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施設報告

桜橋照明施設再生工事 - 既設橋梁照明改修施設例 -

国内営業本部 水戸営業所 鈴木 達朗
国内営業本部 東京広域営業所 泉 仁

キーワード

桜橋,ライトアップ,既設改修,橋梁,高欄照明器具,LEDユニット,省エネ

1.はじめに

桜橋(さくらばし)は,東京都の隅田川に架かる橋梁である。言問橋よりやや上流に位置するこの橋は,台東区と墨田区の姉妹提携事業として1980年に創架が始まり,1985年に完成した。隅田川唯一の歩行者専用橋で,両岸の隅田公園を結ぶ園路の役割を持つ。形状は平面のX字形の特殊な形状しており,橋長はおよそ170m,中央部の幅員は20m。花見のシーズンには,両岸の桜を楽しむために多くの人がこの橋を渡る。本稿では,同橋梁の照明設備の改修について紹介する(図1,図2)。(2013年3月竣工)

図1 桜橋全景(昼のイメージ)

図1 桜橋全景(昼のイメージ)

図2 桜橋(夜のイメージ)

図2 桜橋(夜のイメージ)

2.照明設計

本橋梁の照明計画にあたり,以下のコンセプトの計画を行った。

  1. 省エネルギー性を考慮し,LEDを利用した設計
  2. 既設高欄照明は既設のイメージを崩さず改修を行う
  3. 新たなライトアップ用照明として桁側面照明を設置

3.照明設備

本施設は,橋梁高欄内部に設置された高欄照明と,高欄部の外側に設置されたポール内部の橋上照明,そして橋の2箇所の分岐点に設置された彫刻を照らす彫刻用照明の3種類の既設照明が設置されている。

今回は,これらの他に新設の桁側面照明器具を加えた4種類の照明施設の設計を行った。

3.1 高欄照明

図3 LEDユニット

図3 LEDユニット

高欄照明については,既設器具として高欄内部に蛍光灯FLR40Wが上下2段で設置されており,これを自社製の特注LEDユニット(図3)を上下2段に配置し置き換えを図った。

このLEDユニットは,長さは約1300mmと蛍光灯FLR40Wと同程度の全長で,1ユニット辺りの消費電力は10W程度でありながら既存のLEDユニットに比べて出力も高く,効率的に素子を発光させている。また,接続する電源装置の種類にもよるが,一つの電源装置から7~9本のユニットを直列接続することが可能であり,このユニット単体で防湿構造を確保している。

図4 高欄照明点灯イメージ

図4 高欄照明点灯イメージ

今回,高欄照明器具は橋梁の主たる照明として既設のイメージにあわせる必要があり,このユニットをそのまま挿入すると,蛍光灯器具のような面発光をせず,LEDの素子の粒が目立ってしまう問題があった。そこで,すでに老朽化しつつあった既存の前面パネルを,透過率50%程度のポリカーボネート製の乳白パネルに変更することで,光を拡散させ面光源のように見えるよう工夫を施した(図4)。

3.2 橋上照明

橋上照明は,既設照明としてポール内に蛍光灯FLR110Wと反射笠を挿入し,前面のリアパネルにルーバーを接着して照明を行っていた。

既設照明の出力が高く,同条件のLED照明を挿入することが難しいことと,すでに現場では既設照明はほとんど点灯していなかったことから,橋上照明はアクセント照明とし,ワット数を低減して利用することにした。

図5 橋上照明点灯イメージ

図5 橋上照明点灯イメージ

その際,反射笠はそのままに,ポール内上部にLEDioc FLOOD NINO 13Wの電球色(ECF0121LW/07365)を設置し,高欄照明と同じく劣化した前面パネルをポリカーボネート製の乳白パネルに変更することで,スポットライトの照明器具を使用しながら,蛍光灯器具のような淡い面光源の演出を実現させた(図5)。

3.3 彫刻照明

図6 彫刻照明

図6 彫刻照明

彫刻照明については,既設照明として150Wのメタルハライドランプの投光器が設置されていたため,LEDioc FLOOD NEO 50W(ECF0474LW/W/04322/07372)を使用し置き換えを図った(図6)。この際,彫刻の両脇は歩行路になっているため,歩行者に対するグレアを軽減するよう配光は狭角とした。

3.4 桁側面照明

図7 桁側面照明(取付状況)

図7 桁側面照明(取付状況)

新設の桁側面照明については,施主側から桁側面部に光のラインを作りたいという要望があった。これを満たすために,高欄照明にも使用したLEDユニットを橋梁側に向けられる特注器具(図7)を設計し,橋梁桁下のコンクリートに打ち付け設置した。他にも複数の施策を行うことで,光のラインをより美麗に演出した。

まず,器具の電源装置については,見栄えと防水の観点から,橋上照明のある高欄支柱内の結線用のスペースに収納した。この際,桁側面照明器具の最大接続数(9台分)に対して,電源が収容可能な支柱内スペースから次のスペースまでの距離が極端に長かったため,別途送り配線用器具も設計した。図8,表1,表2にその系統図を示す。送り配線で取り付ける器具に関しては各々おおよそのケーブル延長と数量を計算し,電源装置の配置にも規則性を持たせることで施工時のミスを低減させた。

また,器具間の幅を10mmに設定し器具の影が目立たないように配慮した。

図8 器具数量及び配置配線系統図(上流側)
図8 器具数量及び配置配線系統図(上流側)
図8 器具数量及び配置配線系統図(上流側)

図8 器具数量及び配置配線系統図(上流側)

表1 凡例
記号 名称 備考
照明分電盤 数量:1
桁側面照明用電源装置 数量:14(橋上照明下ボックス内)
桁側面用照明器具
(5種類)
数量:計247基(上流側:123基 下流側:124基)
各ポールごとの数量明細は下記表に記載
彫刻用照明器具 数量:2
P-3RおよびP-7Lより引き込み
表2 桁側面照明 上流側 凡例
 
右向送り記録
始点用器具

左向送り記録
始点用器具

右向通常
始点用器具

左向通常
始点用器具

左右共通
連結用器具

ポール内
電源装置
P-1L 0 1 1 0 14 2
P-2L 0 0 1 1 7 1
P-3L 0 1 1 0 16 2
P-4L 0 0 1 1 7 1
P-5L 0 0 1 1 16 2
P-6L 0 0 1 1 7 1
P-7L 1 0 0 1 16 2
P-8L 0 0 1 1 7 1
P-9L 1 0 0 1 15 2
総数 2 2 7 7 104 14

※各ポールに連結される灯具の数量は参考数量とする。

4.おわりに

本橋梁の照明改修は,既に照明器具が設置された場所への置き換えとしてLEDの特長発光源の小型化とそれに付随した照明器具の形状の自由化)を十分に発揮させることができた事例といえる。既設設備の寸法にあわせるためのLED器具の形状や仕様の検討と,河川上の橋梁という施工の限定される環境にあわせた配置設計にはかなりの試行を要したが,その甲斐あって景観にマッチしたすばらしい設計をすることができた。また,今回使用したLEDのユニットについては汎用性があり,今後も様々な分野での提案が可能と考える。

最後に,本照明設計の完成にあたり,ご指導,ご協力いただいた皆様には深くお礼申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第28号掲載記事に基づいて作成しました。
(2013年5月15日入稿)

納入事例


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