施設報告

ブーランジェリー・ボヌール 東京ミッドタウン日比谷店 照明設備

照明事業部 営業技術部 東日本技術設計センター
株式会社ライトキューブ

キーワード

ブーランジェリー・ボヌール,Boulangerie Bonheur,東京ミッドタウン日比谷,入店率を上げる光,注目させる光,温かみのある光,光彩度・高演色形,雰囲気をつくりだす照明演出

3.照明設備

3.1 設計照度および天伏図

店内と厨房の照度分布図を図8に示す。図の下側が店舗の入口となっており,店舗の中央を横に延びる間仕切りを挟んで下側が店内,上側が厨房となっている。

店内側の照度は,約1000〜2000ℓxの範囲で明るさのコントラストを付けており,平均照度は店内側が1356ℓx,厨房側が650ℓxとなっている。なお,計算条件は店内の天井高が3.5m,厨房の天井高が2.7m,計算面を机上面0.8mとし,保守率はLED 1.0とした。

図8 照度分布図

3.2 設備概要

使用した照明器具を図9に示す。照明器具リストの表では,上段が天井からの直接照明,下段が棚下や壁面などの間接照明の仕様一覧となっている。

図9 照明器具リスト

3.3 エレベーション配光イメージ

天井の照明器具から床面への光の照射イメージは図10のようになっている。本図における上図は店内の配光イメージで,店舗の入口側から見た図になる。また,下図は,図8の縦方向の断面における配光イメージで,中央の間仕切りを挟んで左側が店舗,右側が厨房となっている。

店内では,演出照明としてダウンライトおよびスポットライトを,ベース照明として特注セードの照明器具を採用している。

図10 エレベーション配光イメージ

(1)演出照明

ベーカリーショップという業態では,店内を基本的に電球色で統一し,パンを美味しそうに“焼きたて感”を見せる配慮が必要である。

ここでは,店内奥の壁面陳列棚および平台パンテーブルにおいて,主となる演出およびアクセント照明は,LED ユニバーサル(EDU07101/L)のダウンライトとした。また,LEDスポットライト(ESP07100/LSAZ1-BK)はすべて,LEDチップがCOBタイプで,高彩度・高演色形(平均演色評価数Ra95)とした。さらに,色温度は電球色タイプ(相関色温度3000K)を採用し,シーンに合わせて3種類のレンズユニット(1/2ビームの開き14°,20°,31°)を使用している。

これにより,美味しさや焼きたて感を演出し,パンの焼き色とツヤ感をしっかり自然に強調することで,店内への入店,誘引効果も高める。

(2)ベース照明

今回,特注照明器具として,LEDランプ(LDGS75L-H-E39/HBC)と組合せた特注セード(SAW415)を採用している。これにより,ビジュアルイメージの統一によるブランディングサポートおよびブランドイメージを高め,視覚的に統一されることで認知度を高めている。

4.おわりに

東京ミッドタウン日比谷は,国際的にも知名度の高い日比谷エリアの中心部に位置し,国内だけでなくインバウンドの観光客にも知名度が高い大規模複合商業施設となっている。本施設の来場者数が開業約1ヶ月時点で200万人を超え,また,開業初日には約10万人が来場し,その後も目標を上回るペースの1日平均約8万人が来場している。

さらに,飲食店の人気にくわえ,物販店では「同施設限定商品を求める来場者も多く,売り上げは好調」としている。今回,少しでもお客さまに貢献できたことは大きな喜びである。

最後に本施設照明設備の完成にあたり,ご協力いただいた関係各位に心より感謝申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第40号掲載記事に基づいて作成しました。
(2018年11月6日入稿)


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