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創造人×話

「心地よさ」を使い手の方と共有できる江戸切子をつくることに喜びを感じています。

三澤 世奈さん江戸切子職人

秋冬の季節に合わせた色合いのシリーズ

江戸切子は、光にかざすと、繊細な文様と美しく磨き上げられたカットが煌めきを放ち、まるで光の芸術のようでもあります。三澤さんがお好きな光についてお聞かせください。

酒器として、江戸切子は比較的夜のシーンで使われることが多いと思います。照明のもとでキラキラと輝く光の煌めきを楽しんでいただくことも、もちろん素敵ですが、私自身は自然光の下で見るのが一番好きです。お日さまにかざすと、切子がいろいろな方向から光を取り込んで、柔らかな優しい輝きを放ちます。

「SENA MISAWA」では、昼間も使っていただけるよう、お酒だけでなくジュースなどにも使いやすいグラスを作り、私も毎日のように使っています。堀口切子のピアスのデザインを任された時は、ピアスのガラス部分に光が透過して輝くように、金属部分を工夫してデザインしました。光の反射で輝きを増す江戸切子は、ガラスの内側とそこに注がれた飲み物が反射し合って万華鏡のように変化したり、照明が当たることでカウンターやテーブルに複雑な陰影をつくったりと、使うことで知ることのできる切子の魅力がありますので、ぜひ実際に手に取っていただきたいと思います。

光と影のラインがつくり出す陰影も魅力のひとつとなっている
光を透過するデザインのピアス

「後継者を育てること」を師匠である堀口氏と入社当時からお約束されていらっしゃると伺いました。それはどういう意味合いを持つのでしょうか。

江戸切子職人の数は現在84人程です。

今いる職人が少なくとも一人以上に教わった技術を伝えていけば、時代が経ってもその人数は減らないはずだという親方の考えのもと、後継者を育てていくことが入社の際の条件でした。自分自身がまだまだ修行の身であり、後輩に技術を教えていくことは難しさもあります。それでも、自分が教わったことを上手に伝えるためにはどうしたら良いかと考え、教える前に自分のメモをよく復習したり、教えた後、後輩の作業音や動きを観察し、うまくいかない原因が分かればアドバイスするようにしています。教えることで改めて気付くことがありますし、自分の成長にも繋がっていると感じると同時に、技術を継承していくことの大切さを実感しています。

余白をデザインした切子アート作品「dual(BLANK)」

最後に今後の展望についてお聞かせ願います。

堀口切子の強みは、伝統と真摯に向き合いながら、常に新しいモノづくりに挑戦し続けていることだと考えています。弊社では、企業とのコラボレーションでペットボトルのデザイン監修や照明器具のデザインなども行っており、江戸切子という伝統工芸の可能性を広げる試みに取り組んでいます。良いものは残し、必要なものは加え、不必要なものは勇気を持って省いていく“残す・加える・省く”という堀口切子の理念を念頭に、私自身も新しい作品づくりに力を注いでいます。毎年開催される「江戸切子新作展」への出品もその一つで、2021年度は、“余白”をパターンとして表現した作品を出展させていただきました。自分の考えを自由に作品に表現できる機会であり、私にとっては非常に貴重な場となっています。

また、5年ほど前から会社のSNSの運用を始め、広報活動にも力を入れています。機会をいただければメディアに出ることもそうですし、SNSをできる限り活用して「江戸切子の魅力を伝える」ことが私の役割の一つだと思い、積極的に発信するように努めています。家のどこかに眠っているかもしれない江戸切子や昔の器に着目して、もう一度手に取るきっかけになったらそれだけでも嬉しいですし、江戸切子に興味を持ってくださる方を一人でも増やしていきたい、そんな思いで活動を続けています。これからも、私が思う「心地よさ」と、切子の魅力を皆さんと共有していけたらいいなと思います。

三澤 世奈 (みさわ せな)

1989年、群馬県に生まれる。
明治大学商学部卒業。
大学在学中、三代秀石 堀口徹の作品に感銘を受け、門戸を叩く。
2014年、堀口切子入社。江戸切子を継承する者となるべく、日々研鑽に努める。
2019年7月より堀口切子の新ブランド「SENA MISAWA」の制作・プロデュースを担当。

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