技術資料

交差点における照明要件(その2) - 夜間事故発生交差点の実態 -

技術開発室 技術部 技術開発グループ

キーワード

交差点,交通事故,照明要件,視認性,安全安心

2.交差点施設の実態調査(続き)

2.3 視環境のあるべき姿

車両運転者から見た歩行者の視認性を向上させるには,基本的には「道路照明施設設置基準5)」による配置を考慮することが望ましいが,効果的な照明手法の一例として図6(横断歩道部の鉛直面照度を効率良く向上させる直射照明方式)のコーナ配置を推奨する。コーナ部に照明設備を設置すると,下記の(1)から(3)が期待できる。

  1. 交差点内および歩道部の照度確保
  2. 交差点内の照度均斉度の適正化
  3. 横断歩道部における交差点中心方向の鉛直面照度確保

また,横断待機位置の視認性を確保するための照度は,コーナ部に配置した照明器具により得られることが効率的で望ましいが,困難な場合は歩道灯を付加することにより確保する必要がある。

図6 灯具配置例

3.まとめ

先の報告では,交差点における交通事故と視環境評価が実施された3つの実物大実験を取り上げ,「交差点の実態」「明るさに関する知見」「灯具の配置に関する知見」の視点から実験結果を整理した。

交差点の実態

  • 交差点では,夜間に歩行者が当事者となる重大事故が発生しやすい。
  • 横断待機位置と横断歩道進入直後の歩行者の被視認性が低い。

明るさに関する知見

  • 横断歩道部の鉛直面照度を高くすると,歩行者の被視認性が高まる。
  • 交差点内の照度均斉度が高いと,歩行者の被視認性が高まる。
  • 交差点内の平均路面照度は,周囲が暗い場合でも10ℓxを確保することが望ましい。

灯具の配置に関する知見

  • 設置基準配置+コーナ部に灯具を配置した場合,歩行者の被視認性は高まる。
  • コーナ部に交差点専用照明器具を配置すると,局部照明でも歩行者の被視認性が高まる。
  • コーナ部に交差点専用照明器具を配置すると,設置基準に従った配置と比較して,交差点内の平均水平面照度と平均路面輝度が約2倍,横断歩道部の平均鉛直面照度が約3.4倍(27ℓx)高い値となる。

本報の警視庁による実態調査から下記の(1)や(2)などが明らかになり,この改善策として下記(3)の照明設備の配置案が得られた。これらの結果は,先報に紹介した照明実験の結果を裏付けるものであった。

  1. 横断歩行者の被視認性と鉛直面照度に相関があり,高照度化(20ℓx以上)が必要なこと
  2. 横断待機位置の照度が低い施設が多く,改善が必要なこと
  3. 照明設備を交差点のコーナ部に配置することが有効であること

参考文献

  1. (社)日本道路協会:道路照明施設設置基準・同解説 (1981).

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第15号掲載記事に基づいて作成しました。
(2006年10月23日入稿)


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