技術資料
LEDトンネル照明器具 - LEDioc TUNNEL™ -
照明部 機器開発課
キーワード
LED,トンネル照明器具,LEDioc TUNNEL™,省エネ,広スパン,90000時間,ユニット交換方式
1.はじめに
道路トンネル照明設備を整備・管理する,国・自治体・高速道路会社等の公の機関では,地球温暖化対策の一環および維持管理費の削減として,長寿命・省エネ効果が得られるLED照明器具には大きな期待を抱いており,その現れとして『電気通信技術5ヵ年計画』の中でLED照明器具がビジョンテーマとして掲げられている。
当社はLED照明器具の道路・トンネル市場に向けて,先進性の高い商品開発を目指しており,今回発売するLEDioc TUNNELシリーズは,LED器具として国内最長寿命(設計寿命)の90000時間を実現した広スパン対応トンネル照明器具である。
2.商品概要
2.1 商品仕様
器具正面図を図1,器具背面拡大図を図2,共通仕様を表1に示す。
本体 | ステンレス |
---|---|
ヒートシンク | アルミダイカスト |
前面ガラス | 強化ガラス |
光源 | LED(昼光色タイプ) 6500K |
仕上色 | グレイ(マンセルN7) |
定格周波数 | 50/60Hz 共用 |
定格電圧 | 200V |
LEDモジュール設計寿命 | 90000時間(※注) |
電源 | 初期光束補正機能付 |
- ※注:設計寿命であり,その寿命を保証するものではない。
2.2 商品ラインナップ
商品ラインナップを表2に示す。全5機種(タイプ)16品種を基本構成とする。
種類 | 形式 | LED使用個数 | 消費電力(平均) | ||
---|---|---|---|---|---|
設計輝度2.3cd/m²タイプ | 一般形 | KWE-230/01-2 | 120個 | 108W | |
調光形 | KWE-230D/01-2 | ||||
電池内蔵形 | KWEP-230/01-2 | 118W | |||
電池内蔵調光形 | KWEP-230D/01-2 | ||||
設計輝度1.9cd/m²タイプ | 一般形 | KWE-190/01-2 | 93W | ||
調光形 | KWE-190D/01-2 | ||||
電池内蔵形 | KWEP-190/01-2 | 103W | |||
電池内蔵調光形 | KWEP-190D/01-2 | ||||
設計輝度1.5cd/m²タイプ | 一般形 | KWE-150/01-2 | 77個 | 78W | |
調光形 | KWE-150D/01-2 | ||||
電池内蔵形 | KWEP-150/01-2 | 88W | |||
電池内蔵調光形 | KWEP-150D/01-2 | ||||
設計輝度0.95cd/m²タイプ | 一般形 | KWE-095/01-2 | 61個 | 59W | |
電池内蔵形 | KWEP-095/01-2 | 64W | |||
設計輝度0.75cd/m²タイプ | 一般形 | KWE-075/01-2 | 50W | ||
電池内蔵形 | KWEP-075/01-2 | 55W |
3.特長・機能
①国内最長寿命90000時間※1でメンテナンス削減
当社独自のアルミヒートシンク構造で放熱効果を高め,LED性能が安定することで90000時間の国内最長寿命を実現した。
- ※1:LED照明器具において(2011年1月10日現在)当社調べ
②業界初※2新発想の路面輝度に合わせた器具構成
業界初の「路面輝度(昼間)」に合わせた5タイプ(2.3cd/m²タイプ・1.9cd/m²タイプ・1.5cd/m²タイプ・0.95cd/m²タイプ・0.75cd/m²タイプ)をラインナップ。
道路照明施設設置基準・同解説(2007年10月)のトンネル基本照明性能指標,地方道・国道のトンネル設計速度40・50・60km/hに求められる,各「路面輝度」に合わせた適切な配光性能を有し,効率の良い消費電力でトンネル内の照明環境を形成する。(従来のトンネル照明器具では,限られた光束性能を基に取付間隔の調整での設計が主流である。)
- ※2:LEDトンネル照明器具において(2011年1月10日現在)当社調べ
一般国道における設計例を図3に示す。
③業界最小※3コンパクトサイズ
トンネル環境での耐食性に優れたSUSプレス製筐体を採用。フレームレスで従来HIDトンネル照明器具と同様のコンパクト化を実現。LEDトンネル照明器具では業界最小サイズである。
- ※3:SUSプレス製筐体トンネル照明器具において(2011年1月10日現在)当社調べ
④ 高効率白色LEDと新設計高反射率アルミ反射板を採用
「路面輝度」に合わせたLEDモジュール構成と,光学設計により,従来のトンネル照明器具(ナトリウムランプや蛍光灯のような配光の器具)に比べ,取付間隔が約1.6倍の広スパンで設置できる配光を実現。設置台数を約2/3に減らすことが可能である。必要最小限の消費電力と器具台数でトンネル内を効率よく照明でき,瞬時始動・瞬時再始動が可能。
⑤ 初期光束補正機能付の電源ユニット
全タイプ初期光束補正機能を装備し,新設時の初期性能で設計以上となる明るさ(光束)を補正。適正な路面輝度を保ちながら無駄な電力を削減。調光形は段調光機能も搭載。電源ユニットの設計寿命も90000時間である。
⑥ ユニット交換方式採用
LEDモジュール・電源ユニット・配線・端子台をユニットとして一体化。(図4)
劣化寿命を迎えた時に部品をユニットごとまとめて交換可能である。
4.おわりに
トンネル器具の推定耐用年数は,設置環境にも影響されるが概ね15~20年である。そのため,長寿命と言われているLEDでも交換する必要が出てくると考えられる。
ただし,LEDは日進月歩で性能が向上しており,製品個々のライフサイクルは非常に短いことから,LEDの交換時期が訪れた際に,設置当時使用していた同じLEDを入手することは困難と予測される。
その為,我々照明メーカーとしては,交換時期には,たとえ異なるLEDを使用しても配光性能は変わらず,なおかつ将来的に向上する発光効率により,大幅に省エネを図れるようなユニットを提供できるようにしなければならないと考える。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第24号掲載記事に基づいて作成しました。
(2011年5月17日入稿)
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