技術資料

LEDioc® LEDライトバルブ™ S 79W

製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課

キーワード

LEDライトバルブ™,LEDランプ,道路灯,高効率,省エネ,長寿命,電源別置

1.はじめに

国連環境計画(UNEP)での水銀条約により,2020年以降は一般照明用高圧水銀ランプの製造,輸出及び輸入が禁止となるため,一般照明における光源は水銀灯からLEDへの置き換えが急速に進んでいる。当社ではLED照明器具と共に水銀灯代替LEDランプとして「LEDライトバルブ™」を展開しているが,道路灯に対応していなかったため,ここに報告する「道路灯器具」に対応する水銀灯250W代替のLEDランプの開発を行った。

2.商品概要

ランプ外観図を図1に,商品仕様を表1に示す。ハイウェイ形道路灯KSC-4/H745,H7141専用である。専用電源と組み合わせて使用する。商品名LEDioc LEDライトバルブSの「S」はStreet Lighting(道路灯)の頭文字から採った。

図1 ランプ外観図

表1 商品仕様
種別 LEDライトバルブS 79W
口金 E39
形式 LDFS79N-G-E39B
順電圧(V) 141
順電流(A) 0.56
全光束(ℓm) 11000
相関色温度(K) 5000
平均演色評価数(Ra) 70
定格寿命(時間) 40000
固有エネルギー消費効率(ℓm/W) 125
光束維持率 80
ランプ電力(W) 79
使用温度(℃) -20~+40
全長 240
外径寸法(mm) 128
重量(g) 890(防振パッキン込)
希望小売価格(円) 58,600

3.機能・特長

3.1 温度保護回路

ランプ内部に温度保護基板が組み込まれており,万が一に器具側の点滅器が故障して日中点灯した場合でも,ランプ部が高温(使用温度上限+10℃:目安)になると保護回路が作動して電源供給を遮断し,過熱による故障を防止する。

3.2 配光性能

適合する道路灯器具(KSC-4/H745,H7141)において,水銀灯250W(ランプ+器具)と同様に「道路灯照明施設設置基準」を満たす(表2)。

表2 設置条件と設置基準値に対する測定値比較(対象器具:KSC-4/H745)
条件
設計条件 ランプ光束
(ℓm)
器具光束
(ℓm)
車道
幅員
(m)
灯具
高さ
(m)
Oh
(m)
取付
間隔
(m)
照明率 保守率
基準値 7 10 1 35 0.7
HF250X 11800 8496 7 10 1 35 0.324 0.7
LDFS79N-G-E39B 11000 9842 7 10 1 35 0.357 0.7
計算結果
設計条件 平均輝度L
(cd/m²)
総合均斉度
Uo
車線軸均斉度UL TI(%)(グレア)
光束法 走行 追越 走行 追越
基準値 0.7以上 0.4以上 0.5以上 15以下
HF250X 0.72 0.42 0.67 0.78 8.5 6.7
LDFS79N-G-E39B 0.74 0.47 0.67 0.73 14.1 12.0
  • ※HF250Xの光束,照明率は,(一社)建設電気技術協会 道路・トンネル照明器材仕様書(平成20年改定)の値を示す。

図2 輝度分布図比較(対象器具:KSC-4/H745)

3.3 角度可変機構

ランプをソケットに取り付けた時に発光面が下面に向くように,ランプネック部に設けられた角度可変機構にて調整することができる(図3)。

図3 角度可変機構 調整方法について

3.4 高効率

LEDランプの発光面を下面に,放熱フィンを上面に集中させることにより,LEDが発する熱を効率よく放熱できるようになり,また反射鏡に依存しない直接光を照射することで,固有エネルギー消費効率125(ℓm/W)と水銀ランプの2倍以上の高効率を実現させた。

3.5 極性フリー

既存のライトバルブシリーズと同様にランプ内部にブリッジ回路を搭載し,電源の極性に関係なく点灯できる極性フリーランプを実現した。

3.6 低消費電力

水銀ランプ250Wから置き換えた場合,消費電力を約66%削減した(200V時)。

3.7 長寿命

ランプ筐体の放熱設計の最適化により,水銀ランプの約3.3倍の定格寿命40000時間を達成し,ランプ交換のメンテナンスコストを削減した。

3.8 幅広い使用温度

-20℃~+40℃(器具組合せ時:-5℃~+35℃)で幅広い温度範囲で使用可能。

3.9 レトロフィット

既存のハイウェイ形道路灯器具をランプと安定器交換のみでLED化が可能。

図4 レトロフィットの例

4.おわりに

本開発により,道路灯などで使用する水銀ランプ250Wに相当するLEDランプを製品化する事ができ,既存道路灯器具をそのまま利用したLED化の提案が可能になった。

今後はライトバルブSシリーズとして品種拡充し,モデル展開を図っていく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第32号掲載記事に基づいて作成しました。
(2015年5月12日入稿)


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