技術資料

エキシマ光照射装置の開発 - 装置開発の経緯と技術内容の紹介 -

技術開発室 技術研究所 知能化システムグループ
光応用事業部 EB推進室
光応用事業部
株式会社アイ・ライティング・システム 技術管理部

キーワード

キセノン(Xe),エキシマ,真空紫外光,172nm,照射装置

6. エキシマ光照射装置の特徴

図6にエキシマ光照射装置の一例を示す(同図の写真は照射器を試験用コンベアに載せた状態の様子)。この装置は,洗浄・改質の用途に用いるもので,全体の大きさが幅,奥行,高さとも1200mmで,有効照射幅800mmである。照射器内部に投入RF電力800Wのエキシマランプが1灯搭載されている。

エキシマ光照射装置内には不活性ガス(窒素)が充填されている。ランプの中心電極は熱伝導性の良い絶縁材を通して水冷されている。絶縁材が介在しているので,冷却水は特に純水である必要もなく,水道水でも十分である。ランプの外壁は不活性ガスを強制的に吹き付ける強制空冷方式となっている。ランプを冷却したことによる不活性ガスの温度上昇は冷却水により水冷された熱交換機により冷却される。冷却された不活性ガスは循環して再度ランプの外壁を冷却することに使用される。不活性ガスは循環して使用される方式であるので,不活性ガスの消費量が非常に少なくて済むという特徴がある。

ランプの中心部分が水冷され,ランプの外壁が強制空冷されるので,ランプの冷却が十分行われる構造となっている。従って,ランプで使用されているガラスの紫外線による劣化が軽減され長寿命となる。また,ランプにRF電力が投入されてからの紫外線出力の時間的な減少もほとんどないというすぐれた特徴がある。

当社のエキシマ光照射装置は,単位面積当たりのエキシマ発光出力が大きく(最大100mW/cm²),また,ミリ秒単位,数十分単位の時間的なスケールでも,エキシマ発光出力時間的な変動がない特徴がある。また,長時間の連続運転をしても,装置の温度上昇が少ない(20~30℃程度)という特徴もある。

図7は,図6とは別の装置だが,照射器部の筺体を持ち上げた時の装置内部の状況を写真で示したものである。このように,当社のエキシマ光照射装置は,内部のランプ周りはコンパクトな配置に設計してある。

図6 エキシマ光照射装置(1例)
エキシマ光照射器UEEX801搭載

図7 装置内部の状況

7. おわりに

今回,当社のエキシマ光照射装置についてエキシマランプの構造や点灯回路を中心にして装置設計の考え方や技術内容を紹介した。本稿がエキシマ光照射の基礎の理解に少しでも手助けになれば幸いである。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第14号掲載記事に基づいて作成しました。
(2006年4月24日入稿)


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