施設報告

成田山表参道街路灯設置工事

国内営業部 千葉営業所

キーワード

成田山表参道,照明演出,省エネ,景観,LED

1.はじめに

本施設である,成田山表参道(千葉県成田市)は,JR成田駅,京成成田駅から成田山新勝寺までをつなぐ門前町であり,現在でも昔ながらの街並みが残り,風情のある表参道となっている。

設置工事の背景としては,毎年7月に開催される成田祇園祭の恒例行事で,山車を一気に引き上げる一番の見せ所の通行場所である参道に街路灯がせり出し,多くの危険性があった。そこで,山車の安全な運行確保や,観光客の皆様に安全に祭りを楽しんで頂くために,街路灯設置事業が検討された。「仲町街づくり協議会」が中心となり,風情ある街並の雰囲気に合わせた照明器具が検討され,当社の照明器具が採用された。(平成22年3月納入)

2.照明設計

2.1 照明配置

図1 景観(昼間)

参道にせり出していた街路灯を,参道外側に配置することで,祭りの際の安全な運行を確保した。また,地中電線化することで,すっきりとした街並みとし,風情ある街並みの雰囲気をより際立たせるものとした。改修後の景観を図1に示す。

2.2 光

図2 景観(夜間)

夜間における街並みを美しく彩る光源として,電球色(3200K)のセラミックメタルハライドランプ35Wを採用した。

ランプ効率が高く,演色性にも優れたセラミックメタルハライドランプの電球色を採用することで,風情ある街並みを崩すことなく,より美しく街並みを彩っている。夜間の景観を図2に示す。

2.3 経済性

改修前光源はコンパクト蛍光ランプ FDL 27Wであり,ランプ効率が低く,明るさの点で照度が低く,住民・観光客に不安感を持たせるようなものであった。

今回,効率が高く,演色性にも優れたセラミックメタルハライドランプ(セラルクス®35W)の電球色を採用することで,ほぼ同等の消費電力で,明るさを約2倍にし,住民・観光客に安心感を与えることを実現した。改修前の1スパン照度分布図を図3に,改修後の1スパン照度分布図を図4に示す。

※:曲線上の数値は維持照度を示す。単位ℓx

凡例
記号
器具形式 既存照明器具
ランプ形式 FDL27EX-L
ランプ光束 1,550ℓm
保守率 0.7
灯高 0.7m
台数 2台
平均照度及び範囲
  平均照度(ℓx)
全体 1.6

図3 改修前 照度分布

※:曲線上の数値は維持照度を示す。単位ℓx

凡例
記号
器具形式 和風照明器具
ランプ形式 MT35FCE-DW/S
ランプ光束 3,000ℓm
保守率 0.7
灯高 1.2m
台数 2台
平均照度及び範囲
  平均照度(ℓx)
全体 3.1

図4 改修後 照度分布

3.照明設備

日中は街並みに溶け込むような形状とし,夜間には歩行者の安全を確保するとともに,街並みを美しく彩る役割を果たしている。照明設備の数量を表1に示す。

表1 照明設備一覧
区分 光源 数量
特注和風ボラード灯 MT35FCE-DW/S + LEDユニット 14
特注和風ボラード灯(スピーカー付) MT35FCE-DW/S + LEDユニット 5

3.1 灯具

灯具サンプルを制作し,照明実験を何度も行い,器具形状,光源の選定,光の見え方,光の広がりの検討を行った。その結果,形状は現地にある延命院の石灯をモチーフとして検討し,より街並みに溶け込むようなデザインとした。光源は,風情ある雰囲気を最大限に生かすために,セラミックメタルハライドランプ35W 電球色を使用した。

本照明灯は,光源が人間の目線付近にくるため,グローブはアクリルワーロンを使用することで,グレアを最小限に抑えると共に,光の広がりを確保するような仕様とした。灯具外形図を図5に,パース図面を図6に,モチーフとなった延命院の石灯を図7に示す。

図5 灯具外形図

図7 延命院の石灯

図6 灯具パース

3.2 支柱

図8 灯具外観

支柱部仕上げは石材塗装とし,現地にある既設照明器具に近い仕様にすることで,違和感なく街並みに溶け込むデザインとした。また,支柱中央の銘板部は内照式のガラス銘板とし,光源にはLEDを使用している。LED素子が均一に配列されたLEDユニットを使用することで,銘板をムラなく鮮やかに照らし出している。照明灯外観を図8に示す。

4.おわりに

要求される照度を確保しながら,省エネルギーにも貢献する「成田山表参道の顔」となる照明が実現できた。また石材塗装を施した照明灯は,日中は周囲の景観に溶け込み,夜間は歴史ある街並みを厳かに照明し風情ある空間を演出しており,大変満足して頂いていると聞く。

最後に,成田山表参道街路灯設置を実現するにあたり,仲町街づくり協議会様はじめ,ご協力頂いた皆様に感謝の意を申し上げる次第である。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第24号掲載記事に基づいて作成しました。
(2011年5月23日入稿)

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