ライティング講座(照明講座)

照明計画資料

歩行者空間の照明 - 広場・公園照明

(1)目的

広場や公園における照明設備の主な設置目的を3つ示します。

  1. 人びとの交流・レクリエーションの場として、安全性を確保すること
  2. 車や人の流れを安全・円滑に誘導すること
  3. 時・場合に応じた多彩な雰囲気(楽しさ、落ちつき、活気など)をつくり出すこと

(2)照度設定

公園及び広場全般の照度は、そこで行われる活動(視作業)に基づき、表3.1などを参考にして設定します。

例えばコミュニティ機能を重視する広場では、犯罪の危険性や周囲の明るさなどを考慮し、利用者が安全に活動できる照度を確保する必要があります。ターミナル機能を重視する広場では、車両の安全な走行を可能にする照度や路面輝度を設定することが求められます。公園の照明計画は、その機能、性格、周辺環境、夜間の利用形態などを総合的に考慮します。夜間に閉鎖され、利用がほとんどない場合は、自然環境を保護するために照明を最小限に抑えます。夜間も開放されている公園では、園路、広場、案内標識、修景の対象(花壇、植込み、モニュメント、芝生、樹木、池など)を照明し、安全性を確保するとともに、公園の奥行きや広がりなど空間特性がよくわかるようにします。安全性を確保するためには、暗がりや物陰を作らないことが重要であり、照度の確保よりも、植込みなど暗くなりがちな場所に適切なあかりを加える配慮が必要です。

(3)照明方式

公園や広場の代表的な照明手法を表3.3に示します。広場の目的や用途に合った照明手法を選択します。なおポール照明は、照明器具の取付高さ(表3.4)や配光の種類によって、照明効果や雰囲気が異なります。

表3.4 照明器具の取付高さ
取付高さ 主な特徴 適用例
12m以上
  • 照明で象徴的な景観形成ができる
  • 照明効率がよく経済的である
  • 照明ポールの乱立を防止できる
  • 周囲への光漏れが多くなりやすい
  • 保守点検のための対策が必要である
  • 大駐車場
  • 交通広場
7m~12m
  • 高さ3~5倍の間隔に配置すれば、連続した光の美しさ(誘導効果)が得やすい
  • 必要な明るさを、経済的に得ることができる
  • 光の制御(フード、ルーバの装着)が比較的容易にできる
  • 道路
  • 駐車場
  • 一般的な道路
  • 緑道
2m~7m
  • 人の高さに近いので親しみ・暖かみが得やすい
  • 意匠デザインで景観形成が容易にできる
  • グレアを与えやすい(発光面輝度が高くなりすぎない光束の照明器具選定が重要)
  • 公園
  • 緑道
  • 建築構内
  • 小規模広場
1.5m以下
  • 陰影・明暗など「光と影」の演出がしやすい
  • 保守が容易であるが、破壊されるおそれがある
  • 誘導もしくは、注意をうながすのに効果的である
  • グレアを与えやすい(光束の選定に注意し、発光面の輝度規制が必要)
  • アプローチ空間
  • 住宅内庭園
  • 公園

(参考文献 日本照明工業会:ガイド116 障害光低減のための屋外照明機器の使い方ガイド(2002))

(2025年4月25日入稿)

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