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施設報告

大橋浄水場紫外線装置設置工事

光・環境事業本部 光・環境営業部 環境・産業システム営業課 入江 雄司
光・環境事業本部 光・環境営業部 営業技術課 柴崎 登

キーワード

大橋浄水場,紫外線照射装置,アイウォーターピュア®,クリプトスポリジウム,上水

1.はじめに

栃木県佐野市は日本名水百選にも選ばれた出流原弁天池湧水があり,豊富な地下水を水道水源として利用している「水と緑の自然豊かなまち」である。同市の水道局には「いつでも安心でおいしい水の提供」というビジョンがあり,万一の耐塩素性病原生物(クリプトスポリジウム)汚染対策として,2016年3月に紫外線照射装置を導入した。

本稿では,同市の大橋町にある大橋浄水場の施設について紹介する(図1)。

図1 大橋浄水場の設備外観

2.設計条件

2.1 コンセプト

佐野市水道局様は,「いつでも安心でおいしい水の提供」というビジョンを実現するために,次の4つの目標を掲げ,水道事業を行っている。

  1. 安全な水の供給
  2. いつでも使える水道
  3. 安定した事業運営
  4. 環境への配慮

目標①では,厚生労働省が定める「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」に沿って,本設備に関連する「クリプトスポリジウム汚染対策」を挙げている。

クリプトスポリジウムとは,大きさが3~8μm程度の原虫(真核単細胞の微生物)である。塩素に対して強い耐性があり,従来から浄水場で実施されている次亜塩素酸処理では不活化できないが,紫外線の照射が不活化に有効であることが分かっている。また,人への感染力が強く,感染した場合,激しい下痢や腹痛を引き起こすため,厚生労働省では水道施設の技術的基準を定めた対策指針をとりまとめている。

2.2 施設概要

大橋浄水場の浄水処理方法は,次亜塩素滅菌処理と併用して紫外線照射処理を行っている。大橋浄水場の施設の諸元を表1に示す。

表1 大橋浄水場の施設の諸元
浄水場名 大橋浄水場
所在地 栃木県佐野市大橋町
原水の種類 地下水
配水能力 14,610m³/日
調整池容量 1,000m³
浄水処理方法 次亜塩素滅菌処理
紫外線照射処理

2.3 設計基準および条件

紫外線照射装置の設計にあたり,要求される紫外線照射基準および条件を以下に示す。

(1) 紫外線照射装置の基本仕様

2012年6月に施行された水道施設の技術的基準を定める省令(耐塩素性病原生物)および,2012年1月に施行された公益財団法人水道技術研究センターの「紫外線照射装置JWRC技術審査基準(改訂版)」に適合した装置であり,公益財団法人水道技術研究センターの基準適合認定した製品を使用すること。

技術的要件を以下に示す。

  1. 紫外線照射槽を通過する水量の95%以上に対して,紫外線(253.7nm付近)の照射量を10mJ/cm²以上確保できていること。
  2. 紫外線が照射されていることを常時確認可能な紫外線強度計を紫外線照射槽に設置すること。
  3. ランプスリーブおよび紫外線強度計検出部の洗浄ができ,自動洗浄ができること。
  4. ランプスリーブは破損時の破片流出防止のため,フッ素樹脂被覆されていること。
  5. 使用するランプは,低圧水銀アマルガムランプとすること。
  6. 装置の設置形態は横型とすること。
  7. 装置は日本国製とすること。
(2) 処理対象水質条件

処理対象水(ろ過水)である原水の水質を表2に示す。

表2 原水の水質
濁度 0.1度以下
色度 2度以下
260nm紫外線吸光度 0.015abs./10mm

2.4 紫外線照射装置の仕様

要求仕様に対して満足する紫外線照射装置の選定を行った。紫外線照射装置の仕様を表3に示す。

表3 紫外線照射装置の仕様
項目 内容 発注仕様
処理水量 20,000m³/日・台(最大) 17,000m³/日・台以上
紫外線照射量 通過水量の95%に対し,常時10mJ/cm²以上照射されること 同左(JWRC技術審査基準の通り)
数量 2台 2台

3.設備概要

3.1 設置位置

本紫外線照射装置アイウォーターピュア®は,図2に示すように,水源(井戸)から取水された原水の次亜塩素酸処理との併用処理装置として,大橋浄水場内に設置される。

本装置の仕様を表4に示す。

図2 紫外線照射装置の設置位置

表4 装置仕様
名称 アイウォーターピュア®
形式 GHVS24006HLFC
処理水量 20,000m³/日
833.3m³/時
消費電力 2.2kW
装置概略寸法 2520W×775D×1323Hmm
運転質量 930kg
配管口径 10K-400A

3.2 紫外線照射装置の外観写真,配置図

紫外線照射装置の外観写真を図3に,配置図を図4,図5に示す。この図中における赤丸は,紫外線照射装置の位置を示している。

図4の上側から流入した処理水は,装置を通過するわずかな間に紫外線が照射される。その後,次亜(次亜塩素酸ナトリウム)が注入され,調整池に送られた後,配水される。

浄水施設は,万が一でも機能を停止することができないため,1台は予備機として非常時に備え,通常時は交互に切替運転を行う運用方式となっている。

図3 紫外線照射装置の外観写真

図4 浄水設備内の紫外線照射装置

図5 紫外線照射装置の配置図

3.3 保守・点検

本紫外線照射装置は,紫外線ランプの寿命末期(点灯9000時間)においても必要な紫外線強度を有すことが最低限の運転管理条件のため,計画的なランプ交換が必要である。

また,本紫外線照射装置は,紫外線強度計やランプスリーブの自動洗浄装置などを具備するため,紫外線強度を安定して維持するためには,それらの定期的な修繕も必要となる。

4.おわりに

紫外線が耐塩素性病原生物対策に有効であると認められたことで,近年,紫外線照射装置の導入が増えており,よりいっそう市場の紫外線殺菌システムのニーズに応えていきたい。最後に,本紫外線照射装置設備の納入にあたり,本事業の施主である佐野市水道局様をはじめ,ご尽力を賜った関係各位に心より御礼を申し上げる。

参考文献

本稿は,佐野市水道局様の水道事業運営指針「佐野市水道ビジョン」を参考にしました。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第35号掲載記事に基づいて作成しました。
(2016年10月18日入稿)

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