施設報告

セントレジャーゴルフクラブ市原の照明設備

国内営業部 東日本技術設計センター
国内営業部 新潟営業所

キーワード

市原,ゴルフ場,UVカット形セラミックメタルハライドランプ,環境配慮形,低誘虫メタルハライドランプ,光害対策

1.はじめに

図3 照明柱

千葉県市原市にある「セントレジャーゴルフクラブ市原」は「あるがままの自然を生かす」というPGAツアーの設計理念のもとに造られたトーナメント対応の本格的ゴルフコースである。館山自動車道の市原インターより約5kmと都心からのアクセスの良い立地条件にありながら多くの緑に囲まれており,人気を集めている。今回,全18ホールに照明設備を設置,2007年10月よりナイタープレーが開始された。(図1,図2,図3)

以下に,本照明設備の概要を報告する。

図1 照明点灯時(1)

図2 照明点灯時(2)

2.照明計画

2.1 照明コンセプト

本施設の設計にあたっては,次のようなコンセプトにて設計を行った。

  1. 競技者の良好なプレー環境
    ボールを視認できるように,十分な照度を確保するとともに,競技者に不快感を与えないよう,グレアにも配慮された照明とする。
  2. 自然環境への配慮
    周囲の良好な自然環境や,生態系を保全する照明環境の形成を図る。

2.2 設計照度

本施設における設計照度は,表1の通りとした。

表1 設計照度
区分 照度の種別 平均値
ティーグラウンド 水平面照度 80~100ℓx
フェアウェイ 水平面照度 40~50ℓx
鉛直面照度 水平面照度の2倍
グリーン 水平面照度 80~100ℓx

2.3 照明手法

ティーグラウンド,フェアウェイ,グリーンにおいて,投光照明(追跡照明)を採用した。また,ボールを打つ際に必要な水平面照度だけでなく,飛んでいくボールを視認できるよう鉛直面照度を十分に確保した。例として,8番ホール,5番ホール及び6番ホールの照度分布図をそれぞれ図4~図6に示す。

3.設備概要

照明設備は,照明器具に丸型投光器を採用し,ランプは低誘虫形メタルハライドランプを採用した。本施設の設備の概要を表2に示す。

表2 照明設備の概要
器具 ランプ 台数
H5322S 低誘虫形メタルハライドランプ(MT1000B/BH-M-UVC) 136
H5322D 低誘虫形メタルハライドランプ(MT1000B/BH-M-UVC) 206
H567S 低誘虫形メタルハライドランプ(MF1000B/BH-UVC) 137
H567D 低誘虫形メタルハライドランプ(M1000B/BH-UVC) 35
H367SX 低誘虫形メタルハライドランプ(MF400LSH/U-UVC) 16

3.1 低誘虫形メタルハライドランプの採用

本施設は,前述したように豊かな自然の中に位置するゴルフ場である。よって,周囲の良好な自然環境や,生態系を保全する照明環境の形成に努めなくてはならない。そこで本設計では,昆虫の好む波長である380nm以下の紫外線を大幅にカットした「低誘虫形メタルハライドランプ」を採用した。図7に「低誘虫形メタルハライドランプの波長」,表3に「水銀ランプを基準(100)とした場合の誘虫性の比較」を示す。

図7 低誘虫形メタルハライドランプの波長特性

表3 水銀ランプを基準(100)とした場合の誘虫性の比較
高圧ナトリウムランプ 低誘虫形メタルハライドランプ 一般型メタルハライドランプ 水銀ランプ(蛍光形)
16 50 81 100(基準値)

4.おわりに

今回,「セントレジャーゴルフクラブ市原」の全18ホールに照明設備を納入させていただいた。近年,スター選手の活躍によって多くのメディアで取り上げられたほか,入場者数減に底打ち感が出てくるなど上向きなゴルフ業界において,プレー可能時間の拡大や,新たなプレー環境,上質なプレー環境の提供などの面で貢献できたのではないかと考える。また,今後はプレーヤーの中心である団塊の世代の定年により,さらにナイター設備の需要が増すと考えられる為,今後のよい参考にもなると思われる。

最後に,本施設の完成にあたり,竣工迄,御指導・御協力いただいた関係各位に深く御礼を申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第20号掲載記事に基づいて作成しました。
(2008年12月26日入稿)


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