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施設報告

出戸トンネルの照明設備 - 広スパン対応型トンネル照明器具の納入事例 -

営業本部 東日本営業部 仙台営業所

キーワード

日本海沿岸東北自動車道,出戸トンネル,新直轄,広スパン,コスト縮減

1.はじめに

日本海沿岸東北自動車道(新潟空港IC~青森IC区間)の一部区間である仁賀保本荘道路(にかほ市両前寺交差点~本荘IC11.2km)と,全国初の新直轄道路として本荘IC~岩城IC間(21.6km)が,平成19年9月に開通した。(図1)

仁賀保本荘道路は,一般国道7号の交通混雑の緩和や災害時の代替路確保とともに,高速ネットワークとして地域の活性化や交流・連携に大きく寄与する直轄の自動車専用道路として期待されている。

本稿では,仁賀保本荘道路及び本荘IC~岩城IC間に施設された5トンネル(直轄:出戸・西目・孔雀館,新直轄:芦川・二古)の基本照明設備に,コスト縮減と視環境を重視した広スパン対応型トンネル照明器具110Wが1357台納入(平成19年9月竣工)されたので,その中の一つである出戸トンネル(秋田県由利本状市)についてその概要を紹介する。(図2,図3)

図1 出戸トンネル位置図

図1 出戸トンネル位置図

図2 出戸トンネル終点側坑口(昼間)

図2 出戸トンネル終点側坑口(昼間)

図3 出戸トンネル終点側坑口(夜間)

図3 出戸トンネル終点側坑口(夜間)

2.照明設計

2.1 施設概要

出戸トンネルの諸元を表1に,断面形状を図4に示す。

表1 トンネル諸元
道路規格 第1種第2級
トンネル名 出戸トンネル
トンネル延長 579(m)
設計速度 100(km/h)(トンネル本体の設計速度)
80(照明設計における設計速度)
交通方式 2車線対面交通
計画交通量(台/日) 14,600
車道幅員(m) 7.0
路面全幅員(m) 11.004
トンネル内面反射率 天井面 ρ c=0.25%
壁面 ρ w=0.25%
路面 ρ f=0.25%
野外輝度 起点側・終点側 4,000cd/m²
縦断勾配 2.993%
トンネル内装板の有無
換気設備の有無
無停電電源装置の有無
自家発電設備の有無
図4 出戸トンネル断面形状

図4 出戸トンネル断面形状

2.2 設計コンセプト

照明設備の設計にあたっては,次のコンセプトに基づき照明計画が進められた。

  1. 設置台数の削減(初期設備費,維持管理費の削減)
  2. 新技術の積極的な採用(新技術情報提供システムNETIS登録技術の採用)
  3. 視認性の確保(良好な均斉度)

2.3 設計基準値

出戸トンネルの設計基準値は以下の通りである。

基本照明
昼間点灯 4.50(cd/m²)=全点灯
夜間点灯 2.25(cd/m²)=1/2間引き点灯
深夜点灯 1.12(cd/m²)=さらに1/2調光点灯
野外輝度
両坑口共に 4,000(cd/m²)

2.4 器具・光源の選定

トンネルの基本照明は,トンネル内を走行する運転者が前方の障害物を安全な距離から視認するために必要な明るさを確保するための照明であり,器具・光源の選定要件としては照明効率が高く経済的であり,照明効果が十分に得られること,さらに維持管理に際しては保守作業の頻度が少なくて済み,ランプの入手や交換が容易であることが必要となる。

上記のことを踏まえ,以下の5種類の照明器具及び光源の組合せについて検討を行なった。

  1. 低圧ナトリウムランプ NX55+KPL(P)055B(プレス型)
  2. Hf蛍光ランプ(直管形) FHF32×2+KPF(P)0322B(プレス型)
  3. Hf蛍光ランプ(2本管形) FHP45×2+KPFHP(P)0452B(プレス型)
  4. 両口金形高圧ナトリウムランプ NHTD110+KPD(P)110BL(広スパン対応型)
  5. 無電極ランプ 50W×2+無電極用照明器具(プレス型)

これらの光源は,光束,効率など光源として具備すべき特性が安定しており,トンネルという使用場所の環境に適合している。そこでこれら5種類の組合せにおいて,経済性,照明効果,見え方などについて検討を行なった。

2.5 経済性の比較

前述の組合せについて,20年間のLCC(ライフサイクルコスト)比較を行なった結果を表2に,また20年間のLCCの推移を図5に示す。

表2 基本照明経済比較
比較案 1 2 3 4 5
照明器具形式 KPL(P)055B KPF(P)0322B KPFHP(P)0452B KPD(P)110BL 無電極用照明器具
ランプ形式 NX55 FHF32×2 FHP45×2 NHTD110 無電極50W×2
ランプ光束(ℓm) 7,600 8,740 8,270 10,400 10,000
ランプ寿命(h) 9000 12000 12000 18000 60000
照明率 0.338 0.330 0.337 0.438 0.369
保守率 0.55 0.55 0.55 0.55 0.55
取付感覚(m) 6.5 7.5 7.0 12.0 9.5
照明器具数量(台) 176 152 162 96 120
初期設備費(万円) 2,248 3,350 2,938 1,418 1,773
同上比率(%) 100 149 131 63 79
20年間照明費(万円) 6,554 7,733 7,874 4,568 5,092
同上比率(%) 100 118 120 70 78
図5 基本照明20年間ライフサイクルコストの比較

図5 基本照明20年間ライフサイクルコストの比較

比較検討の結果,基本照明には最も経済的な広スパン対応型トンネル照明器具が,高いランプ光束を求められる入口照明には,ランプ種類(ワット数)が充実し,従来から入口照明に用いられてきた低圧ナトリウムランプより設置台数の削減が可能で,基本照明と同特性を有している高圧ナトリウムランプとプレス型トンネル照明器具(KPH-B)の組合せが採用されることとなった。


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