路面冠水警報表示システム

道路冠水時における安全対策のために

近年、全国的に多発している局地的なゲリラ豪雨により、短時間にアンダーパス等の路面が低くなっている箇所に雨水がたまり、道路が冠水するケースが多発しています。
路面冠水警報表示システムは、アンダーパス内に設置した水位検知器で水位検出を行い、アンダーパス手前に設置した冠水警報表示板に「冠水通行止」「冠水通行注意」等の冠水表示を瞬時に行ってドライバーに注意を喚起します。

システム構成

  1. 水位を検知
    水位検知器で冠水信号(注意レベル、危険レベル)を検知します。
  2. 受信・制御・通報
    水位検知器からの冠水信号を検知すると、水位レベルに応じた表示を冠水警報表示板に制御します。また同時に使用回線に応じた手段にて音声メッセージやe-mailで自動通知します。多彩なオプションにより、停電補償の実装やwebカメラ、簡易式気象観測装置の接続が可能です。
  3. 注意喚起表示
    視認性に優れた高輝度LEDの採用で悪天候下でも確実に視認できる冠水警報表示板です。

特長

高い視認性

高輝度LEDの採用でより見やすく、悪天候下でもドライバーが確実に視認できる高い視認性を確保しました。

  • 赤色は色弱障害者対策としてドミナント波長625〜630nm(±5nm)を満足しています。
  • 表示色は3色仕様(赤・緑・黄)、7色マルチカラー仕様(赤・緑・青・紫・水色・黄・白)等対応可能です。(7色マルチカラー仕様はオプション対応)

多彩な表示方式

表示方式として、連続点灯の他に、点滅表示や表示項目2項目間による交互表示にも対応可能です。

必要視認距離に応じた表示文字高さ450mmや300mmをお選びいただくことができ、現地の状況によっては小型の表示にも対応します。

冠水警報表示板参考図(小型表示板の場合)

表示例(小型表示板の場合)

自動通報機能

監視モニター盤

制御機内に自動通報装置を内蔵して、冠水時には管理事務所や管理者の携帯電話に音声メッセージによる自動通報が可能です(自動通報装置はオプション対応)。また、インターネットが利用できる通信回路の場合にはe-mailによる通報も可能です。

管理事務所に、パソコンを使用した操作機や、冠水警報専用の監視モニター盤を設置することで、遠隔制御もオプション対応が可能です。晴天時等冠水の心配がない時に、ドライバー向けに様々な情報提供が行えます。その時にあっても、冠水時においては優先され、冠水表示に切り替わります。

停電補償機能

(写真は2kwh用を内蔵)

停電時にも冠水警報表示が行えるように、停電補償が対応可能です。停電補償時間は、バッテリに期待寿命20年のリチウムイオン電池を使用することで、長時間の停電補償が可能となり、冠水警報の通報から管理者が現地に出動し、通行規制をかけるまでの間、停電補償が行えます。(停電補償機能はオプション対応)

気象情報の収集や路面状況の監視が行えます

簡易式気象観測装置やWebカメラ装置を共架することで、管理事務所で冠水エリアの気象状況の情報収集や路面状況の監視が行えます。(共にオプション対応)

水位検知器

水位検知器の種類は多くありますが、岩崎電気では電極式水位検知器をおすすめしています。
特長として、

  • 動作原理が簡単なため、構造的に故障しにくい。(信頼性が高い)
  • 厚さが薄いため、設置スペースのない狭い場所にも取り付けられます。
  • 他の検知器と比較して安価です。

※電極式以外の方式(水位の連続測定が可能な非接触式超音波水位検知器等)にも対応可能です。

水位検知器比較
  電極式 非接触形超音波式 フロート式
動作原理 電極棒が水に浸かり導通することにより、水面の位置を検出する。 超音波を水面に当てることにより、検知器と水面の距離を計測し、あらかじめ設定した水位を上回った時点で、信号を送出します。 水位が上がって水面が検知器に達すると、フロートが傾き、水面の位置を検出する。
設置場所 アンダーパス最深部の壁面 アンダーパス最深部の壁面 排水ポンプ施設の貯水槽等
長所
  • 構造がシンプルで信頼性が高い
  • 薄型構造のため、直付設置が可能
  • 水流の影響を受けない
  • 安価
  • 非接触式のため、清掃が不要
  • 水位の連続測定が可能
  • 汚水または多少の浮遊汚物が混じる液体にも使用可能
  • 安価
短所
  • 設置後に水位検知レベルの変更を行う場合には電極棒の切断又は交換が必要
  • 水位の連続測定は出来ない
  • 高価
  • 別途信号変換ボックスが必要
  • 設置場所に制約を受ける
  • 水位の連続測定は出来ない
設置場所

※上記以外の水位検知器もお選びいただけます。

表示文字高さと視認距離の関係について

視認距離(L)
表示文字が判読できる表示板からの距離
文字高さと次の条件により算出します。
文字種(漢字の場合複雑さ(画数)も加味)
走行速度
必要視認距離(ℓ)
表示内容を判読するのに必要な表示板からの距離
消失距離(ℓs)+判読所要距離(ℓv)
消失距離(ℓs)
表示板の文字が視界から消え始める距離
表示板の高さにより決まります。
判読所要距離(ℓv)
判読の間に車両が走る距離
文字数により必要時間が決まります。

視認距離(L) ≧ 必要視認距離(ℓ)

  視認距離(L)
文字高さ30cm 50km/h 77m
60km/h 75m
文字高さ45cm 50km/h 116m
60km/h 113m
  必要視認距離(ℓ)
(表示文字:冠水通行止の場合)
50km/h 49m+17m=66m
60km/h 49m+21m=70m

「道路標識設置基準・同解説」(昭和62年1月(社) 日本道路協会)

冠水深さの設定について

自動車は排気管が水をかぶるとエンジンが停止し、動けなくなります。
排気管の高さは軽自動車では約20cmですので、道路の冠水深さ15cm(または20cm)以上を危険レベルとして、冠水警報表示板にて「冠水通行止」と表示し、通行車両の進入を防止します。(岩崎電気推奨値)

電極の種別 電極の先端位置例
(路面よりの高さ)
冠水検知深さ
電極A コモン用 0~4cm -
電極B 注意レベル検知用 5cm
(10cm)
5cm以上
(10cm以上)
電極C 危険レベル検知用 15cm
(20cm)
15cm以上
(20cm以上)
  • ※注意(5cm)、危険(15cm)の組合せか注意(10cm)、危険(20cm)の組合せのいずれかが多く採用されています。
  • ※水位の連続測定が可能な超音波式においても考え方は同様です。

なお、実際に電極の先端位置を決定するときは、路面の高さは一様でないことに注意し、車両が深いほうに進んだ場合でも、最深部で15cm(または20cm)を超さないように注意が必要です。

  1. 通常時、各電極間に導通はありません。(電極Aは、B、Cに対して共通の電極になっています)
  1. この水位において、電極A-B間が導通します(表示:冠水通行注意)
  1. この水位において、電極A-BおよびA-C間が導通します(表示:冠水通行止)

路面冠水警報表示システム概略仕様

冠水警報表示板

項目 仕様・概要
表示板形式
標準
横形(縦形も対応可能)
表示文字数 LED式(標準:3~5文字表示)6文字以上の表示文字数もオプション対応可能
表示方式 連続点灯、点滅表示、表示項目2項目による交互表示
表示色
標準
3色(赤・緑・黄)
7色マルチカラー仕様(赤・緑・青・紫・水色・黄・白)もオプション対応可能
表示文字サイズ
標準
縦300mm×横300mm(縦450mm×横390mmもオプション対応可能)
表示項目数
標準
8可変(15可変以上もオプション対応可能)
輝度 4,000cd/m²以上(黄色)
半値角度 ±20°以上
その他 回転灯、注意灯、サイレンスピーカの接続もオプション対応可能
外形寸法(参考) W1450×H350×D150mm(横形:4文字表示の場合)
W350×H1450×D150mm(縦形:4文字表示の場合)
質量(参考) 40kg(4文字表示の場合)

※商品改良のため、仕様・外観は予告なしに変更することがありますのでご了承ください。

水位検知器

項目 仕様・概要
検知方式
標準
電極式(非接触式超音波方式もオプション対応可能)

制御機

項目 仕様・概要
遠隔監視方式 一般加入回線を使用した自動通報装置からの音声通報方式
管理事務所からの遠隔制御もオプション対応可能
インターネットが可能な通信回線であれば、e-mailによる通報もオプション対応可能
手元操作 表示項目操作、調光操作、表示素子断芯テスト
雷サージ保護 SPD実装
停電補償 リチウムイオン電池式UPSにてオプション対応可能
同UPSにソーラーパネルを接続してのソーラー充電もオプション対応可能
その他 簡易式気象観測装置、Webカメラ装置の接続もオプション対応可能
外形寸法(参考) W550×H1200×D450mm
質量(参考) 100kg

岩崎電気の路面冠水警報表示システムは全国に数多くの納入実績があり、現地の状況に応じた最適な提案をご提供しています。