工事に関わって頂いた関係各所の皆様に感謝を申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第30号掲載記事に基づいて作成しました。
(2014年6月2日入稿)


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