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技術資料

IoTスマートスイッチ「Link-S²」

IoT・新規事業推進室

キーワード

IoT,スマートスイッチ,Link-S²,スマートフォン,音声認識デバイス,スマート家電,アプリ,Wi-Fi,クラウド

1.IoTの歴史

IoT(Internet of Things)は近年の新しいIT用語という印象があるが,実はIoTに近い概念は1980年代に存在している。1984年に東京大学の教授らが推進した「TRONプロジェクト」や,1988年にアメリカで発表された「ユビキタス・コンピューティング」の概念がそれにあたる。これらのプロジェクトに共通するのが「どこでも,いつでもリアルタイムにつながる」「誰でもつながる」「デバイスを選ばずネットワークにつながる」といったものであり,現在のIoTの概念となっている。

しかし,昔から存在していたIoTが現在のように普及しなかった理由はなぜか? 最も大きな原因は二つある。一つはIoTを実現するためのセンサやデバイスなどの機器が高かったこと,そしてもう一つは通信の環境が整っていなかったことが挙げられる。通信の速度や通信データ容量が上がらないうちは,IoTが広がることは難しかったと考えられる。

このIoTがビジネスの分野でも使われるようになったのは,スマートフォンなどが普及した2010年ごろである。この年はiPhone4が発売されスマートフォン時代が到来したときであり,IoTの歴史でいえば,このスマートフォンの普及がIoTを躍進させる重要なキーデバイスであったといえる。多くのセンサを搭載し,インターネットにつながるスマートフォンが若者を中心に普及したことで,センサやデバイスの価格は下落し,通信環境のインフラも急速に整理された。

こうしてIoTを普及できなかった原因が解消され始めると,IoTを利用したサービスが次々と生まれ始め,産業や物流関連のビジネス用途をはじめに,今では家電製品や住宅の設備といった個人用途での市場も拡大している。

2.IoT化していく製品

図1 IoTスマートスイッチ「Link-S²」

この家電製品や住宅設備のIoT化が急速に進む大きなきっかけとなったのは,音声によって機器を操作することができる音声認識デバイスといっても過言ではない。例えば,「○○,照明をつけて」と話しかければ,たちまち照明を点灯させることができ,「○○,おはよう」と話しかければ,カーテンが開き,音楽が流れ,ポットがお湯を沸かし,今日の天気や1日のスケジュールまで報告してくれる。

このように,一つ一つ操作していたことを1フレーズで操作できる快適さが先進国を中心に受け入れられ,日本にも少しずつ浸透し始めている。メーカー各社はこの音声認識デバイスに対応すべく,テレビ,エアコン,洗濯機,空気清浄機,ロボット掃除機,電子錠,電動シャッターなど家電や住宅設備を次々と商品化している。

もちろん,これらは音声認識デバイスに対応しているだけでなく,インターネットを利用して宅外からスマートフォンで操作することも可能で,防犯や時短,見守りなど快適に暮らすためのさまざまな工夫がなされており,総称して「スマート家電」と呼ばれている。

このような成長市場において,当部署ではIoTを利用し,かつ新しい分野を開拓するために,「スマート家電」の一つとして図1のIoTスマートスイッチ「Link-S²」を開発した。本稿では,このIoTスマートスイッチ「Link-S²」について説明をする。

3.製品の特長

図2 Link-S²アプリ

このIoTスマートスイッチ「Link-S²」は,図2の専用のアプリケーション(以下,アプリ)を使用することでスマートフォンやタブレット(以下,端末),または音声認識デバイスから照明や換気扇のON/OFFを操作することができる。

例えば,既設の壁スイッチを「Link-S²」に変更するだけで,照明メーカーを問わず,既設の照明がIoT照明へと変わる。つまり,宅内での遠隔操作はもちろん,外出先でも端末から照明のON/OFF操作をすることができるようになる。これはいかにもIoTらしいといえる。

本章では,この専用アプリを用いることで,現在一般的に使用されている壁スイッチではできないIoTらしいさまざまな操作方法を説明する。

3.1 スイッチ操作

図3 スイッチ操作の画面

「スイッチ操作」では,端末からスイッチのON/OFF操作をすることができる。そして,図3の画面を見ると分かるように,外出先でも現在どのスイッチがONしているのかOFFしているのか,スイッチの状態を端末から確認することもできるため,例えば,外出後の消し忘れや家族が在宅中なのかどうかも分かるようになる。

3.2 スイッチ連携

図5 照明への配線がないスイッチ操作

「スイッチ連携」では,一つのスイッチを操作することで,二つ以上のスイッチを同時にON/OFF操作することができる。例えば,図4のようにリビングとダイニングを専用のアプリでスイッチ連携させると,リビング照明のスイッチをONにすればダイニング照明のスイッチも一緒にONとなる。

後に説明するグループ操作と異なるところは,グループ操作ではアプリを使った端末操作でのみ複数のスイッチを同時に制御できるが,スイッチ連携の場合,端末操作でも物理的に操作しても一つのスイッチで複数のスイッチを同時に制御できる。

つまり,図5のように照明への配線がないスイッチでも,スイッチ連携を設定しておけば物理的な操作でON/ OFFをすることができる(3路配線が不要となる)。

図4 スイッチ連携の画面

図6 グループの画面

3.3 グループ

「グループ」では,選んだスイッチをグループ化してまとめて操作することができる。例えば,リビングとダイニングの照明をグループ化すれば,1回の操作で2部屋の照明をON/OFF操作することができ,図6のようにすべての照明をグループ化しておけば,1回の操作ですべての照明をOFFにすることもできる。グループの設定は最大で50個まで作成することができる。ただし,グループ制御はアプリや音声認識デバイスでのみ操作することができ,物理的な操作でのグループ制御はできない。

3.4 スケジュールの設定

図7 スケジュールの設定画面

「スケジュールの設定」では,設定した時間に指定した照明(グループで設定)をON/OFF操作することができる。デフォルトで起床(指定時間にON操作),就寝(指定時間にOFF操作),外出(指定時間にOFF操作),帰宅(指定時間にON操作),防犯(指定した時間にON/OFF操作)があり,カスタムを選択すれば任意の時間や曜日に指定した照明のON/OFF操作を設定することができる。また,設定の追加または内容を変更したい場合は外出先からでも行うことが可能である(図7)。

3.5 人感センサ連動

図8 人感センサ連動の画面

「人感センサ連動」では,センサの設定をONにすることで,感知したときに指定した照明(グループ)をONにすることができる。つまり,感知したセンサのスイッチに接続されている照明を点灯させるのはもちろん,他の照明を指定すればその照明を点灯させることもできる。また,センサを感知させる時間帯の設定や照明の点灯保持時間の設定も行うことができ,スケジュールの設定と同じように設定内容の変更などは外出先からも行うことが可能である(図8)。

3.6 外部アプリ連携

図9 アプリ連携での使用例

外部アプリ連携では,API(Application Programming Interface)を利用し,他社が提供するアプリと連携することができる。今現在対応しているものとして,Amazon社のアレクサアプリと連携しており,アレクサアプリでの端末操作はもちろん,音声認識デバイスのAmazon Echoを利用した音声による操作も可能である。

これに限らず,今後他社のスマートホーム用アプリと連携させれば,他社が使用しているスマートホーム用アプリのもとで「Link-S²」のスイッチをON/OFF操作することができる(図9)。

3.7 みまもり

図10 みまもりの設定画面とデータグラフ

みまもりは,離れた場所や外出先から家族の生活を見守るための機能である(在宅検知,安否確認)。例えば,時間を設定し,その設定した時間内に指定したセンサに反応があった場合,または,指定した時間以上に指定したセンサに反応がない場合に,あらかじめ登録したメールアドレスに在宅の確認や安否の連絡を送ることができる。また,図10のように当日のセンサデータはもちろん,1週間前までさかのぼってセンサデータをグラフで確認することもできる。

このように「Link-S²」はIoTを利用することによってスイッチに新たな付加価値を生み出し,さまざまなシーンに活用される。

4.製品の仕様と構成

本章では「Link-S²」の仕様とシステムの構成について説明する。表1から分かるとおり,日本で一般的に使用されている片切りスイッチと異なる点として,「Link-S²」には常時AC100Vの電源が必要である。

図11は「Link-S²」の構成図である。入力のAC100Vは電源PCBA(Printed Circuit Board Assembly)でDC電圧に変換され,Wi-Fiモジュールが搭載されている無線制御PCBAへ供給している。そして電源PCBAにはメカニカルリレーが実装されており,入力用の端子台1と負荷用の端子台2の間はこのメカニカルリレーの開閉によって負荷のON/OFFが制御される。

次に,システムについて説明する。「Link-S²」はWi-Fi(2.4GHz)を利用した無線通信を行うため,市販のルータなどを設置し常時接続可能なインターネット回線と,Wi-Fiを使用できる環境が必要になる。しかし,別途専用の無線ルータや有線LANのアダプタ,「Link-S²」への信号線などは必要としない。

図12は「Link-S²」を使用するための通信環境の構成である。スマートフォンのモバイル回線を使用した操作はもちろん,音声認識デバイスなどでWi-Fiを利用して操作した場合でも,一度クラウドサーバを経由してから「Link-S²」へ通信する。そして「Link-S²」からの操作(人感センサの検知も含む)も一度クラウドサーバを経由してからスマートフォンなどの端末へ通信する。

つまり,人感センサのデータとON/OFFの操作データはクラウドに蓄積されビッグデータとなる。例えばスマートホームを事業としている企業がこのビッグデータを利用して別のビジネスに展開したいといった場合に,図13のように有償でAPI連携をしてデータを公開することもできる。つまり「Link-S²」は一つのスマート家電にとどまらず別のビジネスへ展開することも可能である。

図11 構成図

表1 Link-S²の仕様
商品名 Link-S²(リンク エスツー)
入力電圧 AC100V
定格周波数 50/60Hz
使用周波数 2.4GHz
接続負荷容量 4A(始動時8A)以下/回路
消費電力 2W以下(本体のみ)
人感センサ検知角度 片側概ね45度
使用温度範囲 -10℃〜+40℃

図12 通信環境の構成

図13 他社とのAPI連携

5.まとめ

本稿では,IoTスマートスイッチ「Link-S²」の仕様や構成,そしてIoTらしい特長を中心に紹介した。しかし,言葉や図で説明をしても,スマートフォンと同様で実際に使用してみなければこの快適さを感じてもらうことはできないだろう。本稿を読んで少しでも関心を持っていただけたら,まずは1台是非使ってみてほしい。

ところで,スマート家電の一つにIoT対応の照明器具が販売されている。このようなIoT対応照明器具もスマートフォンや音声認識デバイスなどで操作をすることができる。「Link-S²」と同じようなことができるので競合になるのではないか?と思う方もいるかもしれない。しかし,IoT対応照明器具を遠隔操作するには「壁スイッチがONになっている」,つまり,「照明器具に電源が入っている状態」という前提がある。スイッチがONになっていない,すなわち器具に電源が入っていない状態では,外出先から操作することができないのである。しかし,壁スイッチを「Link-S²」にするだけで外出先から壁スイッチをONにすることができ,IoT対応照明器具は操作が可能となる。要するにIoT対応照明器具とは競合どころか「Link-S²」と一緒に使うことで,より操作性が向上するといえる。

最後に,「Link-S²」の現在のラインアップは2回路タイプのものしかなく,デザインも選ぶことができない。今後は,1回路タイプや4回路タイプ,センサなしタイプやタッチパネルスイッチタイプなどバリエーションを増やしていく検討をし,「Link-S²」を一つでも多くの家庭や事務所などに使用していただくために,さらなる開発を進めていく。

補足事項

  1. Link-S²は,岩崎電気株式会社の商標登録。
  2. Apple,Appleのロゴ,iPad,iPhoneは,米国およびその他の国で登録されたApple Inc.の商標。App Storeは,Apple Inc.のサービスマーク。
  3. iPhoneの商標は,アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されている。
  4. iOSの商標は,Cisco Systems, Inc.のライセンスにもとづき使用されている。
  5. Google Play,Google Play ロゴ,Androidは,Google LLCの商標または登録商標。
  6. Amazon Echo,Alexaおよび関連するすべてのロゴはAmazon.com, Inc.またはその関連会社の商標または登録商標。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第40号掲載記事に基づいて作成しました。
(2019年5月13日入稿)


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