光応用の知識

赤外線加熱

Ⅰ.赤外線の概要

2.赤外線の定義

(1) 赤外線とは

1800年にハーシェル(F.W.Herschel)が、可視スペクトルの端より長波長側に熱効果の大きい部分のあることを発見し、1835年にアンペール(A.Ampere)は、これが可視光線と同種類の光波、すなわち電磁波であることを示しました。これが赤外線の発見であり、現在の日常生活に深く浸透し、様々な用途に利用されています。

赤外線は家庭でもよく利用される光(電磁波)であり、テレビのリモコンから、暖房など身近なものに使われ一般的に認知されるようになってきました。可視光線の中で一番長い波長が赤です。この赤より波長が長い電磁波(光)は目に見えなくなり、赤い光の外側という意味で赤外線(lnfrared Ray)もしくは赤外放射(lnfrared radiation)と呼ばれています。

(2) 波長域区分

赤外線の波長は、可視放射の波長より長い光放射をいい、放射源の放射中に含まれる赤外線を定量評価する場合には、780nmより長い放射を赤外線とします。可視光の波長域は、おおよそ380nm〜780nmといわれています。人間の目に見える波長は、それぞれ人によって異なり可視光線の波長域の定義も文献によって微妙に違いがあります。紫外線がUV-A、B、Cに分けられるように、赤外線も波長によって3つの領域に区分されていますが、細かい数値は学会、各種団体で異なるため、シビアな数値を扱う場合は注意が必要です。

  • ※各種団体(日本電熱協会、遠赤外線協会など。本資料ではJlS Z8117遠赤外線用語を参照しています。)

図5 電磁波における赤外線波長域