施設報告

桜美林学園更賜体育館

国内営業本部 横浜営業所
国内営業本部 東日本技術設計センター

キーワード

桜美林学園,学校,体育館,省エネルギー,LED,高天井照明器具

1.はじめに

桜美林学園は東京都町田市に本部を置く学校法人で,1921年に創始者・清水安三が中国・北京に設立した崇貞学園を礎としており,1946年,町田市に開学した。現在は町田キャンパスに幼稚園,中学校,高等学校,大学,大学院があり,約10,000人の園児,生徒,学生が学ぶ学園に発展している。桜美林学園では,エコ・キャンパスの実現に向けて環境保全への様々な取り組みを行っており,その一環として2012年3月町田キャンパス内にある更賜体育館の照明器具改修工事が実施された。

本稿では同照明設備の概要について紹介する。

2.照明設備の概要

2.1 設計コンセプト

既設照明はHID高天井用照明器具を用い,光源はメタルハライドランプと高圧ナトリウムランプの混光照明だったが,経年劣化によりランプの不点灯等が頻発し,年に数回の高所作業を伴うランプ交換を行っていた。 そこで,これらのメンテナンス費用の軽減や電気料金の削減,更には,HIDランプでは再始動に時間が掛かるためにできないこまめな消灯による節電等を目的に,照明のLED化を計画した。

2.2 設計特性

器具は瞬時再点灯及び調光可能なLED高天井用照明器具レディオック ハイベイ ラムダ(LEDioc HIGH-BAY Λ;形式:EHCL22203DN)を採用した。体育館内部の風景写真を図1に示す。

照明器具の設置状況を図2に示す。ボール等が当たるのを防ぐ対策として照明器具を全体ガード(特注品;TGS43/03950)でカバーした。取付けは特注金具を作成し既設の梁にU型ボルトにて固定をした。

床面照度は既設照明と同台数の49台にて500ℓxを確保した。照度分布を図3に示す。従来は,セードと,400W水銀ランプとの組合せで25台,360W高圧ナトリウムランプとの組合せで24台により照明していた。 そこで,消費電力は,従来が合計19375W,改修後は合計11025Wであり,約40%の省エネとなった。

調光器(図4)の使用により適切な明るさに調節することが可能である(15~100%無段階調光可能)。

図1 体育館内部風景

図2 照明器具設置状況

図4 調光器

図3 照度分布図

3.おわりに

既設照明と同じ台数で十分な照度500ℓxを確保でき,6万時間の長寿命を発揮する光源の採用により省メンテナンスも図れた。 また,前述した通り同学園は規模が大きく,体育館も年間を通じて利用頻度が高い為,消費電力の少ないLED照明への置き換えが電気料金の削減にもたらす効果は大きいと考えられる。調光やこまめな消灯が実行されれば,更に節電効果も高まると期待される。

今後も省エネ,省メンテナンスで良好な照明環境を実現するようなLED化が進み,照明という分野が節電へ大きく貢献していくことを期待する。

最後に,本施設照明設備の完成にあたり,御指導,御協力頂いた全ての方々に厚く御礼申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第29号掲載記事に基づいて作成しました。
(2013年11月26日入稿)


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